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6.入院生活① 点滴のみの日々

 手術後、ベッドに横たわって過ごす。


 横になると手術で切った腹が痛むので、上を向いたままだ。左手には栄養剤と、痛み止めと、感染症予防のための抗生剤の3本の点滴が入っている。但し、点滴3本はまとめて1本になって入る。


 背中には痛み止めが自動で少しずつ入る管が1本入っている。これには押しボタンがついていて、痛みがひどい時には自分で押して痛み止めを増量できるようになっている。以上が体に入っていく管2本。


 体から出る方の管は3本ある。暫く安静が必要なため、尿道には管がさしこまれ、これは点滴の棒(名前がわからない)の根元にくくりつけられた袋につながっている。


 肛門にも管がさしこまれている。これは、腸の中にガスが溜まって手術で縫った所が膨らみ、弾けないように(!)するためらしい。ただ、出てくるのはガスだけではなく胆汁も出るので、これも袋につながっている。


 最後の1本は下腹部に開けた穴から出ており、手術の傷から出て腹腔内に溜まる血やリンパ液を排出するためのものだ。これも小さな袋につながっているのだが、袋の中には大きな洗濯ばさみのようなバネ仕掛けの板が入っていて、これで袋を広げ、管から液体を吸い出す仕組みになっている。


 まあ、こんな感じで、少なくとも今日一日は寝たまま過ごすことになる。


 ◇


 暫くすると、看護師が空になった点滴を取り替えに来る。そして、天井にボールペンでなにか書き付けていく。天井を良く見ると、沢山のメモ書きが見える。

…………って、そんなわけないだろ!


 我に返ってもう一度良く見ると、そんなメモ書きは見えなかった。どうやら一瞬だけ眠って夢をみたようだ。多分看護師が点滴を換えにきたところまでが現実で、その先が夢だったようだ。

 麻酔の影響なのかも知れない。


 その後、消灯時間になって就寝。


 翌朝、まだ暗いうちに目が覚めた。

 ボーッと薄暗い天井を見ていると、小さな蛾が入ってきて天井に留まる。蛾は次々と入ってきて、数十匹位がかたまって留まっている。

 暗くて良く見えないが、この大きさと形はチャドクガではないか?あれは羽の鱗粉に毒があって、触ると痒くなって大変なのだ。困った。さっさと出ていってくれないかな……。

 

 等と思っていたら、蛾は次々と飛び去って行き、やがて一匹もいなくなった。


 良かった。

 って、いや待て。これも夢ではないか?


 どうも夢のようである。一晩経っても麻酔の影響がまだ残っているのだろうか。


 ◇


 これから一週間程はものが食べられないので、点滴のみの生活である。だが、点滴で血糖値が保たれるせいか、不思議なくらい腹が減らない。

 体を起こしてテレビを見ようとすると、腹部が痛む。腹筋が使えないのだ。上体を起こすには電動ベッドを使わないと無理だった。


 時代劇で時々「陰腹を切る」っていうのが出てくる。殿様を諌めるために、家老がこっそり腹を切ってサラシをきつく巻き、その日一日普段通りに振る舞うというあれだ。でも、腹を切ると、痛いだけではなく腹筋が使えなくなるので、立ったり座ったりは無理なんじゃないだろうか。そんなことを考えたりした。


 ◇


 昼前に、看護師から「ちょっと歩きましょう」と言われる。歩くことで腸が刺激されて動くので、腸閉塞の予防になるのだそうだ。


 電動ベッドを起こして上体を起こし、ベッドに座る。そこまでは良かったが、立とうとすると気分が悪くなってしまった。夕方再チャレンジ。

 夕方、今度は立ち上がれた。点滴の棒を持って歩く。ところが足が重い。自分でも驚く程歩けなくなっていた。手術すると、こんなに体力無くなるんだ。びっくりした。


 ちなみに、翌日からはちゃんと歩けるようになり、3日目からは普通の速さで歩けるようになった。


 入院生活編、続きます。

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