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七人の勇者と婚約者殿~世界と異世界を救う絆の物語~  作者: 童爺
第2章 学園都市イーバラット
32/51

2-24 揺らぐ秩序と新たな学び

 スキルスチールの一件が影響したのか、今年は騎士派による生徒会の「監査」と称した嫌がらせは姿を消した。

 今後も、このまま無くなってくれればと思う。


 その代わり、

 「スキルの熟練度が思うように上がらない」

 「アドバイスが欲しい」

 といった声が、派閥に関係なく生徒全般から上がるようになっていた。


 さらに、この一件は国内外にも広く知れ渡り、国内の騎士団や魔法師団はもちろん、外国の大使館からも使者や大使本人が派遣されるなど、事態は大きく膨らんでいた。


 こうして、生徒会主催による講習会が開かれることになった。


 講習の内容はシンプルだ。

 スキルの熟練度は、

 ・ひたすらスキルを使い続ける

 ・あるいはスキルに頼らず、同等の技を実践する

 ことで上昇する。

 特に後者は伸び率が高いと説明した途端、あちこちから唸り声やため息が漏れた。


 そこで俺たちは、スキルスチール防御の術式も公開し、当面はそれで凌ぐ方が現実的だと伝えた。


 講習会場には、各国から派遣された使者や従者、魔導師が混じっており、彼らの視線が一斉に術式の説明に向けられる。

 熟練者たちの目は真剣で、知識を取り入れようとする鋭い光を宿していた。


 結果として、多くの参加者は納得し、会場を後にした。

 早速、王国や各国で検討や実践練習が始まることになった。



 そんな慌ただしい日々の中、レオンハルトから手紙の返信が届いた。

 鑑定してもらったところ、戦闘スキルはすでに魂に定着しており問題ないとのこと。

 謝意の言葉も添えられていた。


 さらに、マナーやダンスなど貴族必須のスキルも、貴族として日々実践しているため魂に定着済みだという。


 思い返せば、貴族の学生からは戦闘スキルに関する相談が圧倒的に多かった。

 平民の学生からも相談はあったが、深刻な事態に至ることはなかった。

 もしスキルスチールを持つ者が現れたとしても、真っ先に狙われるのは戦闘スキルだろう。

 ちょっと聞きかじった程度のマナーやダンスを奪うほど、相手も暇ではあるまい。



 今回の件で、スキルスチールの能力を持つ人物は国家によって保護されることになった。

 そうでなければ、怪訝な目で見られ、場合によっては迫害される危険もあったからだ。

 さらに、対魔物・魔族戦でも役立つだろうという思惑もある。


 魔物の脅威は日増しに強まり、魔族の動きも活発化していると、諜報部からの報告も上がっている。

 油断できる状況ではなく、有用な人材を遊ばせておく余裕はない。


 講習会場では、参加者たちの熱気と緊張が混ざり合っていた。

 各国から派遣された魔導師たちは術式を実際に試し、互いに意見を交わす。

 生徒たちは互いの技術を観察し、競うようにして習得しようと目を輝かせていた。


 場内の空気は、静かだが確かな覚悟と学ぶ意欲で満ちている。


 こうして、講習会は単なる知識の伝達ではなく、国全体に波及するスキル文化の形成の場となったのである。

もし、面白い。


続きが気になる。


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