3-9 ドワーフの王国:第一接触
山道を越え、岩肌の谷を抜けた一行は、ようやくドワーフの国の入口に辿り着いた。
切り立った断崖に穿たれた巨大な洞窟の口。その奥には、赤々と揺らめく炎の光が明滅し、鉄槌が岩盤に反響している。
その重々しい響きは、王国全体の呼吸のようでさえあった。
「ここが……ドワーフの王国か」
「まるで地中にそのまま国を作ったみたいだね」
レンカと小声で言葉を交わすと、門番がずしりとした足音を響かせながら近づいてきた。
「何の用で、人族と……ハイ・エルフまでがここへ来た?」
やはりな、と内心思わず息を吐く。
偏見は根強いようだ。
「ダリオという鍛冶師に用があり、参りました。彼に“折れない剣”を作ってもらいたくて」
「折れない剣だぁ? そんなもん、そこらの鍛冶師でも作れるわ!」
言葉だけでは納得しないだろう。
俺はレオンハルトに頷き、彼は閃光の勇者として覚醒。
手にしたバスタードソードを軽く素振りしてみせる。
「な、何だ……?」
門番は目を剥いた。
素振りを終えた剣はバチバチと帯電し、しかし刀身は無残にも削り飛んでいる。
「ご覧の通りです。勇者の力に耐えうる剣を求めて来ました」
そう告げると、門番の表情が一変する。
「……お前さんら、今噂になっとる勇者御一行か。なるほど、その剣の有様を見る限り、本物らしい」
「本物って……偽物もいるんですか?」
「いるともさ。ドワーフの剣を欲しさに来る連中は山ほどおる。この前なんぞ三組同時に来て、我こそ本物だと喧嘩を始めよった。追い返すのが面倒だったわい。だが――」
と、レオンハルトの背を豪快に叩く。
「一振りでここまで剣を痛めるなら、本物以外あり得んわ!」
「そ、それは……申し訳ありません」
「何、お前さんらのせいじゃない。――ほれ、案内人を付けよう」
門番の指差す先には、腕組みをした大柄なドワーフが立っていた。
彼は無言で俺たちを一瞥すると、顎で洞窟の奥を指す。
「ほれ、行った行った」
門番に背を押されるようにして、俺たちは案内人の後ろについていき、
いよいよ岩窟の王国――ガルム=ヴォルグへと足を踏み入れた。
もし、面白い。
続きが気になる。
先を読みたい。
等のご希望があれば、下記の評価とブックマークをお願い致します。
作者の励みになります。
宜しくお願い致します。




