3-16 六人目の勇者? ミリア:ミリアの初陣
翌朝、一行は森の中を流れる小川沿いを進んでいた。
木漏れ日が踊り、鳥のさえずりが澄んだ空気を彩る。
「今日も元気いっぱいね、ミリア」
エリシアが微笑む。
「うん! わたし、今日こそ罠にかからないように気をつけるから!」
ミリアは尻尾をピンと立て、胸を張った。
その矢先――木々の陰から、群れをなしたゴブリンが飛び出してきた。
「ぎゃあっ! 罠じゃないけど危険っ!」
ミリアは反射的に跳び上がり、木の枝にぶら下がる。
「……また木登りか。あの子、戦闘でも予測不能だな」
俺は思わず呟く。
だが、ゴブリンたちもミリアの突拍子もない動きに翻弄されていた。
枝を揺らし、尻尾をぶんぶん振るその姿は、まるで生きた囮のように敵の注意を引きつける。
「わ、わたしの出番っ……!」
ミリアは短剣を抜き、枝の上から跳躍した。
空中でひらりと身を翻し、地上のゴブリンの足元を斬りつける。
その一撃が見事に決まり、敵は驚きとともに転倒した。
「前衛は我々に!」
「応っ!」
「はい!」
「うむ!」
俺とレオンハルト、レンカ、ダリオが息を合わせて突撃する。
エリシアは後衛から弓で援護しつつ、ミリアの動きを目で追った。
彼女の無軌道な動きに翻弄され、ゴブリンたちは次々と混乱していく。
混沌の中、ミリアは自分の足に引っかかって盛大に転んだ。
「きゃっ! あ、あれっ!?」
だが、その拍子に尻尾がゴブリンの脚を引っかけ、連鎖的に敵が倒れていく。
「……偶然だが、なかなかやるな」
レオンハルトが思わず口元を緩める。
「本当に偶然か……いや、もはや才能だな」
俺も苦笑しながら頷いた。
やがて戦いは終わり、森の中に静寂が戻る。
「わ、わたし……やったのかな?」
ミリアは尻尾をぱたぱたと振りながら、照れくさそうに笑った。
「ええ。今日のあなたは立派だったわ。次は、もっと上手くできるはず」
エリシアはそっと彼女の肩に手を置き、励ます。
その言葉に、ミリアは嬉しそうに頬を赤らめる。
小さな自信の芽が、確かに彼女の中に芽生えていた。
こうして――ドジだけれど憎めない獣人の少女は、
初めての戦いで、仲間としての一歩を踏み出した。
森の木々がざわめき、柔らかな風が一行の背を押す。
その旅路は、少しだけ賑やかに、そして少しだけ誇らしくなっていた。
スマートフォンで読んでみたら読み辛かったので、改行を入れました。
本文には、手を加えていません。
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