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リュウと海底都市の物語  作者: 松本遊心


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ー7

 リュウが保安局に拘留されて一週間が経った。聴取は連行された当日の一回限りだった。

 十八時を過ぎたころ、ドアの上部にある小窓が開いて、守衛が顔をのぞかせた。そして、すぐに閉じるとなんらかの認証音がフォーンと聴こえてドアが上下に開く。

「出ろ」男が顎をしゃくった。

 リュウが部屋を出ると、守衛の背後にカイが立っていた。腕を組んで壁にもたれている。

「ミーナはどうしたんですか。返してください」彼の横顔に向かっていった。

「あのAIはもうしばらく預からせてもらう。リュウ・サガラ、君は明日より十日間の自宅謹慎だ。一歩たりとも外出するな。外部との連絡も一切だめだ。それが問題なく済んだら返却しよう。ちなみに君の父親のハルト・サガラには事の経緯はすべて説明してある」

 徹底的にデータ解析するらしい。リュウは無言で上目に睨んだ。

「わかったら行け。わたしは忙しいんだ」

 そういうと、カイは背中を見せて大股で通路奥に消えていく。リュウは肩を落とすと、とぼとぼと帰路につくしかなかった。


 自宅に帰ると、父のハルトが食事を終えて晩酌の用意をしているところだった。

「ただいま」

 リュウは円卓のテーブル席のハルトの向かい側に、声を落として俯いたまま腰を下ろした。

「おかえり。大変だったな」

 彼はそういってトングでロックグラスに丸氷を入れると、フリーザーでキンキンに冷えたジンをトクトクと注いでカットライムを絞り落とすと、人差し指で氷をくるっと回してから口に運んだ。

「ごめんなさい。せっかく父さんが忠告してくれたのに……」

「済んだことだ。過去を振り返っても仕方ない。考えるべきは未来だ」

 ハルトはそういうと、小皿のスモークナッツを口に放り込んでからジンライムをちびりとやった。

「リュウ、今後のことはどう考えているんだ?」

「……わからない。だけど、だけどどうしても地上の人たちと交信したい」

「どうやって?」

 リュウは俯いていたが、意を決したように父親を見上げた。

「父さん、ぼく変動型耐圧小型潜水艇を作ろうと思ってるんだ。ぼんやりと構想はできてる」

「……」

「アカデミーを卒業して何年かかってでも、働きはじめて休日をすべて使ってでも、必ずそれを完成させる。それで地上へ行けたなら、上とこの海底都市をつなぐ架け橋になりたい」

 父はグラスをテーブルへ置くと、ふぅ、と息をはいて立ち上がった。

「リュウ、わたしの部屋についてきなさい」

「え?あ、……うん」

 

 リュウが父親の部屋に入ると、彼は扉を閉めて壁のタッチパネルを操作した。

「リュウ、そこに座りなさい」

 そういってデスク前の一つの椅子を指差した。そして彼も向き合うように座った。

「いいか、リュウ。いまこの部屋はわざと電波障害を起こしている」

「え?!」

「さきほどの話を盗聴されていたら、おまえはまた大変なことになる。いや、むしろ監視されていると考えていたほうがいい」

「保安局に……。そうだよね、ふつうに考えたら。あぁ、僕はどうしてそういったことに頭が回らないんだろう」

「リュウ、おまえに大事な話がある。だが、監視を前提にいまはこの部屋にわたしたちが長い時間いることは賢明ではない」

「う、うん」

「機を見て近いうちに話すから、謹慎が明けたら、しばらくおとなしくしていなさい。先ほどの潜水艇のことも誰にも口にしてはならん」

「わかったよ、父さん」

 彼の返事を聞いて、ハルトは立ち上がって再びパネルを操作して扉を開くとリビングへ向かった。リュウも後につづいた。

「わかったか、リュウ!二度と地上のことと、それに関連することは口にするな。これ以上わたしを困らせるんじゃない。わかったな?!」

 ハルトは再びジンライムへ口をつけて、タンっとグラスをテーブルへ置くと強い口調でいった。リュウは一瞬ビクッとしたが、父の意図を察してしおらしく返事をした。

「わかりました、父さん。……これからは学業と研修をがんばります」

 父は片目をつむって見せると片方の口角を上げた。

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