3-26 古代遺跡で:輝く、トラペゾヘドロン
その部屋は暗く、前方はほとんど見えなかった。
レンカがパネルを操作すると、灯りがともる。
荘厳な雰囲気が漂う部屋の中央に祀られていたのは、一片の黒水晶――光を吸い込むかのように漆黒に輝く宝石だった。
「……輝く、トラペゾヘドロン……!」
俺は思わず息を呑む。
懐かしくも忌まわしい名が、記憶の奥底から蘇った。
【まさか……この世界にも存在していたのか】
かつてミスカトニック大学の図書館で目にした禁書。
そこに記されていたのは、“人智を越えた存在を呼び寄せる媒介”――間違いようのない代物だった。
◆
その瞬間、黒き瘴気を纏った一団が現れる。
七魔王の配下、影妖クルスの眷属だ。
「その宝は我らの主のものとなる!」
狂気に駆られた叫びと共に、敵が襲いかかる。
激しい戦闘の末、一行はなんとか撃退する。
撤退する敵が残した言葉が、不穏に響いた。
「いずれ我が主と……その背後に控える“囁くもの”が……」
◆
戦いの後、俺は震える手で宝石を取り出す。
台座には次の言葉が刻まれていた。
『勇気ある者よ……どうか、この地を守った証として、この封印の品を持ち出してくれ。
我らにはもはや守り切る力がない……』
俺は宝石を見つめ、仲間には聞こえぬほどの小声で呟いた。
「……これは危険すぎる。下手をすれば、七魔王以上の存在を呼び寄せかねない……」
仲間たちは皆、不思議そうに首を傾げるばかり。
その価値と恐怖を知っているのは、この世界でただ一人――俺だけだった。
俺はそばに置かれた封印の箱を取り出し、宝石を慎重に収める。
しかし、その呟きを聞き逃さなかった者がいた――拘束された男だ。
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