間話 保育園
着々と領土内が変化をしている今日この頃。
雇用も増え、働く女性も増えてきた。兼ねてから考えていた保育園に取り掛かろうと計画書を父様と母様、お祖母様に提出した。
「まぁ、子育てが終わったベテランのお母さんやお婆さん、お爺さん、子供好きの若い子を集めて仕事の合間見てもらうのね。食事の提供をすることで親達の負担がないわね」
「確かに頼る人がいない時にこの施設があれば一人で抱え込まなくても良くなるな」
「母様、お祖母様、あとは働く女性やベテランママさん達を集めて、僕が考えた案で改善できるところがないか意見が欲しいです」
僕の案は前世の保育園の見た感じしかわからない。実際問題育児に携わった人達が不安だったことやこういうものがあったらなど聞いて、開発できたらと考えている。
教会を巻き込み、領内みんなで子育てしていこうとなった。
場所はうちの敷地内と教会と領都、農村でも子供を見る人がいない人には領内馬車を作り、送り迎え付きにした。
食事はスープ、惣菜パン、サラダやフルーツなどを作り届けた。給食センターのようなものだ。そして簡易的な料理だ。
「ケビン、大人達もお金を出すので作って欲しいという要望が出ているぞ」
「本当ですか?大人では量が少ないのではないのですか?父様。お金を出すっていくら貰えばいいのですか?ワンコイン食事ですか?」
「ワンコイン?また変な言葉を使っているよ。ちょっとおやつ替わりや小腹がすいている量でいいらしい。コイン一枚か。それなら領民も負担がないか」
また敷地に建物が増えた。給食センターだ。マジックバッグに入れているので衛生面は大丈夫。これを朝、各施設へ届けにいく。
給食センターの料理人は見習いを多く集めた。ここで基礎から応用まで叩き込み、屋敷や施設の厨房に就職するようにする。各厨房に料理人が必要になってきたので、ここから巣立ってもらおうと計画している。
そして保育園施設は屋敷、魔道具施設、酒造施設、木工施設、錬金施設の働く女性のために一つ作った。もちろん教会内、街、農村にも作った。
今日は農村の保育園施設へ視察に行く。
今回は馬で移動している。馬に乗れない俺は父様の前に座る。
「父様、うちの領地は働く女性が多いのですね」
「そうだな、今までみんなで働きなんとか生活してきた状態だったのだよ。本当に余裕なんてない、辛い時期を過ごしてきたんだよ。お前のスキルが色々教えてくれ、作ってくれるおかげで領民の生活が改善していった。しかし、根底にある働くということが身についているから、やめることができないのだよ。保育園に預けると言っても短時間で、子供達の交流にもなり、本、遊び、運動、勉強と自分の好きなことができるから、親達はありがたいと言っていたよ。給食が出ることが一番良いと言って、子ども達も遊びとご飯を食べにきているよ」
「ご飯を食べに来るついでで良いのですよ。そこで色々なことに興味を持って欲しいです。将来に向けてこういうのを作りたい、やってみたいと思って欲しいです。子供の時はのびのびと生活してその中で学びを覚えて欲しいですね」
「ケビン、お前も子供なんだけどなぁ」
「そうですね、あれ?そういえば僕同年代の友達いないですね。僕、同年代な子供と合うかな?」
「ケビンの口から子供って。うーん、お前はしっかりしすぎているから無理かもしれないが、高位な貴族の子供なら既に嫡男としての教育をしているから、子供っぽさが少ないのでは?」
「それは嫌ですね。高位の貴族とは付き合いは遠慮したいです。やっぱり領地に引きこもりますね、父様」
「ケビン、お前は、はぁ」
農村の保育施設に到着した。
「領主様、ケビン様だ!」
子供達と園長先生が出迎えくれた。
「ナンシー、不便はないか?」
「皆楽しんでおります」
それから施設や子供達がここでどんな生活をしているか見て回った。
今はみんな思い思いのことをしている。剣術ブース、刺繍ブース、お絵かきブース、本のブースなど興味を持ちそうなもの置いている。読み書きと計算の勉強時間はこれからのようだ。勉強風景を見て、楽しそうか退屈そうか見てみよう。
「こちらが教室です。その後給食になります。みんな給食の時間が大好きなのですよ。先生達もみんな給食が楽しみなのです。子供達と勉強やふれあいそして給食など様々な経験できる機会を与えていただきありがとうございます。私も家庭教師しか道はないと思っておりましたが、なにぶん平民は貴族の家庭教師になれず、ましてや女というだけで断られることが多かったのです。そういう思いをしてきた者達が多いのです。大怪我をして騎士を辞めざるおえなかった方も剣術の先生が出来て喜んでおります。こちらの領地では私達の活躍の場を設けていただき感謝しかございません。美味しい料理もありますし、ふふっ。私達も楽しんで仕事をしております。ありがとうございました」
先生達はイーサン兄様やドバイン様、ウェルス様のおかげだ。こんな優秀な先生方を集めてくれるなんて。剣術は退役騎士や怪我を負った騎士達を集めた。これはこの領地に学校を建立する足掛かりとなるだろう。
でも、怪我をした騎士達は温泉に入り、怪我が治りうちの騎士団に入るルーティンができてしまった。だから騎士達の配属サイクルを子供達に剣術を教えることも入れておくことにした。子供達に基礎を教えることで自分自身の振り返りになっていいと言っていたからね。
まだまだ改善が必要だけど、これは子育て支援の第一歩だ。




