76 みんな揃っての昼食
これで騎士達も喜んでくれたらいいな。量は足りるよね。みんな大柄だからどれぐらい食べるのだろう。ここで一緒に食べてみようかな。楽しそう。気を使われても困るから帰るとするか。
「じゃー、このパスタの味、どれが美味しかったか感想聞かせてね」
「かしこまりました。全て満足がいく料理です。ありがとうございました。騎士達のうまそうに食べる姿が目に浮かぶようです、ふふふ」
料理人達も満足いく顔だ。これからは両方の料理人に教えていかないと、片方だけでは不公平だった。配慮が足らず申し訳なかった。
よし、それでは昼食に向かおう。
「料理長、忙しい時に来てもらってありがたかった」
「ケビン坊っちゃま、何度も何度も繰り返せばそれ以上ものができますので、経験することは嬉しいことです。逆に経験を積ませていただきありがとうございます。本邸は最後の仕上げと盛り付けだけになっておりますので大丈夫でした。また新しい料理の時はランドル達も呼びましょう」
「そうだね、それでは昼食にしよう」
「かしこまりました」
本邸のダイニングではみんながすでに集まっていた。母様もいた。ずっと自室で食事をする生活だった母様。一緒に食べられるのはうれしい。
「遅くなりすみません。待たせてしまいました」
「ケビン、大丈夫よ。みんな、新しい料理が食べられると知って早めに来ているのよ」
母様も産後の肥立も良く、普通の生活ができるようになっている。でも、出産後初めて一緒に食べる昼食だ。
「母様、体調大丈夫ですか?」
「もう、ケビンもみんなも心配性なんだから。もう起き上がって普通の生活をしていたわよ。ルーナもそろそろみんなと一緒に生活を共にしたいと思っているわよ」
「それならよかったです。今日は新しい料理を作ったのです。お口に合えばいいのですが」
「さっきの肉まんとピザまん?を食べたけどとても美味しかったわ。旦那様達はもう少し大きいサイズだったらしいけど、私たちのはかなり小さかったわよね」
「母様、あれは試食として作ったので小さいのです。父様達は自分で包んで作ったので、大きさが大きかったと思います」
「まぁ、男性陣はみんな自分で包んで作ったの?楽しそうだわ。今度私たちにも教えてちょうだい。では昼食を始めましょう」
あれ?先ほど騎士の食堂で作ったカツレツなどがだされている。料理長を見るとウインクされた。流石に女性には魔物肉は出せないのでパスタだけみたいだが、すごい量だな。
「トーマス、今日は全部新しい料理か?男性陣の前にしか置いてないこれはなんだ?」
「旦那様、こちらは討伐した魔物肉の料理なので女性方には出さなかったのです」
「オークなどの肉か?」
「そうです。魔牛は飼育しているので安全かと思ったのですが、さすがに討伐したオーク肉を女性に出すのは気が引けましたので、男性のみの提供になります」
「まぁ、私たち辺境の女性はそんなやわで早いわよ。普通にオーク肉など食べていますわよ」
料理長がぺこぺこ申し訳なさそうにしていた。そこは父様が助け舟を出した。今回は新料理が多いので、夕食に出すとなった。辺境では討伐した魔物肉を女性も食べるのか。別に食べても問題ないなら料理考えるけどなぁ。
それからパスタの食べ方というか日本しかしないかもしれないがホークとスプーンでの食べ方を伝授した。初めはうまくまとまらなかったが徐々にクルクルとまとめてて食べていた。みんな綺麗な食べ方だ。ジュリは短く切って食べさせた。
「この緑のソース、苦いのかと思ったらうまいな」
「私はこのクリーミーなソース、美味しいわ」
みんなそれぞれ感想を言っていた。
「ぼく、このパイとこのらざにあが好き。でもぜんぶすきー」
男性陣はカツレツやメンチカツの方を食べ始めた。
「これはうまいな。バンバーグを衣をつけてあげたのか。こんな食べ方もあるのか」
ゼーファン義兄様がガツガツ食べている。さっき肉まんをいっぱい食べていたよな。パスタまでなくなっている。
「旦那様、もしおかわりが必要でしたらお声がけください」
料理長、こんなにあるのだからおかわりは流石にないだろう。と、皿を見るとなくなっている。よく食べるなと思うがまさかおかわりはないだろう?うちは細マッチョなのにその量はどこに行くの?
「料理長、このグリーンのパスタとラザニア?が欲しい。パイもつけてくれ。ポテイモの揚げ物も頼む」
それから怒涛のおかわりは攻撃。ロナウド兄様、ゼーファン義兄様、幾つ頼むのですか?
女性陣も少ない量で全部と言っている。
そこに副料理長が料理長に耳打ちをしていた。
「ケビン坊っちゃま、至急騎士食堂へ来て欲しいのです」
「なにがあったの?」
「本日の料理ですでに料理がなくなってしまったということなんです。また足りないと言っているらしくどうしたらいいでしょうか」
足りないって?あれだけ用意したのにまだ食べるのか!
「しょうがない、僕の確保しているものを全て出すよ。また作る時、料理長、副料理長、一緒に作ってくれるよね」
「「もちろんです」」
「父様、騎士の食堂へ行って参ります。皆さんはゆっくり食べてください。母様達デザートはシフォンケーキというふわふわケーキとプリンです。おかわりはありますのでゆっくり召し上がってください。では騎士団の食堂へ行ってまいります」
部屋を出たら料理長に抱えられ、食堂に直行した。僕の足が遅いのか?早い方だと自負していたが足の長さの違いだろう、きっと。みんな俺を抱えて走れるほどの腕力と体力を持っている人たちばかりだ。
「ケビン坊ちゃまは軽すぎますよ」
えー、軽いの?それにしても移動が楽だなぁ。




