文映部の部屋
北棟四階、視聴覚室4−D……。確かこんな隅っこにあるこの教室が文映部の活動場所のはずだ。日光の当たり具合が素晴らしく悪いのに加えて、廊下に通る風が少し寒く感じられ薄気味悪い。
だが、加山さんに頼まれ私も少し勢いで教室を出てしまったので引き返すわけにはいかない。
誰か連れてくればよかった……。私は少しだけ後悔した。
しかしクラスのためを思い、勇気を奮い立たせてドアをノックする。
「すいませーん。どなたかいらっしゃいませんか。」
返事がない。「わかったら来い」なんて言ってたのはどこのどいつだよ、まったく……。
気を取り直してもう一度ノック。
あれ。また反応がないよ。何回ノックしても開かないこのドアのように、副部長の考えも簡単にはノック・アウトできないのだろうか。そう考えると、ちょっと落ち込んでしまいそうなので自分の脳に取り消し、と命じた。
なんて考えてる間にも時というモノは進んでしまう。
そこで私は、部屋に向かって声をかけてから活動場所にお邪魔させていただくことにした。
「失礼しまーす。」
しーん……。
心の隅っこで返事があるのを期待していた私は、ちょぴりしょげた。
最初に入ったここはダンボール箱が積み重なっている。映画の際に使用したであろう、衣装や小道具が詰まっている。
また別のダンボール箱には台本らしきものもぎっしり詰まっている。
こんなとこでは活動は不可能だな、と考えた私は二つある右側の扉を開けた。こんどこそ、副部長さんに会えることを期待して。
いや、まず文映部員の何かしらの反応があることを期待して。