後-終 そして世界は続く
小高い山の中腹に、新しく居を構えたのは、
ユーマ、レンカ、エリシア、ルーシア、アーシェの五人だった。
交代制で食事係や掃除係を決め、
田畑を耕し、家畜を飼い、皆で世話をする日々が始まった。
やがて百年、二百年と時は過ぎ、
ユーマたちは次第に「山の中腹の賢者様方」として崇められるようになっていった。
かつて世界を救った“勇者”という肩書を覚えているのは、
エルダリスの森のエルフと、ドワーフの国の者たちくらいになっていた。
その間、かつての仲間――
レオンハルト、ミリア、そして魔王カイル王の葬儀にも立ち会った。
リオとセインにグラブールも、彼らより先に天に召された。
国同士の諍いもあった。
消えた国、新しく生まれた国――さまざまな変遷があった。
だが、小高い山の中腹にある賢者の館だけは、
変わらず、そこにあり続けた。
いつしか近隣の村だけでなく、
遠く離れた都市からも、治療や助言を求めて人々が訪れるようになった。
賢者の館は、人々の精神的な拠り所となっていった。
エルフ並みの寿命を持つドワーフのダリオは、
ときおり訪れては、最近の出来事を語ってくれる。
そのたびに宴が開かれるのが、いつしか恒例となった。
ハイ・エルフやエルフたちも立ち寄っては、
弓技や精霊術を学んでいった。
三百年、四百年と時が流れ、
かつて魔族と呼ばれていた者たちは、第二世代の人族と交わり、
やがて“亜人”として、珍しい存在ではなくなっていった。
五百年後には冒険者ギルドが成立し、
世界を旅して古代遺跡を探索したり、魔物を討伐したり、
薬草採取や雑用を請け負う者たちが現れた。
職業ごとのギルドも存続していたが、
酒場や宿屋で仲間を募る役割は、次第に冒険者ギルドが担うようになった。
その冒険者の中には、素行の悪い者もいた。
ある時、威勢よく賢者の館に乗り込んできた者たちがいたが、
返り討ちに遭い、半死半生のまま冒険者ギルドへ送り返された。
丁重な謝罪が届けられ、
それ以降、素行の悪い冒険者が館を訪れることは、ぴたりとなくなった。
どうやらその者たちは、実力者ではあったが、
ギルドでも手に余っていた存在だったらしい。
それを再起不能にまで追い込んだ賢者の館は、
畏怖と共に、「神聖不可侵の地」として認識されるようになった。
その後、世界を脅かすような大事件は起こらず、
七人の勇者は、やがて物語の中で語られる英雄譚の一つとなった。
ここで、この物語は終わりを告げる。
その後、賢者の館の人々や、世界がどうなったのか――
それは、また別の物語として語られるだろう。
――それでも私は、今日も畑に水をやる。
真・Fin
本編、そして前後譚までのお付き合い、本当にありがとうございました。
本日より、新連載を開始しました。
【完結保証】チート級ハッカーが電子の海から仕掛ける復讐劇。裏切り者の国籍を消して社会的に抹殺したら、裏社会の巨大組織同士の抗争に発展した件。――そして伝説は娘へと継承される――『黄昏のノーフェイス』
剣をキーボードに持ち替え、魔法をウィルスに変えて。
裏切り者の「国籍」を消去し、存在そのものを社会から抹殺する――。
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