壊れた日常
人間って寝溜め出来ないよね、寝溜めしたいなぁ。
と思いながら創った話です。
刻一刻と、訪れている魔の手に。
気付く人は未だ、誰もいなかった。
「忘れ物はない?ネクタイ曲ってないわよね?あ、体調は悪くない?途中で倒れちゃったりしないかしら?気分が悪くなったらちゃんと誰かに言いなさいね!」
「大丈夫だって、母さんは心配し過ぎだよ」
「でもお母さんの気持ちも分かるなぁ。お兄ちゃん、ちょっと抜けてるしww」
「抜けとらんわバーカ!」
「おい大介、早くしないと遅れるんじゃないか?」
「うわやばっ、いってきまーす!!」
ごくごく普通の家族だった。
優しくて心配性の母親と、最近月の半分くらいがリモートワークになり家で過ごすことが増えた父親と。
反抗期も大分終わり、多少の憎まれ口を叩く程度で済むようになった妹と。
見事第一志望の会社に合格し今日から社会人デビューの長男の俺、山田大介の。
どこにでもある、平凡な日常だった。
女性陣の、いってらっしゃーい、という声と同時に家を出る。
時刻は7時40分を過ぎたところで、乗る電車は8時10分に到着予定。山田家からではギリギリ余裕が無いかもしれない時間帯。
初日からの遅刻を避けるため、俺は少しだけ早歩きをする。
異変に気づいたのは、それからすぐのことだった。
(―――人が、いない?)
ここはそんなに田舎ではない。
家の周りこそまばらであるも、駅に近づく毎に人は段々と増えていく。時間帯も丁度通勤ラッシュと重なっており、本来ならそれなりに混雑しているはずだった。
それなのに、誰一人いない。
コレはあれか?
スマホが壊れていて、本当は一時間以上遅れているとか?
それとも今日駅は工事か何かで臨時休業でもしてるとか?
それともまさか、最近流行りの異世界転生―――いや普通に歩いてたし、特に違和感なんてなかったはずだ。
………って、アホなこと考え過ぎだろ俺ぇ!
あぁ、異世界転生という言葉が安易に出てしまうくらいにはラノベやマンガに毒されているんだな。
そんな、まるで現実逃避するかのような思考に苦笑した。
誰もいないからって不安になりすぎだろ。
俺は頬を一度軽く叩くと、頭を振りつつ足を進めた。
――……ハ、…………ン……
「え、なに?」
何かが聞こえたから聞き返すも、反応がない。
風の音かな、いやでも聞いたこと無いくらい低めの音だったんだけどな。
なんて頭の中で言い訳しながらも、足は止めない。
否
「ちょ、なんで……止まらない……!?」
勝手に歩みを進める足と。
未だに誰にも出会わない、恐怖と。
設定していないはずのスマホから鳴り響く、8時の知らせと。
――ダンジョン……ンジョウ……トモ……ショ……メツ……ヨ
さっきよりハッキリと聞こえた声とともに。
目前となった目的地である駅に、一歩。
踏み入れた、瞬間。
ドッゴォォォォンッッッッッ!!!!!!!!
謎の大爆発に巻き込まれ。
意識が、途切れた。
(―――オマエハキケンダ―――)
(―――ダンジョンノタンジョウトトモニショウメツセヨ―――)
久しぶりの小説です!
戦闘シーン、上手く書ける自信は無いですがww
自分に負けず、また自分のペースで頑張って書いていきたいです。
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