表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七人の勇者と婚約者殿~世界と異世界を救う絆の物語~  作者: 童爺
短編:真・エピローグ~ルーシアのスローライフ願望とリオとセインの武者修行~
169/174

後-3 エルフの都

 エルフのエルダリスに到着した三人は、森の外れで簡易キャンプを張り、夕食の準備をしていた。


 ユーマから借りた携帯型魔導調理器で、コトコトとスープを煮込んでいる。


 この森では火器厳禁――精霊への配慮だ。


 湯気が立ち上り、香りが広がった、その時。


 「あら。どこかで見たことがあると思ったら……ユーマとレンカの娘の、ルーシアちゃんじゃない」


 気配もなく現れた女性に、三人は一瞬遅れて振り返る。


 ――エリシア。


 姿を現すまで、まったく気配を感じさせなかったあたり、さすが精霊の勇者である。


 「エリシアお姉さま、ごきげんよう」


 ルーシアが丁寧に挨拶するのと同時に、


 「エリシアおばさん、こんにちは」


 と、空気を読まないリオ。


 「ご無沙汰しております」


 と、セインが続く。


 次の瞬間。


 「……誰が、お・ば・さ・ん、ですって?」


 エリシアは笑顔のまま、リオの顔を鷲掴みにした。


 「いでででででっ!?」


 リオの悲鳴が、森にこだました。


 「ところでルーシアちゃん。スープを飲み終えたら、とりあえずエルフの都に寄りなさい」


 「エリシアお姉さまもいかがですか? 豚汁を作ってみたのですけど」


 「あら、美味しそうね。じゃあ、いただこうかしら」


 ルーシアとセインはキャンプ用の椅子に腰掛け、エリシアと共に食事を始める。


 リオだけは、未だアイアンクローの刑に処されていた。



 ――エルフの都にて。


 「カールオ校長から、エリシアお姉さま宛てに手紙を預かっています」


 「あら。魔導通信でも良かったでしょうに。何かしらね」


 封を切り、手紙に目を通すエリシア。


 「あらあら……なるほど」


 「何が書かれていたのですか?」とルーシア。


 「そこの二人を、鍛え直してほしい……といったところかしら」


 視線が、リオとセインに突き刺さる。


 【ルーシアちゃんのスローライフ願望を直してくれ、なんて……無茶言うわね、カールオ様】


 「……そういえば、私の姪も、ルーシアちゃんと同じで“スローライフ?”をしたいって言っていたわね」


 その言葉に、ルーシアが即座に反応した。


 「まあ! ここにも同士がいたのね!」


 「ええ。私たちは諦めさせたいのだけれど」


 「どうしてですか?」


 「一人で生活するほど、スローライフは甘くないわ。そもそも、お風呂の石鹸はどうするの?」


 「……それは、うーん」


 「せめて人里に近い小山で、って説得しているのだけど」


 その時――


 「私のことですか、エリシア伯母様」


 「だから伯母様呼びはやめてって言ってるでしょう、アーシェ」


 「……でも、いえ。エリシアお姉さま」


 現れたのは、エリシアによく似た美貌のハイ・エルフだった。


 「ルーシアちゃん、この子はアーシェ。十五歳よ」


 「えっ!? 同い年ですか? ハイ・エルフだから百五十歳くらいかと……でも、嬉しいかも」


 「ルーシアさん、でしたよね? どうして?」


 「私もスローライフをしたくて。でも両親に反対されているの。せめて実家の近くで、って」


 「ああ……うちと同じね。あなたとは気が合いそうだわ」


 「アーシェって呼んでいいかしら?」


 「ええ、もちろん」


 その様子を見て、エリシア、リオ、セインの表情が、そろって絶望的になる。


 当人たちはお構いなしだ。


 ルーシアとアーシェは、すっかり意気投合し、スローライフ談義に花を咲かせていた。


 「……これは、ダリオの力も借りないと無理そうね」


 そうして、ルーシアたちはエリシアの家に、一週間ほど世話になることになった。


 だが、出発の直前。


 エルフのエルダリスの出口付近に、ダークエルフの一団が潜んでいる――という報せが、精霊を通じて届く。


 (これは、スローライフを諦めさせる絶好の機会ね)


 エリシアは何も言わず、旅への同行を申し出た。


 アーシェまで付いてきたのは誤算だったが――


 ダークエルフとの実戦を経験すれば、二人とも自分の未熟さを知り、考えを改めるはず。


 ……そのはずだった。


 だが、結果は真逆だった。


 ルーシアが、ダブル・アイスレインとアイスランスで、あっさりと敵を蹴散らしたからだ。


 「……魔法は、父親譲りなのね」


 「接近戦もできますよ。母から、ショートスピアの扱いを習ったので」


 そう言って、ストレージからショートスピアを取り出す。


 ちょうど通りかかった魔獣を、レンカ譲りの槍捌きで仕留め、何事もなかったかのように解体していく。


 アーシェは目を輝かせ、男性陣はわずかに震えていた。


 アーシェは、いつの間にか「ルーシアお姉さま」と呼び始めている。


 【……ルーシア、スローライフできそうだわ】


 【問題は、男性陣ね。父親が勇者と剣聖なのに、これは……】


 エリシアは、すっかり当初の目的を忘れていた。

 もし「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、下記の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援をいただけると、執筆の大きな励みになります!


 皆様の応援が、物語を完結まで導く力になります。

  よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ