後-6 魔族領
魔族領――魔界の王城。
七人は、カイル王の御前で然るべき礼を取り、書簡を差し出した。
カイル王は「どれ」と短く言い、手紙に目を通す。
【ルーシアちゃんのスローライフ希望を止めてくれ。
それと、根性無しの男どもを鍛え直してほしい、か】
「……ルーシアの件は無理だな。
だが、もう一つの方は、何とかしよう」
あっさりと、ルーシアの件は流された。
「それは、どのような方法でしょうか、カイル王。
こやつら、口だけでビッグボア相手にあたふたして、役に立たん程じゃ……です」
ダリオの辛辣な言葉に、周囲から失笑が漏れる。
「うむ……そうだな。
魔物小屋の世話役から始めて、魔物に慣れてもらう。
そのくらいしかあるまい」
「「「えっ!?」」」
「ビッグボア相手に逃げ回る程度ではな。
まずは“飼育”からだ」
「「「そ、そんな……」」」
「ツーク国立学園の実戦訓練でも、誰にも相手にされず、避けられていると聞いている」
「「そ、それは……」」
そこへ、グラブールが口を挟む。
「なんだ、そうなのか?
てっきり雷迅剣術をマスターしているものだと思っていたぞ。
《獅帝剛爪》を身につけている俺の方が、まだマシだな」
エリシアが、即座に冷静な一言を返す。
「獅帝剛爪を身につけていても、逃げてばかりでは何の役にも立ちませんね」
「うっ……」
「とりあえず、男どもはここに置いていく。
好きなように鍛えてくれ」
「「「待って! 待ってください! 置いていかないで!」」」
「お前たちはコメディアンか?
ハモってないで、しっかり鍛えてもらえ!」
「「「そんなぁ~!」」」
三人の嘆きを完全に無視して、ダリオは本題に戻る。
「さて……問題は、ルーシアちゃんとアーシェちゃんのスローライフ希望じゃな」
カイル王は、少し考え込むように顎に手を当てる。
「それなんだが……
あの二人、試作零式などと融合していて、十七歳で成長が止まっているだろう?
放っておいても、特に問題はないんじゃないか?」
「寿命も、ハイ・エルフ以上にありそうですしね」とエリシア。
ダリオも頷く。
「そうなんだ。
下手をすると、先にルーシアちゃんの方が天に召される可能性すらある」
それを聞いて、カイル王は肩をすくめた。
「なら、一度ユーマたちに相談した方がいいだろう」
こうして一行は、一旦ヴァレンティア家へ戻ることになった。
だが、ユーマとレンカはイーバラット学園都市へ出向いているという。
結果として、ルーシアとアーシェを連れ、
一足先にイーバラット学園都市へ帰還することになったのだった。
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