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87 いつものルーティンはみんなで、そして従業員特典披露

 いつもの朝のルーティーンにルーアンとブラッドが加わった。


 みんながいる。思い思いにストレッチをしている。これはラジオ体操を始めてからでいいのではないか?よし、みんなを集めよう。


「みんな、集まって」


 なんだ、なんだと騎士、魔導士が集まってきた。


「みんな各自でストレッチをしているので、ラジオ体操をします。僕の真似をして、やってみてください。今日は見本を見せます」


 みんな、はてなマークだな。あっ、ランドルフ様のお母様もいる。ちょうどいい。


「ランドルフ様のお母様、ちょっとこっちにきてピアノを弾いてください」


「えっ?ここでピアノ?」


 マジックバッグにピアノを入れたままにしていたから、取り出して調律してお願いした。


「楽譜はこれです。ここのフレーズごとに二回弾いてください」


「では始めます」


 みんな、不思議そうにしていたが一緒にラジオ体操をしてくれるみたいだ。


 前奏

「初めは深呼吸して、大きく腕を伸ばしながら回してください、はい」


 ピアノの音がラジオ体操の曲を奏でている。笑っちゃう。


「大きく腕を横に伸ばし、こういう形で屈伸する感じでお願いします」


「次は体を伸ばすように横にしてください。戻す時、二回腕を伸ばして、反対側も同じ」


「次、ジャンプ。上に伸びるかんじで」


 大きく体を回して、前屈してなどなどして最後深呼吸。


「はい、終わりました。ご協力ありがとうございます」


 周りを見渡すとメイドや従者、庭師までいた。みんなでやり切った。


 ガルトレイン騎士団長と父様がやってきた。


「ケビン、この踊りはなんだ?」


「踊りではないです。ストレッチを兼ねたラジオ体操です。ラジオはないけど」


「これはきちんと行えば、汗をかきますね。呼吸と動作で汗をかきました」


 ラジオ体操で汗なんて。えっ、すごい真面目にやっている。僕、まったく汗をかいていないよ。


「ケビン様、音楽をつけて体を動かすのはいいですね」


 おっ、ブートキャンプでもしますか!ケビン式ブートキャンプなんちゃって。


「そうですね、体幹を鍛えるのも大事ですからね」


「ケビン様、たいかんというのはなんですか」


 父様がまた頭を抱え込んだぞ。みんながぞろぞろ集まってきてしまった。ガルトレイン騎士団長の体を借りて説明した。


「なるほど、体の軸がぶれないことで重心の取り方が安定し、スムーズに重心を移動させることができるのですね。ケビン様、体幹を鍛える方法はありますか?」


「急激にやってはいけないよ。まずはストレッチで筋肉をほぐすことから始めるんだよ。筋肉が凝り固まると怪我をしやすくなってしまうからね」


「では、剣術と体幹を鍛えるトレーニングもいたします。まずは朝一番にらじお体操をみんなでします。ケビン様もよろしいですよね」


 気迫に負け、頷いてしまった。


「ケビン様、領内の騎士や魔導士をお前が強くするのか、騎士領地対抗戦というものがある。そこまで強くしてくれるか?頑張れ」


 えー、父様、僕は無理だよ。みんなが笑っているよ。


 何その対抗戦って。王城で領地の代表騎士達が総力戦で違うらしい。体力勝負の戦いだそうだ。結局は王宮近衛騎士や王宮騎士団が強く、次に公爵や辺境伯の騎士団が強いそうだ。ゼーファン様のところのスティングレイ辺境伯騎士団もそこそこ上位に入るが、近衛や王宮騎士団に負けるらしい。一番強者が集うのが王宮ということだ。皆、上位に入るために鍛錬する。そこから近衛や騎士団にスカウトされる人たちもいる。だからみんなやる気に満ちているそうだ。


「えー、そこに勝ったらみんな王城へ行ってしまうの?やだな。やらなくていいのではないの?みんなここにいて欲しいよ」


 騎士団のみんなが照れている。


「ここの環境が良すぎるので、みんなここに留まりますよ」


 みんなが頷いている。でも王宮に抜擢されたのなら行った方がいいと思う。嫌になったら帰って来ればいいのでは?と言ったら泣いていた。泣くこと?


「抜擢されるということは栄誉あることだからいつでも帰って来れると思って修行に行ってください」


 王宮騎士団が修行の場なのか?首を捻るみんなだった。


「それでは、イーサン兄様やっぱり録音機を早く作ってください。音楽を入れて体幹を鍛えるメニューを作りたいですね。あと、アーロン、鍛える道具を作るよ」


 鍛錬の話からなぜ録音機なのか?いったいいくつ早く作れというものがあるんだよ、と言ってイーサン兄様他魔道具士達とアーロン率いる木工具士が地面に崩れ落ちていた。


 さあ、心地よい汗をかいた。朝食を取って執務室か。ブラッドに手順を教えないといけない。やることがいっぱいあるんだよ。


「ルーアン、ブラッド、今日は仕事の流れを教えるね。いつも一人でやっていたから、分業できるのが嬉しい。その前に従業員特典、ジャシャーン、アイマスク。あとはマジックバッグの容量を聞くので教えてね」


「は?」

「やっぱり」


「やっぱりって、イーサン兄様達に聞いたの?ブラッド」


「はい、従業員特典でアイマスクとマジックバッグが支給されることを聞きました。アイマスクの目を選ばせてと言った方がいいと聞きましたか、もう作ってあるのですね」


「うん、そうだよ。二人のことを思い浮かべてこんな目がいいかなぁと。はい、アイマスク」


 渡したアイマスクは目の色は本人の目の色。ルーアンは忍者のアイマスク。目は細い目が笑っている、いやらしそうな目にしてみた。ブラッドはもともと髪の毛がライオン◯のような風貌だから歌舞伎の目にした。ザ・カブキ。髪の毛をぐるぐる回してもいいよ。勘定奉行として、会計に勤しんでほしい思いを込めて作ったよ。赤いハチマキが特徴だよ!


「あははは、やっぱり、そういうのを作ったか、ケビン」


「イーサン兄様、ロナウド兄様」


 執務室に兄様方が様子を見にやってきた。


「ケビンがどんなものを作ったか楽しみにしていたんだよ。二人ともよく似合っているよ」


「二人とも休憩時間はきちんとそれをして寝るんだよ。時計を作ってあるからアラームで起きれるはずだ」


「イーサン、とけいってなんだ?」


「ブラッド、ルーアン、これが時計と言って時間がわかる魔道具だ。設定した時間に起きられるようアラーム機能付きだ。ぐっすり寝ても起きられるから大丈夫だよ」


「とけいってなんだよ、それ。イーサン、どれだけすごいものを作ったか自覚があるのか?教会の鐘以外で時間がわかるなんて、すごい魔道具を作ったな」


「すごいだろう!教会の鐘をずっと数えながら待っていたんだよ。コツコツと毎日数えて、努力の賜物だよ。これもケビンが作ってと言ったものだけどな。毎朝起きられるよう、従業員には支給している。部屋に置いてくれ。寝坊するなよ。アラームを消して二度寝、なんてザラだからな」


「これも従業員特典。待遇が良すぎる」


 二人は時計をマジマジとみている。そんな二人をよそに僕はマジックバッグのことを聞いた。


「そしてマジックバッグだけど容量はどのくらいがいい?本人だけしか使えないバッグだけどいい?家族と一緒がいいなら、後で言ってくれれば上書きします。どのくらいの大きさがいいですか」


「もう頭が理解不能になっているよ、イーサン」


「ブラッド、まだ序の口だぞ」

 

 遠い目をしている従者と事務官。頑張って。


 ルーアンはトリニティと同じ容量が良いと、ブラッドはセドリック達と同じで良いとなった。


「初期従業員特典は以上です。また追々渡しますのでよろしく」


 二人はまだあるの!と驚いていた。いっぱい働いてもらうからね。よろしく。


 ブラッドはイーサン兄様や友人達がいるからすぐ慣れるだろう。


 ルーアンはすでに疲れた目をしている。メンタルになられては困る。


「ルーアン、有給休暇は必ず取ってね。心身ともに有給で休んでね」


 二人とも雇用契約の話をしていなかったので、それから有給休暇、傷病休暇、夏休、看護休暇、結婚休暇を説明。これは騎士団や魔導士団、魔道具士、木工具士、酒造部などにも取り入れている。前もって休みを報告すれば、いないなりに仕事を進めるし、風邪など体調が悪かったら急遽でも休むようにお願いした。無理は禁物。


 大切だと思う家族を大事にするようにと伝えた(厄介な家族は別に放っておいて良い)これ一番大事。



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