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9 精霊様のために

 当初の予定だった、いるかもしれない土精霊様のためのテーブルが出来た。出窓の部分における小さなテーブル。さすがだ、トリニティー、ピッタリの寸法。


 これに昨日作ったテーブルクロス。もう2枚追加しておけば少し長めのテーブルクロスで見栄えがいい。いい感じだ。糸で編んだ花を置いておこう。あっ、でも女の子とは限らないから、男の子用に編みぐるみの馬がいいかな。メルヘン要素があって面白いだろう。


 朝食を食べ終わって、厨房へやってきた。


「どうしましたか?ケビン坊ちゃま。朝食食べたばかりですが、まだお腹がすいているのですか?それとも甘いものですか?」

 僕は食いしん坊ではないぞ。まあ、時々つまみ食いはするけどね。


「クッキーを作りたいので、材料とオーブンを貸してください。邪魔しないように隅っこの方で作るので場所を貸してください」


「クッキーですか?材料は小麦粉と砂糖と卵とバターでいいですか?」


「そうだね、クルミとかアーモンド、あとジャムがあったらお願いします」

 普通のクッキーとクルミ、アーモンド入りクッキーとジャム付きクッキー、メレンゲクッキーでも作ろうかな。チョコチップがあればいいけど母様が作ったカカオの実ができればいいな。


 では早速クッキー作り。材料を混ぜて焼くだけ。簡単だ。混ぜる時は魔力を込めて、おいしくなぁれ、おいしくなぁれ。このセリフは某アニメだな。


 それからメレンゲクッキー。メレンゲづくりが大変だ。よし頑張るか。電動ハンドミキサーはほしい、と、頑張って泡立たせていると料理長が手伝ってくれた。ラッキー。砂糖を混ぜる時に魔力を込める。


 できた、出来たよ、クッキー。


「坊ちゃま、これは何ですか?白いクッキー、さっきの泡立てたものをクッキーにしたのですか?」


「そうだよ、みんな、味見してみる?」


「はい」

 まずはボックスタイプのクッキー。サクッとしていい甘さだ。バターの風味がいい。もう少し甘くてもいいのかな?でも僕的にはこのぐらいがちょどいいかな。クルミなどをいれたほうはアメリカンクッキータイプ。普通のクッキーは棒状にして切ったもの。切り口は丸い形。あとそれにジャムを塗ったクッキー、そしてメレンゲ。


「坊ちゃま、これは全ておいしいです。我々に教えていただけないでしょうか。お菓子は甘ければいいという風習を打破したいです。やはりおいしいものを食べてもらいたいです」


 自分で作ったものは魔力入りなので、とりあえず味見として両親、ジュリに食べてもらった。


「美味しいわ。なんだか体が軽くなったような気がするわ」


「あぁ、古傷が癒えたように感じるなぁ」


「にぃに、からだがぽかぽかする」

 あれに治癒魔法はないぞ。魔力入りだからなんらかの作用があるのか?


「僕の魔力を込めたのでどうなんでしょうね。治癒魔法は僕はないですし、よくわからないです」


 鑑定するのが怖い。あえてしないでおこう。これは精霊様用のクッキーだ。


「こちらが料理長たちに教えたクッキーです。味に大差ないと思います」


「こちらも美味いな。でもケビンの魔力入りの方が体に良さそうだが、料理長たちのクッキーも美味しい。これは良い。仕事の合間とかに食べたいな」


「そうですわね、イーサンとロナウドにも送ってあげたいわね。あの子たちも甘すぎるのは好きではないけど、このぐらいの甘さなら好きだと思うわ。送ってあげましょう」


「そうですね。あとしょっぱいお菓子も作りましょう。ポテイモで作ったお菓子を作ります。気に入ってくれるといいなぁ、兄様たち」


 まずい、また悪どい顔をしたと思う。母様が呆れた顔で見ていたから、でも、どうしてもどーしても母様をバカにした奴らは許さない。この気持ちを王家にぶつけないでどこにぶつけるってんだ!


 とりあえず味のお墨付きをもらったので、今日あたりテーブルにお菓子のお皿を置いておこう。飲み物はアポージュースでいいよね。


 最終チェックを父様と母様、トリニティー、ジュリに見てもらった。


「にぃに、これかわいい。おはなとおうまさん。かわいい」


 ジュリにも作ってやろうかな。ジュリは何が好きだろう。


「ケビン、すごいわ、なんて可愛くできているの!これを全部あのかぎあみ?で作ったのよね。お花や馬もできるの。すごいわ」


「そうです、あのカギ編みの棒でできるのです。精霊様へは気持ちの問題なので、来なくてもしょうがないと思いますが、継続して行っていこうと思っています。本当は来ていただきたいですが、敬う気持ちが大事ということです」


「そうだな、気持ちが大事だ」


 両親とジュリとみんなで笑いながら抱き合った。


 土精霊様、どうか我が領地にお越しください。お願いします。パンパン、合掌。



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