タイムリミットは目前に
体力=HPのように。
魔力=MPである。
現在の俺の魔力は3683。
即ち、МP満タン=3683である。
道中それなりに魔法を使っていたが、今の魔力は100程度しか減っていない。
もしかしたら俺って割と強い方かもしれないな、と考えるのは安直だろうか。
―――とにかく。
最奥にエンペラー系がいて、周りにはザコゴブリンばかり。とはいえこの暴力的な数には、剣で切るよりは魔法で蹴散らす方が早いだろう。
「サイクロン!」
「ギキャアァッ!!」
風の竜巻がゴブリンを宙に浮かす。
よっしゃ、少し進みやすくなったぞ!
近くにいるゴブリンの斧は切れ味が悪いためだめーにならず、防御もいらない。ただ視界も進み具合も悪いから薙ぎ払って、たまにサイクロンで吹っ飛ばしながら意識は別のところへ飛ばす。
魔法は流石に弾けないから、避けるしかないのだ。
こういうとき、結界でもあれば便利なんだが。
それはまた今度、生きて出られたら誰かに教えてもらうとして。
俺はあっという間にゴブリンをほぼほぼ倒し終えた。
「次っ!!」
ゴブリンロード、こいつらはゴブリンとさして変わりない戦闘力だ。ただ連携してくるから、ゴブリンよりは多少手強い。
シュッ!
「うわっ!?」
そうだ、スナイパーもいた!
遠距離はメイジだけじゃなかったな。ゴブリンが減って道が開いたからか、向こうにとっても狙いやすくなったのか。
「ファイアーウォール!!」
少し離れたところで炎が広範囲に舞い上がる。
うーん、やっぱり炎かな。周りにも飛び火してるから、効率よく倒せるんだろう。
「ギギギャギャギャギャ!!」
……おかしいな?
声が後ろから聞こえてきたぞ?
いやいや、俺は一匹も残さないよう全部倒してきたんだぞ?
後ろにいるわけないだろ。
「………はぁ!!?」
怖い物見たさ、とは違うが。
後ろを振り替えってみると、ゴブリンがいた。
いや、語弊があるな。ゴブリン達がいたんだ。
いやおかしいだろ!!?
100とは言わないが明らかに50体くらい増えてるぞ!!!??
「ギャギャアアア!!」
「くっ!―――くそっ、どうなってんだ!!?」
前にいたロード達が向かってくるのを剣で受け止めると、後ろにいたゴブリン達は俺から逃げるように離れていった。
まさか!?
「こいつら、下に行く気か!?」
階段に壁を造ったとはいえ、壊れるのも時間の問題だろう。
追いかけたいけれど前にいるヤツラま倒さないといけない。というかゴブリンエンペラーを倒さないことには、スタンピードが最悪の形で始まってしまうのだ。
前に進む、それは優先しなければ。
いくら戦闘能力を身につけたとしても、大勢の敵と戦うにはやはり経験不足と言わざるを得ない。
俺は後方に、より魔力を込めたファイアーウォールを放ち、深呼吸して前を向いた。
「フレイムバースト!!!」
とにかく少しでも多く、少しでも早く倒さないと!!!
中級魔法を惜しみなく使い、前へと向かう。
魔力は―――まだ3000近くあるな、レベル上げといて良かったぜ。
「フレイムバースト!フレイムバースト!!」
「ギャアアァァアア!!!」
よし!
この調子で次も―――……!!!!!??
「ウギャギャギャギャ!」
「嘘、だろ…!?」
なんで、また復活してんだ……!!?
倒しても倒しても。
どんどん増えていく、ゴブリン達。
なんでこんな……本当に、キリがない!!
「サーチ!!」
ここは33階、ゴブリンが出てくるハズがない。
なのに、湧き出てくる。
それも、何10体と。
―――絶対何かあるはずだ!
剣を振るいながらも、なんとか集中する。
階段前にゴブリン。
ここにはゴブリンロードと、スナイパー。
少し後ろにキングやメイジ。
エンペラー。
………ん?
エンペラーの、後ろに。
小さな小さな気配。
そいつ、か?
知らない気配だ。
集中しろ。
集中しろ。
―――集中、しろ。
[ゴブリンメイカー]
コイツだ!!
ゴブリンメイカー、ゴブリンを創る者!
まずはコイツを、倒す!!!!!
お読み下さり、ありがとうございます。
更新が遅くなってしまい、すみません。
今まで勢いで投稿してた部分も多いので、いろいろ修正しながらじっくり書いていきたいです。