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3-44 閑話 ― 夜明け前の決意

 戦いの余韻が、まだ空気に残っている。


 四天王を討ち果たしたはずなのに、俺の心臓はまだ早鐘のように打っていた。


 宿営地の火の光が揺れ、仲間たちの影を地面に映す。


 皆、疲れ切った様子で座り込み、傷の手当や武具の手入れに追われていた。


 俺もまた、剣を傍らに置き、レンカをそっと見やる。


 彼女は聖槍を膝に立て、手をそっと添えている。


 瞳は穏やかだが、強い意志を秘めているのがわかる。


 その姿を見たとき、俺は不意に胸が締め付けられるような思いに襲われた。


 ――守りたい。 絶対に、彼女を守る。


 レンカがこちらをちらりと見た。


 微かに笑みを浮かべる。


 その笑顔だけで、俺の中の迷いはすっと消える。


 俺は小さく息をつき、心の中で誓った。


 【今日も、明日も、ずっと……レンカを守る】


 火の揺らめきが彼女の髪に光を映す。


 俺は何度もその光景を胸に刻み、戦いの緊張を一瞬だけ忘れた。


 だが、次の戦いはすぐそこに迫っている。


 ミリアやカイル、レオンハルト、ダリオ、そしてエリシアもそれぞれに備えている。


 彼らは皆、仲間として頼もしい存在だ。


 だが、俺にとってレンカの存在は、ただの仲間以上の意味を持っていた。


 夜空の星が一瞬、光を強める。


 その瞬間、俺は再び手に剣を握る。


 レンカのために、仲間のために、そしてこの世界のために――


 俺たちはもう、後戻りできない。


 「行こう……レンカ。 今日も一緒に戦おう」


 小さな呟きに、彼女はわずかに頷いた。


 心の中で互いを確認し、互いの覚悟を確かめ合う。


 外では、風が神殿の石壁を揺らす。


 遠くの山々には朝霧が立ち込み、赤く染まる空の下、七人の勇者たちは静かに夜を越え、決戦の時を待つ。


 俺はその火の光に照らされるレンカの背を、ただ見つめ続けた――


 守るべき理由を胸に秘めて。

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