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83 面談2

 今度は単身者の面談だ。みんな真面目な人たちだった。兄様達の友人や先輩が多い。魔道具職人の狭き門。魔道具以外の職種を選び、魔道具への想いを志半にして諦め、世間の荒波に揉まれ心が荒んでいったようだ。兄の誘いに快く来てくれた人達。ここに来てから、忙しすぎると愚痴を言っている話も聞いたが、事務官としての忙しさより断然ここがいいということだ。つかみはオーケー。よかったよかった。


 単身寮は二階建てのアパート形式。もちろん各部屋に1DK、風呂トイレ、防音完備。ご近所さん騒音問題に注意だよ。


 某友人の体験談だが、マンションを買ったが、子供の走る音がすると下の住人からドンドンと棒で叩く音が聞こえると。別の友人は、下の住人がやはり子供の走る音など何かにつけ苦情を言いに来るので奥様がノイローゼになり、実家に帰った。夜、下の住人が待ち伏せしていて、昼ベランダで布団を叩く音がした、埃が落ちるからやめて欲しい、子供の走る音がうるさいと苦情を言いに来たみたいだが、すでに奥さん、子供は実家に帰ってしまっていないよって、集合住宅の怖い怖い近隣事情。


 そうならないためにも防音完備。


 近隣トラブルは必ず言って欲しいこと、結婚をしたら家族寮を作ることを伝えた。


 多少無茶振りをするかもしれないので柔軟な考えを持っていて欲しいことを伝えた。


「本当にこのケビンは無茶振りをしてくるから、みんな心に留めておくように。そして、こんな生活もう嫌だと思ったら、相談して欲しい」


「イーサン兄様、それ僕のせいになるのですか?」


「多分大丈夫だよ。今でさえ忙しいがみんな生き生きして、魔道具を作っている。まだまだ、ケビンの作って欲しいノートに書いてあるものは作れていない。他が忙しいからな。ノートは皆に見せて、俄然やる気になっている。皆で考えながらやっているよ」


「あーよかった。また、作って欲しいノートに追加を書くのでよろしくお願いします」


 周りからは、まだあるのか?どんな頭をしているんだ?ワクワクするな、などさまざまな想いが聞こえてきた。


 イーサン兄様が頭をぐしゃぐしゃに撫でまわし笑っていた。


「ケビン、お前は全く」


「取り急ぎ、自転車もしくは三輪車を作ってください。敷地が広いので作って欲しいです。一応見本のパーツは作ってきたので、組み立ててください。それから自分たちで考えて作ってくださいね。よろしくお願いしまーす」


 パーツを作ってきた?組み立て?あとはよろしく?ちらほらと聞こえてきたが無視。ワラワラとパーツに集まってくる魔道具士達。あとはお任せだ。


「はぁ、ノートにあったな。それが取り急ぎ作ってもらいたいものか。みんな、通常の作業をするもの、じてんしゃ?さんりんしゃ?を作る者とわかれるが、その前にみんなの意見を聞いていきたい。頼んだぞ」


「「「「「はい!!!」」」」」


 こうして工房は一つになっていた。


 それから、工房近くに社員寮を作ろうとしたところ、トリニティから待ったがかかった。


「イーサン様、ロナウド様、ケビン様、屋敷勤めの従者や庭師、農作業のもの達の単身者の従業員施設を一緒にしていただきたいです。家族寮はこの前ケビン様がお造りになりましたが単身寮は屋敷内に設置されております。できましたら、単身者の者達をここに住まわせていただくとありがたいです」


 そういえば単身者は屋敷の屋根裏近い部屋を割り当てられているんだった。イーサン兄様とロナウド兄様が俺を見て、頷いた。


「それでは真ん中に食堂と温泉施設で、左右屋敷に近い方が従者達、工房に近い方が工房で働く人たち。女子寮が東側。温泉と食堂ありで良いかな」


 みんなが大きく頷いた。


 アパート式従業員寮。アーロン達木工技師の力も借りて二階建て横広のアパートを作った。温泉施設は水精霊のルッツ達の力を借りた。


 みんな唖然としていた。


「イーサン兄様、部屋決めはどうしますか?かなり部屋数があるので好きなところでいいのですか?部屋決めをしておいてください。それと、ですね、イーサン兄様、重ね重ねすみません。魔道具を作ってください」


 俺は上目遣いでお願いした。


「今度はなんだ?じてんしゃのほかに何を作って欲しい。今みんなが集まっているからみんなの前で言ってくれ」


 みんなの前で言うの?イーサン兄様を見つめてしまったよ。


「みんなに言った方が早いだろ?今、作っているのはお金を入れれば決められた分量のお酒が出る自動販売機だ。そしてこれからじてんしゃ、で、なんなんだ!」


 気迫に勝る兄上様。


「えーと、食堂にボタンを押すと水やお茶が出る機械が欲しいです。お金を入れないタイプです。食堂やお風呂施設には必要です。いつでも飲める水やお茶。それと料理を温める電子レンジ?かなぁ。冷えてしまった料理を温めれば美味しいかなぁと。もしくは保温性がある料理棚。そこに入れておけばいつでも暖かい。冷たいものは冷蔵庫に入れておけばいい。あれ?冷蔵庫ってあったかな?冷蔵庫も欲しいです。マジックバッグに入れておいてもいいのですが、そこは社員寮に住む人たちの便利性を考慮した形です」


「イーサン、やはりケビン様の考えはすごいな。次から次へとよく考えつくな。これをこなしていくのだな、私たちは。はぁ、しかしマジックバッグがあるのか?そこに料理を入れておくのか。保温性のある料理棚。れいぞうこ?冷やす箱か。そしてボタンを押すと水とお茶が出る装置か。立派な家を建ててもらったからな。頑張るか」


 みんなが頷き合っている。


「イーサン兄様、ロナウド兄様、では部屋決めをしておいてください。これからみんなの分の布団を作ってきます。そうすれば基本的な生活はできますよね。では言ってきます」


「お前の弟すごいな。従業員想いなのはわかったが、あははは、振り回されること確定だな。楽しいな。早くブラッドが来ないかな。楽しくなるぞ」


 いや、面倒が増える予感しかないイーサンであった。


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