3-27 古代遺跡で:カイル
夜。
森の焚き火の灯りの下、一行は疲れを癒していた。
しかし、その静寂を破ったのは、冷たい殺気だった。
「……動くな」
月光に照らされたのは、漆黒のフードを纏った、拘束されていたはずの男。
長身に似合わぬ軽やかな動きで木の枝から降り立ち、片手には鋭い短剣を握っている。
「輝く、トラペゾヘドロン……渡してもらおうか」
「お前は……一体何者なんだ?」
レオンハルトが双雷剣を構える。
「俺の名はカイル。 ただの“影”だ。
七魔王の配下でもなければ、お前らの味方でもない。
だが……あの宝は、俺の本来の依頼主のものだ」
一瞬の沈黙。
そして、嵐のような暗殺者の襲撃が始まる。
音もなく忍び寄る影、投げ放たれる小刃。
仲間たちは必死に応戦するが、その身のこなしは常人の域をはるかに超えていた。
俺は胸に抱えた宝を守りながら叫ぶ。
「こんなものを渡せるか! これは……あんたの想像を超える災厄を呼ぶ代物なんだ!」
その一言が、カイルの動きを止める。
闇の中の瞳が、わずかに揺れた。
見つめ合うこと数分。
「……お前、本気でそう言っているのか」
戦いの末、互いに刃を交えたまま息を荒げ、カイルはついに短剣を下ろす。
「……依頼主からは“奪え”と命じられていた。
だが、俺にはわかる。 お前の言葉に嘘はない。
……あの石は、俺の想像以上に危険なものなんだな」
彼は苦く笑い、「ああ」と返事をし、夜空を見上げる。
「なら、俺は影のまま傍にいよう。
お前らがその石をどう扱うか……この目で見届けてやる」
こうして、七人目の暗殺者カイルが仲間に加わった。
表向きは冷淡で寡黙だが、時折の皮肉と影のような気配は、一行に新たな緊張感をもたらすのだった。
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