3-8 エルフの森:出立その2
ダークエルフたちは、森の出口で今か今かと待ち構えていた。
しかし、一向に我々が姿を現さないことに苛立ち、森へ足を踏み入れたその瞬間――無数の矢が降り注ぐ。
エリシアの弓技、天雨。
魔法の矢を天空へと放ち、一定高度で複数に分裂させ、雨の如く敵を射抜く。
まるでクラスター爆弾のような威力である。
矢が着弾した瞬間、俺は魔法アイスレインを発動する。
天雨と同じ要領で無数のアイスバレットを降らせ、敵をさらに混乱に陥れた。
ダークエルフたちは混乱し、我々の策略に翻弄される。
そこへレンカとレオンハルトが右側面から攻め入り、残存する敵を分断した。
およそ三十六名いた敵は、天雨とアイスレインで十二名まで減り、さらにレンカとレオンハルトの連携攻撃で十名未満へ。
撤退の兆しもなく、徹底抗戦の構えであったため、後方に控える五名を俺とエリシアが一人ずつ、スナイパーの如く討つ。
弓矢とマジックアローで頭部を狙撃した。
一方、森へ分かれた先頭集団四名も、レンカの突きとレオンハルトの斬撃に抗しきれず、次々と倒れていく。
こうして、瞬く間にダークエルフの一師団は壊滅した。
◆
遠見の水晶を通して戦況を見守っていた影妖クルスは、苦々しい思いで水晶を床に叩きつける。
「くそ……ダークエルフ一師団が一時間も持たず全滅とは。これが勇者の力か」
それに応えたのは、嫉妬の魔王エルシードであった。
「いや、真に覚醒しているのは、金髪のバスタードソードを携えた者一人だけだ。しかも未だ本気を出しておらぬ。恐らく武器が持たぬのだろう」
「エルシード様、では今回の敗因は?」
「個々の力量を見くびったことと、戦略負けであろう。未だ覚醒前にしてこの力量とは、想像を超えていた。学園都市にいた時から観察していたが、意図的に低級魔法しか使っておらぬようだ。あのハイ・エルフの弓術も侮れん」
「はっ、ではもうしばらく様子を見、隙を見て叩きます」
「それでよい。引き続き影に観察させよ」
「はっ、承知いたしました」
◆
俺は戦場を見渡し、打ち漏らしがないことを確認してから静かに告げた。
「じゃあ、ドワーフの国に向かおうか」
「しかし、ダークエルフ一師団をこれほどあっさり退けるとは、予想外ね」
エリシアが感想を漏らす。
「油断せず、この先も警戒を怠らず進みましょう。ユーマ、式で周囲を観察しながら進める?」
レンカの問いに、レオンハルトが身を震わせる。
「式って、あの恐ろしい鬼神か?」
「いいえ、人型の紙を用いた偵察用の式です。百聞は一見に如かず、見ていてください」
そう告げ、俺はストレージから人型の紙束を取り出し、前後左右、そして上空に展開する。
「何かを探知すれば、式が知らせてくれます」
「紙切れ一枚で、そんなことが可能だとは……」
レオンハルトは半信半疑だ。
「バルザグル戦を見てなかったのですか?」
「俺はグラオルだけで手一杯だった。後で聞いた話だが、鋼の体を水や木に変え、最後は炎に包まれ巨大なオーガを二体召喚して倒したと。ユーマは召喚魔法も使えたのか?」
「炎に包ませたのは正しいですが、オーガではありません。式神で、鬼神様です。召喚魔法は使えません」
俺は慌てて訂正する。
説明に小一時間を費やすも、レオンハルトには完全には理解されなかった。
エリシアは幼少期より日本の知識を叩き込まれており、森の賢者としての能力と相まってすぐに把握していた。
こうして警戒態勢を崩さぬまま進軍した結果、ドワーフの国までの到着には一ヶ月を要することとなった。
森が火事になるとまずいので、ユーマは、アイスレインとマジックアローを使いました。
森が無ければ、ファイアレインを使っていたでしょうね。
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