2-7 派閥を越えて ― 若き理想の証明
入学から一ヶ月。
ツーク国立学園では、早くも貴族派と王政派の思惑が交錯していた。
講義室や廊下の立ち話にまで、家同士の影が差す。
そんな空気の中、俺はしばしば考えた。
――ここは「学びの場」であるはずなのに、なぜ血統が壁になるのか、と。
ある日の放課後。
生徒会室。
大きな窓から差し込む陽光が、レオンハルトの金の髪を柔らかく照らしていた。
レオンハルトは机に積まれた書類を片手に、いつもの軽やかな笑みを浮かべる。
「ユーマ、次の会議に国王派代表のブランディ公爵家が出席する。君の家とは同じ国王派なのに、あまり仲が良くないらしいが……平気か?」
「問題ありません。私は、学園では家名よりも“役目”を優先します」
即答する俺。
その声音には、若き公爵としての責任と信念が同居していた。
その姿に、レオンハルトは口元で静かに笑った。
「やはり面白い。そういうところが、俺は気に入っているんだ」
「レオン先輩は、家の事情など気にしない人だと聞いています」
「ああ、興味はない。俺は、誰と並び立つか――それだけを選ぶ」
その言葉の奥には、貴族派でも王政派でもなく、ただ騎士としての矜持があった。
だがそれを誇るでもなく、静かな強さとして纏うのがレオンハルトという男だった。
そこへ、レンカが書類を抱えて部屋に入ってくる。
「会議資料、全て揃いました」
「ありがとう、レンカ嬢。手際がいいな」
「いえ、当然のことをしているだけです」
俺とレオンハルトが微笑を交わす。
その何気ない場面の中に、確かな信頼の芽が育っていた。
派閥という枠を超えた、友情と敬意が――確かにそこに息づいていた。
スマートフォンで読んでみたら読み辛かったので、改行を入れました。
本文には、手を加えていません。
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