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七人の勇者と婚約者殿~世界と異世界を救う絆の物語~  作者: 童爺
第2章 学園都市イーバラット
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2-2 ツーク国立学園入学試験:魔法試験

 翌日、キャンパスに行くと、俺とレンカの受験番号が記載されていた。

 第一関門突破だ。


 俺はレンカとハイタッチを交わし、そのまま魔法試験が行われる試験会場へ向かう。


 試験開始の鐘が鳴ると、受験番号順に名前が呼ばれ、的当てが始まった。

 皆、苦戦しているようだ。

 詠唱しながら的を狙って放つが、外れることが多い。


 「……さて、俺の番か」


 魔導のヴァレンティア家ということで、皆が注目している。

 俺は試験官に、一斉に的が飛び出すよう要請した。


 試験官は「正気か?」と言いたげで、顔に出ていた。


 「お願いします!」


 そう告げると、一斉に左右から五枚ずつ、計十枚の的が空中へ飛び出した。


 指先に魔力を集中させる。

 空気が微かに歪むのを感じた。


 初級のバレット魔法を魔属性以外の基本属性(火・水・土・風・光・闇・聖・無)、さらに複合属性である雷・氷の十種類、すべてを指先から無詠唱で0.03ミリ秒以内に発動する。


 結果、光属性と雷属性のバレットが最初に的を射抜き、残りの属性も同じタイミングで全ての的を射抜いた。


 試験官は立ち上がり、的の残骸を見て呟く。


 「馬鹿な……バレット程度で的が射抜けるはずが……」


 「回転を加えただけで……こんな威力が……」


 実は、俺のバレット魔法は通常のものと違い、高速回転を加えてあるため、通常より強力な高威力バレットになっているのだ。


 呆然とする試験官に、俺は言った。


 「これで、良いですか?」

 「あ、ああ……」


 生返事が返ってきた。

 周囲からは「あれがヴァレンティア家の神童の実力か」と、感心とも畏怖ともつかぬ声が漏れる。


 まあ、俺は気にしない。

 次はレンカの番だ。


 別の列で順番を待つ彼女を、俺は見守る。

 攻撃魔法の少ない聖魔法で、どう挑むのだろうか。


 レンカは俺と同じく、試験官に一斉に的を飛ばすよう告げた。

 的が空中で重なった瞬間、彼女は短く「結!」と言い、全ての的を結界内に閉じ込める。


 続けて「圧縮!」と言うと、結界を圧縮し、粉々になった的を「解!」で解放した。


 観客からため息が漏れ、試験官は困惑しながらメモを取る。


 「ルミナリア家の……神童か」


 俺は感心してその光景を見守った。


 レンカも同じく試験官に断りを入れ、その場を離れる。


 「やるな。結界術をあんな風に使うなんて」

 「ふふ、聖魔法で破壊するのも芸が無いと思って、結界術で押し潰すことにしたの。一網打尽でしょ」

 「そうだな。一々的に狙いを定めて射抜くより、効率が良いやり方だね」


 周囲からは「あれが聖魔法ルミナリア家の神童か」という声が聞こえる。

 テンプレなら絡んでくる奴も出てきそうなものだが、そんなことはなく、魔法試験は無事に終わった。


 後は結果を待ち、明日の剣技試験だけだ。


 ちなみに魔法試験と剣技試験は選択制で、どちらか一方だけでも受けられるし、両方受けることもできる。

 後衛職・前衛職・中衛職の三パターンを考慮したシステムだ。


 剣技試験は正確には武器術試験だが、毎年剣を使う者が多いため、剣技試験と呼ばれるようになった。

 男女別々で行われる。


 「明日の剣技試験、受けようと思うけど、レンカはどうする?」

 「私は戦乙女ヴァルキリーの姉さま方に習った槍術がどこまで通用するか知りたいから受けるわ」

 「そうだね。明日が楽しみだ」


 そう言いながら会場を後にし、寄り道せずヴァレンティア別邸へ帰る。

 アレンさんと稽古するためだ。


 レンカの母、元剣聖のレティシアさんは身重で、今は無理ができない。

 家の母も身重で、弟か妹ができる予定だ。


 稽古を終え、夕食をとり、風呂で汗を流し、明日に備えて早めに就寝する。



 その頃、ツーク国立学園では、校長がユーマ担当の魔法講師から結果を聞き、満足そうにうなずいていた。


 「全属性バレット系の魔法に回転が掛かっていたのか?」

 「はっきりとは言えません。しかし、目視できた氷と土……石に関しては、とてつもない速さで回転し、的を貫くところを確認しました。他の魔法も同様と思われます」

 「ふむ。ならユーマ君の魔法論文には満点を付けるとするかの。講師諸君も今回の事を踏まえ、検証してみるのじゃ。良いな?」


 講師達は黙ってうなずくしかなかった。

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