3-6 エルフの森:栽培
エルフの都でストレージの整理をしていたときのことだ。
じゃが芋、薩摩芋、苺の苗、スイカ、カボチャ、さらにはメロンの種まで――この世界では見かけない作物が次々と姿を現した。
エリシアを通じて長老方に提供してみると、思いがけないほどの歓迎を受け、都で試験的に栽培されることが決まった。
栽培方法の書物まで同梱されており、それも合わせて渡したのだが……日本語の書物であるにもかかわらず、ハイ・エルフたちはまるで当然のように読み解いてみせた。
どうやら、彼らの文字体系は日本語を基盤としているらしい。
以後、ハイ・エルフの指導のもと、作物の栽培は本格的に始動することとなった。
【――おそらく神々の御加護だろう。気を遣ってくれたのかもしれない】
そういえば最近、神々へのお供えをしていなかったことを思い出す。
式神たちには四天王戦後にワインとブランデーを振る舞ったのだが、好みが大きく分かれてしまった。
やはり、代々安倍晴明さまから受け継がれてきた十二――いや、今では十四天将にとって、日本酒のほうが馴染み深いのだろう。
麦酒は人族とエルフの都にも存在するが、こちらではあまり人気がないらしい。
冷蔵庫が未普及で、冷やして飲む習慣が根づかなかったためだろう。
魔導冷蔵庫を作れる環境が整えば、冷えた麦酒も広まるはずだ。
そのためにも――すべてを片付けてから、魔道具士に協力を頼むつもりである。
◆
まずは神々へのお供えだ。
簡易神棚を組み立てていると、レンカがやってきて手伝ってくれた。
日本酒とウィスキーを神前に供えると、次の瞬間、部屋に清冽な神気が満ち、供えた酒がぱっと消える。
直後――神々の声が響いた。
『ふむ、中々の味じゃ。やはり日本酒は良い』
――天照大御神さま。
『私はウィスキーが気に入ったぞ』
――ヤハウェさま。
その他の神々も口々に高評価を述べてくれる。
「気に入っていただけてよかったです。次は肴も用意しますね」
「これからも、どうかお見守りください」
そう願うと、神々の声が静かに返す。
『うむ、こちらこそよろしく頼むぞ』
神気がすっと引いていったそのとき、気配を感じて振り向くとエリシアが立っていた。
どうやら神気を直接浴びてしまったようで、まだ少し足元がおぼつかない。
『……神々と対話できるのか?』
『まあ、転生のときにいろいろ世話になった縁があってね』
レンカが微笑んで尋ねた。
『エリシアさん、今度一緒にお供えとお祈りをしてみる?』
エリシアは、ふらつきながらも答えた。
『……ああ、頼む』
そう言って、ゆっくりと部屋を後にした。
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