4.手術前検査とその結果
担当が外科医に代わって、手術に向けた準備が始まります。
◇
まずは手術前の検査。
血液検査、CT検査、胃カメラ、心エコー検査、そしてまた大腸の内視鏡検査。あと麻酔をかける時にマウスピースを使う関係で歯科検診まで(!)。
CT検査は造影剤を点滴で入れてから検査。がんの転移があった場合、CT画像のなかで光る点のように見えるんだとか。胃カメラは大腸がんから転移しやすいとされる胃がんの確認。心エコーは手術に耐えられるかどうかの確認。大腸内視鏡検査は、検査じゃなくて、切る所に墨汁(!)で目印を付けるためなんだとか。要は入れ墨だよね。
そうして順番に検査を受けていって、心エコーの検査を受けていた時。
検査技師2人が、モニターを見ながら何か言っている。
「ここ。」
ん?
「ほら、ここ。」
え?
何だ今の会話何何何が見つかったの良かったら教えて下さい。
◇
手術前検査が一通り終了した。
担当医から説明を受ける。
「先ず胃カメラの結果です。食道も胃も綺麗でした。ピロリ菌も居なさそうですね。」
「次にCTの画像ですけど……こんな感じで、大腸から転移しやすい肝臓は何もなし。大丈夫ですね……で、ここが大腸。がんがあるのはS字結腸という所で、直腸のすぐ上になります。ここも大腸の外側への癒着は無さそうですね……周りのリンパ節ですけど、ここもCTで見る限り転移は見られません。この辺の小さな点が転移の可能性はあるんですけど、定義で言うと1cm以上が転移ということになっているので、まあ、いまのところ転移は見られません。仮に転移だとしても、全部切除範囲内にあるので、取りきれます。」
それから、がんのステージについての説明。
以下のように分類するらしい。
【ステージ1】
がんが粘膜層の中にとどまる。
【ステージ2】
がんが粘膜層を超えて筋層に達している。
【ステージ3】
がんが周辺のリンパ節に転移している。
【ステージ4】
がんが他の臓器に転移している。
「リンパ節への転移の可能性がまだあるので、今のところステージは2または3です。」
なるほど。
「まあ、ステージ3でも、全部取りきれると思うので、大丈夫ですよ。」
良かった。どうやら死なずに済みそうだ。
「でね、心臓なんですけど、期外収縮が出てますね。不整脈ですよ。普段、生活していて胸が苦しくなったりしませんか?」
去年は結構ありました。今年はあんまりないですね。健康診断では、去年「不完全右脚ブロック」って診断が付いたんですけど、今年は「正常範囲内」って書いてありました。
「そうですか。まあ、手術は問題なく出来そうですね。」
◇
その後、手術やら全身麻酔やらの説明を受けた後、三枚くらい承諾書にサイン。
「ご家族はいらっしゃいますか?」
居ないんですよ。
「失礼しました。」
◇
「じゃ、手術の内容を説明します。」
手術する場所は大腸と直腸を繋ぐ「S字結腸」という所。普通は腹部を切った所から大腸を引っ張り出して切り、チクチク縫い合わせてから腹の中に戻すらしいのだが(そんなやり方するんだ初めて知った)、直腸は腹の中で固定されているため、それに繋がるS字結腸を引っ張り出して切って縫い合わせる、というやり方が出来ないらしい。
そこで、S字結腸を切った後、切り口にワイヤーの輪っかを嵌めて腹の中に戻し、それを肛門から入れた内視鏡で見ながら、腸の中から縫い合わせるらしい。そんなことが出来るんだ。
◇
というわけで、次はいよいよ手術です。