2-8 学園生活の日々 ― 学び、鍛え、そして青春
学園生活は、慌ただしくも充実していた。
午前は座学――魔法理論や戦術学、国語、数学、政治学、歴史、地理、第二外国語など、めじろ押し。
午後は実践――剣術や魔法戦闘訓練、ダンス、マナーなど、体を動かす授業が多い。
俺とレンカは互いを高め合いながら、その頂点を駆けていく。
ある日の実践訓練。
演習場に響く金属音と、魔力の閃光。
「ユーマ、右斜め上から!」
「見えてる!」
模擬敵が放った炎弾が空を裂き、俺の剣がそれをすれ違いざまに弾き散らす。
その勢いのまま、模擬敵を一閃。
レンカもショートスピアで模擬敵に突きを放ち、一撃で破壊する。
俺は同時に雷のバレットを無詠唱で放ち、残りの標的を撃ち抜いた。
「……無詠唱で複合魔法を? やはりあの子、規格外だな」
観覧席の教官たちが静かに息を呑む。
レンカは額の汗をぬぐいながら笑った。
「全く、貴方と組むと緊張が絶えません」
「お互い様だろ?」
軽口を交わす二人。
その光景は、すでに学年の象徴となっていた。
◆
放課後、俺はレオンハルトと剣を交える。
「構えが甘いぞ、ユーマ!」
「……っ、分かってます!」
金属音が響くたびに、腕が痺れる。
だが、その中に確かな成長があった。
「悪くない。だが――次は全力で行く」
レオンハルトが一歩踏み込み、風を裂く。
視界が揺らぎ、次の瞬間、俺の剣が弾かれた。
「ぐっ……!」
地面に倒れ込みながらも、俺は口角を上げる。
「なるほど……“本気”の先輩は、やっぱり桁が違う」
「それでも、次は俺が倒れるかもしれん」
ふたりは笑い合い、夕暮れに剣を納めた。
その光景を見ていたレンカが、呆れ顔で近づいてくる。
「……レオン先輩、夕食までに戻らなければ、また学院寮の門限に引っかかりますわよ。ユーマも、もう帰宅の時間よ」
「「今行く」よ」
「はぁ、まったく。男子というのはどうしてこうも単純なのかしら」
そんな日常のやりとりが、確かな温もりを刻んでいく。
夜。
一軒家の一室。
書類を整理するレンカの隣で、俺は魔法理論書をめくっていた。
「……こうして一緒に勉強していると、昔に戻ったみたいだな」
「ええ。でもあの頃よりずっと、忙しいわ」
「悪いな。俺の仕事まで手伝わせて」
「それは……貴方が無茶ばかりするからです」
レンカの呟きに、俺は苦笑した。
灯火に照らされる横顔。
互いの距離は、確実に近づいていた。
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