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3-48 帰還:王城での祝賀と正式な戦功授与

 王城の大広間は、普段の静けさを失い、戦功を称えるために華やかに飾られていた。


 赤と金の装飾が施され、天井のシャンデリアは柔らかく煌めく。


 壁沿いには王室の旗が翻り、演壇の前には勇者一行のために特別に用意された席が並んでいた。


 広間には市民や騎士、貴族たちの声が響き、遠方から駆けつけた人々の歓声も混ざる。


 子どもたちは勇者たちを見つけると、手を振り、跳ね回り、無邪気な声で呼びかけていた。


 俺は深く息を吸い込み、胸の奥に戦いを終えた後の微かな緊張と安堵が入り混じるのを感じた。


 【ここまで……生き延びられたんだ】


 その思いが、自然と肩の力を少しずつ解放させる。


 レンカは隣で微笑みながら、聖杖を手に軽く指先を動かす。


 「無事にここまで来られた……本当に良かったわね」


 俺は小さく頷く。


 「ああ。俺たち、やっと国に戻れた」


 演壇に立った王が声を高らかに響かせる。


 「勇者たちよ、四天王を討ち、この国を救った功績、ここに讃える!」


 場内に歓声と拍手が轟き、俺は軽く息を呑む。


 【……こんなに多くの人が俺たちを待っていたのか】


 俺は深く頭を下げ、心の中で仲間たちに感謝する。


 「……私たちだけじゃ勝てなかった。皆のおかげです」


 レンカも微笑み、王に礼をする。


 「今回の戦いは、仲間との連携があってこそです。皆で戦いました」


 王は頷き、勇者一人ひとりの名を呼び上げる。


 「レオンハルト、勇気と剣の技をもって戦場を制した。

 カイル、影の如く迅速に敵を制し、味方を守った。

 ミリア、忍術と風の魔法で仲間を支え、敵を翻弄した。

 ダリオ、勇猛果敢に前線を支え、勝利の道を切り開いた。

 エリシア、精霊の力を呼び覚まし、生命の流れを正した」


 一人ずつに勲章と王室認定の印章が手渡される。


 俺は自分の手元に届く勲章を見つめながら、胸の奥が熱くなるのを感じた。


 【……これが俺たちの努力の形か】


 レンカの肩に目をやると、誇らしげに微笑む。


 「油断は禁物だけど、こうして祝福されるのも悪くないわね」


 レオンハルトは拳を握りしめ、にやりと笑う。


 「はっ! 俺たち、やってのけたな!」


 その声に、俺もつい小さく笑ってしまった。


 ミリアは子どもたちの声を思い出し、楽しそうに笑う。


 「英雄扱いされるのも、たまには悪くないね!」


 カイルは冷静に、しかし内心の誇りを押さえきれず、落ち着いた口調で言う。


 「油断せず、次に備えることも忘れません」


 俺の視線は、カイルの背中に自然と注がれる。


 【こいつは戦いでは頼りになるが、こういう場面でもやっぱり落ち着いているな】


 ダリオは戦槌を肩に担ぎ、豪快に笑う。


 「フン、戦いの後くらい、思い切り誇っていいだろう」


 そして、エリシア。


 七色に光る契印――エリュシオンの契印を淡く光らせながら礼をするその姿に、俺は息を呑む。


 【……もはや、人の域を超えてる】


 子どもたちが勇者たちに群がり、手を握ったり質問をしてくる。


 「勇者さま! 本当に影妖クルスを倒したんですか!」


 「イルミナは……どうなったのですか?」


 ユーマは微笑みながら応える。


 「皆のおかげで、俺たちだけでは勝てなかったんだ」


 レンカも優しく答える。


 「恐がる必要はないわ。もう大丈夫」


 広間には祝宴の用意が整っていた。


 長テーブルには豪華な料理が並び、香ばしい香りが漂う。


 ユーマは一瞬、戦場の荒々しさを思い出し、手を止める。


 【……こんな時間が来るとは】


 焚き火のように柔らかく温かい光の中、ユーマは仲間たちを順に見渡す。


 レオンハルトは得意げに笑い、ダリオは豪快に肉をかじる。


 ミリアは嬉しそうに料理を頬張り、レンカは少し肩をすくめ、でも微笑みを浮かべている。


 カイルは落ち着いて皆を見守り、エリシアは静かに目を閉じ、深呼吸している。


 ユーマは心の中でつぶやく。


 【この仲間たちとなら、どんな戦いも乗り越えられる――そして今日の祝福も、俺たちの力になる】


 夜が更ける中、歓声と談笑は続き、勇者たちの絆はさらに深まる。


 戦いは終わった――しかし、王城での祝賀は、彼らに次なる戦いへの力と決意を静かに刻むものとなった。

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