3-23 古代遺跡で:影の傭兵組織“ノクス・ギルド”
勇者一行を追う影たちは、影妖クルスの指示に従い、今回の暗殺ターゲットがユーマ・ヴァレンティアに決まったことに困惑していた。
本来、最優先ターゲットは覚醒した勇者、レオンハルト・グランベルクかミリアだと考えていたからだ。
若いユーマが選ばれたことに、傭兵たちは戸惑いを隠せなかった。
だが、彼らはプロの傭兵である。
瞬時に冷静さを取り戻し、作戦を練り始める。
影妖クルスに雇われた影の傭兵組織――ノクス・ギルド。
今まで一度たりとも任務を失敗したことはない。
古代遺跡の正確な場所は未確認だが、向かう先には峡谷が広がっている。
そこでパーティを分断し、ユーマを葬り、あわよくばレオンハルトも仕留める――完璧な計画だ。
だが、不確定要素として、ミリアの存在が立ちはだかる。
彼女のトリッキーな行動は、作戦の行方を予測不能にする要因だった。
◆
一方、勇者一行では、ミリアが盛大なくしゃみをした。
「へっくしゅ!」
レンカが心配そうに尋ねる。
「どうしたの、風邪?」
「いや、誰かが噂しているのかも」
「それなら良いけど、ハイポーションでも飲む?」
「いや、大丈夫。それよりもうすぐ峡谷です。狭くて、縦一列にならないと進めません」
俺は即座に隊列を再編成した。
前から順に――ミリア、ダリオ、レオンハルト、レンカ、エリシア、俺。
ミリアは、案内役と忍者として斥候を担当。
ダリオは重戦士で、万一の盾役。
レオンハルトはダリオのすぐ後ろで、戦闘時に即座に前へ出られる位置。
レンカは後方で、奇襲に備える。
エリシアも後衛。
俺は、殿として最後尾を務める。
◆
勇者一行の隊列変更――そして殿がユーマであることは、即座にノクス・ギルドに伝わった。
傭兵たちはすぐに作戦を練る。
幸い、先頭のミリアはユーマから距離があり、影に気づかれにくい。
傍にいる非力なエルフとレンカは聖職者で、直接の戦闘には参加できないだろうと見積もる。
レオンハルトは前衛に近く、重鈍なドワーフ――ダリオは、ミリアが襲撃に気づいても、ユーマへの援護には動きが遅いと予想される。
傭兵たちの唯一の誤算――レンカをただの聖職者だと軽視したこと、そして勇者一行の実力を侮ったことだった。
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