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3-6 エルフの森:栽培

 エルフの都でストレージの整理をしていたときのことだ。

 じゃが芋、薩摩芋、苺の苗、スイカ、カボチャ、さらにはメロンの種まで――この世界では見かけない作物が次々と姿を現した。


 エリシアを通じて長老方に提供してみると、思いがけないほどの歓迎を受け、都で試験的に栽培されることが決まった。

 栽培方法の書物まで同梱されており、それも合わせて渡したのだが……日本語の書物であるにもかかわらず、ハイ・エルフたちはまるで当然のように読み解いてみせた。

 どうやら、彼らの文字体系は日本語を基盤としているらしい。


 以後、ハイ・エルフの指導のもと、作物の栽培は本格的に始動することとなった。

 【――おそらく神々の御加護だろう。気を遣ってくれたのかもしれない】


 そういえば最近、神々へのお供えをしていなかったことを思い出す。

 式神たちには四天王戦後にワインとブランデーを振る舞ったのだが、好みが大きく分かれてしまった。

 やはり、代々安倍晴明さまから受け継がれてきた十二――いや、今では十四天将にとって、日本酒のほうが馴染み深いのだろう。


 麦酒ビールは人族とエルフの都にも存在するが、こちらではあまり人気がないらしい。

 冷蔵庫が未普及で、冷やして飲む習慣が根づかなかったためだろう。

 魔導冷蔵庫を作れる環境が整えば、冷えた麦酒も広まるはずだ。

 そのためにも――すべてを片付けてから、魔道具士に協力を頼むつもりである。



 まずは神々へのお供えだ。

 簡易神棚を組み立てていると、レンカがやってきて手伝ってくれた。

 日本酒とウィスキーを神前に供えると、次の瞬間、部屋に清冽な神気が満ち、供えた酒がぱっと消える。


 直後――神々の声が響いた。


 『ふむ、中々の味じゃ。やはり日本酒は良い』

 ――天照大御神さま。


 『私はウィスキーが気に入ったぞ』

 ――ヤハウェさま。


 その他の神々も口々に高評価を述べてくれる。


 「気に入っていただけてよかったです。次は肴も用意しますね」

 「これからも、どうかお見守りください」


 そう願うと、神々の声が静かに返す。


 『うむ、こちらこそよろしく頼むぞ』


 神気がすっと引いていったそのとき、気配を感じて振り向くとエリシアが立っていた。

 どうやら神気を直接浴びてしまったようで、まだ少し足元がおぼつかない。


 『……神々と対話できるのか?』

 『まあ、転生のときにいろいろ世話になった縁があってね』


 レンカが微笑んで尋ねた。


 『エリシアさん、今度一緒にお供えとお祈りをしてみる?』


 エリシアは、ふらつきながらも答えた。


 『……ああ、頼む』


 そう言って、ゆっくりと部屋を後にした。

もし、面白い。


続きが気になる。


先を読みたい。


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