89 またやらかしたのか?疑惑の目を向けられる
父様や兄様達が僕を見るなり、何やらかしたのか!と酷いよ、いつも。まだ何もしてないって。
「どう言うことなんだ?ケビン」
「僕に聞かないでよ。僕だってさっきルガリオ達から聞いたばかりなんだから」
今度はルガリオ達に話を振った。
「長老からね、また酒が飲みたいからここに来ると言っていたんだ。多分もうすぐ新酒ができるでしょ?だから飲みに来るんだって。そこまでは良かったんだけど、海精霊のじっちゃ、いや、長老様が美味しいお酒の匂いを感じ取ったんだって。多分(指を指して)ブラッドが飲んだお酒を感じ取ったと思うんだ。昨日飲んだと言っていたから」
さっきからじっちゃんって言っていたよ。今更取り繕ってもね、ルガリオさん。それほど仲がいいのか?そしてブラッドはヘナヘナと床に座り込んでしまった。腰が抜けたのか?椅子に座らせよう。
「海精霊様が一緒にお越しになるのか?ルガリオ、ルッツ」
「うーん、多分火と風も来るよ。仲良くないけど、来たいと言っていたから来ればーとだけ言っておいた。そっちの長老は知らないけどね。上位の火精霊と風精霊が来るよ。だからまた美味しいおやつとご飯ちょうだいね。あー、でも火の奴が俺たちよりも歳がいっているからお酒かなぁ?」
精霊達はワイワイ楽しそうにしている。ブラッドは蒼白な顔をしている。
「ブラッド、全く気にすることはないよ。海精霊様が来るなら魚介類を持ってきてくれないか言ってみようかな」
ゴン!痛!
「ケビン、催促するんじゃない。土精霊様の時も催促していたではないか。やめなさい」
「あれは催促ではなく、お・ね・が・いだよ。おねがい。あとは精霊様が自主的にやったことだから僕は関係ないよ」
ルガリオ達がフヨフヨとこちらに来て言った。
「じゃー、海のじっちゃんに魚介類頼んでおくね」
長老様と言わなくていいのか?
「いやいやいや、ルガリオ、頼まなくていいんだよ。そんなことを気安く頼んだはダメだ」
父様が止めにはいった。
「とうさま、大丈夫だよ、海のじっちゃんなら気前よくいっぱいくれるよ。その代わりお酒はいっぱい出さないとダメだけどね。海の幸の料理も食べたいな。ケビン、その時はよろしくね」
「うん、もちろん、海の幸の食材が増えればもっと料理が作れるよ。うわぁ、たのしみたなぁ。本当にくれるかな」
「ケビン、催促するなよ」
父様が胡散臭い目をしている。
「ルガリオ、来る時はできればメルシー、母様達がいる時にお願いしたいな。もうすぐ帰ってくるので、話をしてくれないか?」
「そうだね、母様いた方がいいね。魔力が綺麗で美味しいから。わかったよ、でも、長老様達はすぐに来ないよ。だって新酒が狙いだもん。新酒ができたらすぐ来ると思うからその時はよろしくね」
父様はルガリオ達にお願いしていた。そうだよね、母様達も会いたいよね。全員集合で会おう。姉様達もまだ帰らなければいいなぁ。
その後姉様達にも説明したのだが、かなりびっくりしていた。辺境伯領でルガリオ達とは会ってはいたが、水精霊のルッツ達とはここで紹介した。それなのに今度は長老達と、火、風、海の精霊様が来る?本当に?
火ならドワーフのドルトンさんやギダンさん達が鍛冶をするのに便利だよね。火種をもらえたらいいなぁ。
「ドルトンさん達にも言った方がいいですかね。火の精霊様なんて鍛冶屋にとっていいことですよね」
「そうだな、ドワーフにとって火の精霊様は崇めているな。念の為言ってみよう。来ない可能性もあるから、期待しないようにと伝えよう」
昼食が終わり、お茶で一息。はぁ。みんな疲れ切った顔で持ち場に戻って行った。元気なのは精霊達のみ。
「ルーアン、ブラッド大丈夫?疲れたでしょう」
息を吹き返したブラッド。捲し立てるように言葉が連なる。
「なんなんですか?精霊様って?聞いてないよ。それに海の精霊様って何?いったいどれだけの精霊様がここに集結するのですか?」
やめてどれだけの精霊ってフラグを立てないで!それでなくても四大精霊以外、海の精霊様なんているのがびっくり。これは山の精霊やいろんな精霊がい、いや、ダメだ考えてはダメだ。
「僕もわかりましぇーん。うちは土精霊と水精霊がいるだけですから」
「いや、いること自体がすごいことなんですよ!わかってますか?だからここは心地よい魔力が流れているんだ。王女殿下様がいらっしゃるからですか?ん?ケビン様?ですか」
「さぁ、僕はこき使われているんだよ。精霊達や父様達に。酷いと思わない?」
「「自業自得かと」」
「そうだ、ルーアン。トリニティはいつもルガリオ達にお菓子を催促されるからマジックバッグに詰めておいた方がいいよ」
「はい、叔父にそこは聞いておりましたので入れていたのですが、理由がわからなかったのです。ただ入れておけ、とだけ。その意味がわかりました。そして精霊様に紹介いただきありがとうございます」
「私も紹介いただきありがとうございます。実家の領地は海に近いですが寂れた漁村しか管理しておりません。うちの実家どうなってしまうのでしょうか?」
「うーん、海の幸を提供してくれるなら交易してもいいよね。今度行ってみたいなぁ。どんなお魚、貝、昆布などがあるのだろう」
「本当に寂れた漁村です。捨ててしまうものばかりが網にかかるので、後処理に苦労をしているのです」
「本当に行ってみたい。そうだ、兄様の想い人さんの領地も近いの?」
「イーサンの想い人、あー、ライザ嬢ですか。隣の領地です。同じ寄親ですが同じような寂れた漁村です」
「計画を立てようね、ブラッド。いく時はご実家に先ぶれ出すように。よろしくね」
ブラッドが一番疲れていそうだな。
「ブラッド、ルーアン、今は休憩時間。そこの折りたたみ簡易ベッドを広げて寝てください」
布団が干したようにかかっているが、ベッドを広げたら布団が敷いた状態になるタイプ。
「また、すごいものを作っているのですね。畳めるベッド。隅に置いておけば邪魔にならないですね。これは工房にもおいてあるのですか?」
「そうだよ、みんな順番で休憩するんだよ。アラームがあるから時間通りに起きられるでしょ。はいはい、二人とも、疲れているんだから寝てください。僕も休憩しよう」
そして三人して昼寝休憩。あのアイマスクをして。寝息が聞こえてきたから、すぐ寝られたのだろう。僕も寝よう。




