後-4 ドワーフの国
ドワーフの国《ガルム=ヴォルグ》にやって来たのは、エリシアを含めた五人だった。
門番は、エリシアの顔を見るなり、最敬礼で通行を許可する。
――さすが勇者である。
勝手知ったるドワーフの国。
エリシアは迷うことなく、一行をダリオの家へと案内した。
「久しぶりだな、エリシア。
そこにいるのは……ルーシアちゃんに、リオとセインじゃないか。
もう一人は?」
「姪のアーシェよ。
ルーシアとアーシェはスローライフ希望、リオとセインは武者修行」
「ダリオ叔父様、ごきげんよう。
こちら、カールオ校長から預かった手紙です」
ルーシアはそう言って、丁寧に手紙を差し出す。
「ふむ……どれどれ」
ダリオは封を切り、ざっと目を通す。
【ルーシアのスローライフ希望を諦めさせて、リオとセインは武者修行、か。
娘の気持ちはよう分からんが……とりあえず男二人を鍛えるか】
「よう分かった。
とりあえず、リオとセイン。どの程度できるか、試してやろう」
エリシアが慌てて口を挟む。
「ちょっと待って、ダリオ。
ルーシアちゃんとアーシェは……」
「そっちは専門外じゃ。
もう一つの依頼を、わしが担当する」
「「よろしくお願いします、ダリオ様!」」
リオとセインが、またも息を揃えて頭を下げる。
「まず聞こう。
今まで、魔物はどのくらい倒した?」
「「実戦訓練がまだなので、一匹も倒したことがありません」」
【……駄目だな。
ルーシアとアーシェも一緒に鍛えるか】
そんな空気を察したのか、エリシアが言う。
「ダリオ。ルーシアちゃんなら大丈夫よ。
ここに来る前に、一人でダークエルフの一団と――
魔物、ビッグボアだけど、倒しちゃったから」
ダリオは目を見開いた。
「……それは、魔法でか?
それとも剣でか?」
「両方。
正確には、剣じゃなくて槍だけど」
「おいおい、マジか……。
じゃあ、残りのアーシェちゃんはどうなんだ?」
「アーシェは、まだ基本的な弓技だけね。
でも、そろそろ《天雨》を教えようかと思っていたところよ」
「そうか……だらしないのは、男性陣だけのようだな」
ダリオは腕を組み、深く頷いた。
「よし、鍛え直してやる。
それと――精霊弓《アルシエルⅡ》が完成している。
アーシェちゃんに渡して構わないか?」
「ええ、いいわ」
「やったー! おじさま大好き!」
「はは、ありがとうよ。
それじゃあ、まずはリオとセインを――一丁、揉んでやるか」
「「はい! お手柔らかにお願いします!」」
「どうでもいいが……お前ら、本当に息ぴったりだな。
庭に来い」
◆
――それから、半刻も経たないうちに。
二人は庭に、ぐったりと倒れ込んでいた。
「……マジで、レオンとアレンの息子か?
いくらなんでも、弱すぎるぞ」
そこに、容赦のない一言が飛ぶ。
「ええ。学園でも口だけは、一丁前だから。
二十年、やり直して来いって感じね」
「厳しいのう……まあ、その通りなんじゃが」
リオとセインは、完全に心が折れた顔をしていた。
ダリオはエリシアに向き直る。
「ミリアのところにも、顔を出すんじゃろう?
わしも一緒について行く」
「いいの?」
「ああ。
こいつら、道中で鍛え直してやる。
言っておくが――スパルタじゃぞ」
「「はい! ダリオ様!」」
「……本当に、威勢だけはいいの」
こうして一行は、次の目的地へと旅立つ。
向かう先は――
獣人族の国。
ミリアの待つ地であった。
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