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3-8 エルフの森:出立その2

 ダークエルフたちは、森の出口で今か今かと待ち構えていた。

 しかし、一向に我々が姿を現さないことに苛立ち、森へ足を踏み入れたその瞬間――無数の矢が降り注ぐ。


 エリシアの弓技、天雨。

 魔法の矢を天空へと放ち、一定高度で複数に分裂させ、雨の如く敵を射抜く。

 まるでクラスター爆弾のような威力である。


 矢が着弾した瞬間、俺は魔法アイスレインを発動する。

 天雨と同じ要領で無数のアイスバレットを降らせ、敵をさらに混乱に陥れた。


 ダークエルフたちは混乱し、我々の策略に翻弄される。

 そこへレンカとレオンハルトが右側面から攻め入り、残存する敵を分断した。


 およそ三十六名いた敵は、天雨とアイスレインで十二名まで減り、さらにレンカとレオンハルトの連携攻撃で十名未満へ。

 撤退の兆しもなく、徹底抗戦の構えであったため、後方に控える五名を俺とエリシアが一人ずつ、スナイパーの如く討つ。

 弓矢とマジックアローで頭部を狙撃した。


 一方、森へ分かれた先頭集団四名も、レンカの突きとレオンハルトの斬撃に抗しきれず、次々と倒れていく。


 こうして、瞬く間にダークエルフの一師団は壊滅した。



 遠見の水晶を通して戦況を見守っていた影妖クルスは、苦々しい思いで水晶を床に叩きつける。


 「くそ……ダークエルフ一師団が一時間も持たず全滅とは。これが勇者の力か」


 それに応えたのは、嫉妬の魔王エルシードであった。


 「いや、真に覚醒しているのは、金髪のバスタードソードを携えた者一人だけだ。しかも未だ本気を出しておらぬ。恐らく武器が持たぬのだろう」


 「エルシード様、では今回の敗因は?」


 「個々の力量を見くびったことと、戦略負けであろう。未だ覚醒前にしてこの力量とは、想像を超えていた。学園都市にいた時から観察していたが、意図的に低級魔法しか使っておらぬようだ。あのハイ・エルフの弓術も侮れん」


 「はっ、ではもうしばらく様子を見、隙を見て叩きます」


 「それでよい。引き続き影に観察させよ」


 「はっ、承知いたしました」



 俺は戦場を見渡し、打ち漏らしがないことを確認してから静かに告げた。


 「じゃあ、ドワーフの国に向かおうか」


 「しかし、ダークエルフ一師団をこれほどあっさり退けるとは、予想外ね」


 エリシアが感想を漏らす。


 「油断せず、この先も警戒を怠らず進みましょう。ユーマ、式で周囲を観察しながら進める?」

 

 レンカの問いに、レオンハルトが身を震わせる。

 「式って、あの恐ろしい鬼神か?」


 「いいえ、人型の紙を用いた偵察用の式です。百聞は一見に如かず、見ていてください」


 そう告げ、俺はストレージから人型の紙束を取り出し、前後左右、そして上空に展開する。


 「何かを探知すれば、式が知らせてくれます」


 「紙切れ一枚で、そんなことが可能だとは……」


 レオンハルトは半信半疑だ。


 「バルザグル戦を見てなかったのですか?」


 「俺はグラオルだけで手一杯だった。後で聞いた話だが、鋼の体を水や木に変え、最後は炎に包まれ巨大なオーガを二体召喚して倒したと。ユーマは召喚魔法も使えたのか?」


 「炎に包ませたのは正しいですが、オーガではありません。式神で、鬼神様です。召喚魔法は使えません」


 俺は慌てて訂正する。

 説明に小一時間を費やすも、レオンハルトには完全には理解されなかった。


 エリシアは幼少期より日本の知識を叩き込まれており、森の賢者としての能力と相まってすぐに把握していた。


 こうして警戒態勢を崩さぬまま進軍した結果、ドワーフの国までの到着には一ヶ月を要することとなった。

森が火事になるとまずいので、ユーマは、アイスレインとマジックアローを使いました。

森が無ければ、ファイアレインを使っていたでしょうね。


もし、面白い。


続きが気になる。


先を読みたい。


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