後-5 獣人族の国
獣人族の国に到着した一行は、ミリアの盛大な歓迎を受けた。
「久しぶりね、エリシア、ダリオ。
今日はどうしたの?」
「それは……ルーシア、手紙を」
エリシアに促され、ルーシアはミリアに手紙を手渡す。
【ルーシアのスローライフ希望を止めてほしい、ね。
それにリオとセインの鍛え直しか……難問だわ】
ミリアは、ひとまずルーシアのスローライフ問題を脇に置き、視線を男二人へ向けた。
「リオは閃光の勇者レオンハルトのご子息、
セインは現剣聖のご息子だったかしら。
――で、どのくらい出来そうなの、ダリオ?」
「駄目じゃ。
口だけは達者だが、腕は今一つだな」
即答だった。
「「ひどいです、ダリオ様!」」
「息だけは見事に揃っておるがな。
実戦では、足の引っ張り合いだ」
「……なるほど。
個々の戦闘力も、あまり期待できなさそうね」
「ああ。
ビッグボアすら狩れん。
ルーシアとアーシェの足元にも及ばん」
「……ルーシアちゃんとアーシェちゃん?
どのくらい出来るの?」
「接近戦から中距離は、レンカ譲りの槍捌き。
遠距離は、ユーマ譲りの魔導・陰陽術で殲滅じゃ。
アーシェは十五歳にして、すでに《天雨》を放てる麒麟児だ」
「な、なるほど……。
つまり、そこの男二人が完全にダメダメというわけね」
ミリアは、ふっとため息をつくと続けた。
「それなら、うちの息子も旅に連れて行ってくれない?
《獅帝剛爪》を身につけて、完全に天狗になっているの。
忍者なんてみみっちい、って言って、本腰を入れないのよ」
「ひどいな母さん。
本当のことだろ?」
「グラブール!
いい加減にしなさい!」
そのまま、親子喧嘩が始まる。
「だってさ、あのユーマさんから教わったって……嘘だろ?」
グラブールの言葉に、ダリオが口を開いた。
「いや、それは本当だぞ、グラブールとやら。
ユーマは天界で、忍者マスターから教わったと言っておった。
確か……服部半蔵、だったかの」
グラブールは口を尖らせる。
「直接ユーマさんに聞かないと、信じられないよ」
「やれやれ……」
ダリオは根負けしたように肩をすくめた。
「最後はヴァレンティア家に寄る予定じゃ。
よければ、ついて来なさい」
「ほんと!? やったー!」
「……やれやれ、ユーマとレンカを恨むぞ」
小声で呟いたダリオに、耳ざといリオとセインが無言で頷いている。
ミリアが、ふと思い出したように尋ねた。
「……カイルに会うのは?」
「ああ、この後だ」
「この根性無しの男どもが、腰を抜かさなければいいけど」
「《獅帝剛爪》を身につけた俺を、根性無しと一緒にしないでくれ!」
ミリアはそんなグラブールに辛辣な言葉を投げかける
「実戦では、逃げてばかりのあなたが言うことかしら?」
「ぐっ……」
エリシアは、内心でため息をつく。
【どうやら、口先だけなのは……ここも同じね】
もちろん、口には出さなかった。
ダリオが、重々しく宣言する。
「それじゃあ――魔界に行くぞ」
「「「えっ!?」」」
「“えっ”じゃない。
カイルは、今や魔界の魔王じゃ。
粗相のないようにな」
こうして、七人となった一行は――
次なる目的地、《魔界》へと足を踏み入れるのだった。
もし「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、下記の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援をいただけると、執筆の大きな励みになります!
皆様の応援が、物語を完結まで導く力になります。
よろしくお願いいたします!




