副部長さんが言いたいこと
「そう、君だ。」
副部長さんはそうきっぱりと言った。だが、私にはさっぱり分からない。その前に、副部長さんと私は面識がないはずなのに何故副部長さんが私のことを知っているのか分からない。そして、何故私がその゛元部員゛とやらを知っていると思っているのか分からない。
そのことについて私は尋ねた。
すると副部長さんは呆れかえって、こう言い放ち帰ってしまった。
「質問に答えずに質問するとは……。まったく、無礼にもほどがある。それに、その事について君は知らなくても答えられるはずだ。君の元親友でもあったのだから。答が分かったら私のもとに来るがいい。」
あまりの出来事に私は茫然としていた。
それに、クラス全体の空気も一時停止状態に陥っていた。
委員長がクラスの再生ボタンを押した。
「とすると、僕が思うには奈良さんのことを言いたいんだと……。」
「ちょっと待ってよ!あの人は自分で墓穴を掘って学園を辞めたのよ。」
加山さんが委員長に対抗した。
「でも、転校して元分映部で華播さんの元親友でってその人しか……。」
「じゃぁ、仮に奈良さんだとするわ。委員長、学園を辞めた人を部活だけ復活させることは我が校の校則によって可能であるとでも言うのですか。」
加山さんも負けてない。
「そ、それはありえないですが……。不可能だとも校則にはありません。」
委員長はそうとしか言えなかった。
確かにそうだ。でも本人の居場所が分からなければ、その前代未聞のこともできない。
「先生、奈良さんの居場所を教えてください。」
加山さんはやっと話に入れてもらえた先生にそう言った。