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7 スキルについて

 母様が何か言いたそうに見つめてくる。その後、夕食に来ない僕たちをトリニティーが呼びにきた。母様に夕食後話がしたいので執務室に行って良いか聞き、夕食後執務室に向かった。


「母様、父様、二人に話したいことがあります。人払いをお願いしたいです」


「トリニティーはいいか?」


「はい、いろいろ相談していきたいので、大丈夫です」

 両親、執事のトリニティの前で自分のスキルのことを話をした。


「まず、魔力量なのですが、無限です。枯渇することがないということです。魔法属性はなしです。ただ、スキルが鑑定、空間、付与、デザイン/クラフト、錬金があります。鑑定は便利です。材料やどんな商品になるかなど教えてくれます。空間は収納、アイテムボックスなのですかね?まだ試していないのでわからないです。付与もです。ですが、このレース編みを精霊様のために一編み一編み編んだので、鑑定すると土精霊様のレース編みとでます。これが付与なのですかね?デザインはたぶんいろいろなものをデザインし作るということなのでしょうか?このかぎ編みもそれがイメージ出来ました(そういうことにする)」

 僕は一気に説明した。


「ケビン、鑑定があるのか。これは秘匿事項だ。たぶん王族の血が流れているから鑑定や空間が発現したのかもしれない。王族には知られないようにすることでいいか?メルシー」


「もちろんです。王家には絶対言いません。ケビンを取られたくないです」


 母様の王家不信は絶大だ。幼少の時、家族には良くしてもらったが王家の側近や周辺貴族には様々な嫌がらせなどを経験した母様。そして結婚後は王家からの歩み寄りはない。あちらが高位だからしょうがないが肉親なのにという思いはある。国王陛下や王妃様にとっての孫は俺たち以外。他の孫達とは会っていて誕生の祝いをされている。僕達にはない。会ったこともない。晩餐会で両親は会っているが臣下としての挨拶のみだそうだ。こちらも割り切りというより、王家は王家だ。王家の血は流れていないと思っている。


 それは家族全員の総意だ。


 長兄も宰相様の補佐官だが、王家とは関わろうと思っていない。本来従兄弟である現王太子様の子供と同学年だが関わっていないということだった。向こうからもやはり歩み寄りはない。両親からは子供が産まれたからと言って挨拶もお祝いもなかったらしい。結婚の時、頼るなということだから、完全別離と考えていいのだろう。ただそれが拍車をかけ、高位貴族の同年代からの兄への対応が冷たかったらしい。しかしクラスも違う(王族、高位貴族のみのクラスと兄様は特進クラス)そして兄の頭脳は優秀だったため、そちらと関わらず過ごせたらしい。


 はあ、面倒だな。王族なんて関わらなくていい。普通に過ごせればいいのだ。


 でも、母様の心は両親に拒絶されたという気持ちでいっぱいだろう。せめて子供が生まれた時など、表だってではなく、密かにお祝いの手紙などあっても良かったものを。母様のお祖母様、王太后様や兄弟達からは密かに手紙が来たらしい。それだけは救いだ。表立って何もしていない状況だから臣下内では、冷遇王女と今でも思われている。表立ってしてくれればいいのにと思うが大人の事情があるのだろう。めんどくさい。


 母様は無類の愛情を僕ら子供達に注いでくれている。俺は温かい家族に恵まれた。


 脛齧りのスタンスは変わらない。ただのんべんだらりと暮らすには基礎となるお金がやはり必要だな。


「ケビン、お前の空間と言うのはアイテムボックスか?付与はエンチャントなのか?」


「ちょっと待ってください。ステータスに書いてあるか確認します」

 みんな僕を不思議そうに見ている。何だろう。変なことを言ったか?


「ケビン、お前のステータスオープンはやり方が記載されているのか?」


「父様、違うのですか?どうやって使用するか書いてありますよ?」


「そうなのか。母様のスキルが我々には全くわからなくて使用できなかったのだよ。注釈だけが書いてあっただけでどうやって発動し何をすれば良いかわからなかったのだよ。お前のは便利でいいな」

 えっ!みんな書いてないのか?自分のスキルなんだから、教えてくれたっていいだろう。


「母様のスキルは誰もわからないスキルだったのだ。だから、王族なのに、魔法属性もなくスキルも使えないと口さがない者たちがひどいことを母様に面と向かって言っている奴らもいたんだ。母様と血縁の大人たちはそれを諫めようともしないんだ。どれだけ母様は心を痛めたか」


「ちなみに母様のスキルは何ですか?教えていただけますか?」

 ふたりは顔を見合わせて、言うかどうか考えていた。僕は8歳だからな。僕に言ってもわからないと思うよな。


「今まで誰もわからなかったのに、お前に言ってもなぁ。ただ魔力量が無限で鑑定を持っているケビンだ。何かひらめいたことがあったら、子供視点でいいおしえてくれ」


 母様が意を決して俺を真剣な、それでいて不安そうな瞳で見つめてきた。


「私のスキルは創作種/創造種というよくわからない、文献にもないスキルなの。作った種はどんな土地でも育てることが出来る、ただし本人が希望しない場所では育たないと注釈があるの。そこまで詳しく家族には伝えていないの。その前にハズレだなど言われてしまったので、それ以上何も癒えず俯いてその時が終わるのを待っていた苦い記憶があるのよ」


 そうぞうしゅ?創造した種?ん?種を作ってくれるのか?マジか!すごくないか!この大陸にないものも作れるということか?うぉーー。夢が広がるスキルじゃないか。


「ケビン、お前、喜んでいるよな。ど、どうした?」


「えっ、父様、母様、だって創造して種を作れるのですよ。すごいじゃないですか。植物図鑑ないのですか?俺、作ってほしい種あります。この大陸にあるかわからないけど、想像すれば種が出来る?俺が植物の絵を描いて、母様が願えばその種ができるってことですか?それなら、本当に最高ではないですか。その種は気候に関わらずどんなところでも育つなら本当に便利なスキルじゃないですか。やったー、これでおいしいものを作るぞ。やったー」

 小躍りしている僕を見て、両親は気がふれたかと思ったかもしれない。


「ケビン、ケビンや。お前はこれがどんなスキルかわかるのか?」

 父様が読んで字の如く、そのまんまではないか。なぜわからないのだ。貴族だからなのか?


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