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65 まだ、帰れないな

 復興は着々と進み、僕たちがいなくても大丈夫な状態になりつつある。


 そこへ、ルガリオ達がやって来た。


「ケビン、この領地に前言っていたホップという植物が自生しているよ。いっぱいあるよ。どうする?」


「えー、ルガリオ、ホップがあったの!ここは自然が多いし、気候的にあるかなぁなんて思っていたけど、あったんだー、やったー」


 大喜びをしている僕のところへ父様達にがやって来た。


「どうしたんだ?ケビン、そんなに喜んで」


「父様、ホップがあったんだよ」


 父様や兄様達が意味がわからない怪訝そうな顔で見つめている。


 ここにはうちの家族しかいないけど、少し小さい声で話をした。


「ここの領地にホップという植物が自生していたのです。やりましたよ、父様」


「ケビン、そんなに喜ぶような植物なのか?」


「それはもう、エールより美味しいお酒ができます。これを蒸留して炭酸があれば喉越し爽やかなビールができます」


「ケビン、またか。またなのか」


 天井を見上げて放心状態な父様。イーサン兄様とロナウド兄様は新酒を作るのかとワクワクしているようだった。


「父様、これを持っていって母様に種を作ってもらってもいいですし、このホップを卸してもらってもいいですね?もしくはここで作ってもらうかです」


「なるほど、うちはかなりのお酒を作っている。違う種類の酒か」


「麦の味によっても違うお酒の味になるので、大麦を作っているところに作ってもらってもいいですけどね。うちが作ったらうちのお酒が一番美味しいとは思いますが、好みがありますからね。どうですか?」


「なるほど、確かに違う土地で作られた麦が同じ味になるかどうかはわからないな。ただ、ウィスキーなど工程が同じだから作り方がバレてしまうだろう、そこを懸念している」


「そうですね、やはり我が領地ですることが一番安全ですよね」


 やはり作り方を秘匿するなら、自領で作るしかないか。ホップをもらっておこう。母様に作ってもらおう。


 でもなぁ、やっぱり姉様達にも作って欲しいと思ってしまうんだよな。


「ケビンはこの辺境伯領でビールを作って欲しいのか?この領地が潤えばクラウディアの心は保たれるからな。今までも今回のようにゼーファン様達の心配と、衣食住の心配で気苦労が絶えなかっただろう。はぁ、イーサン、ロナウドお前達はどう思う」


「私はいいと思いますよ。それでなくても私は魔道具開発で忙しいので、お酒まではムリです」


「私もいいと思います。お酒造りはまぁ真似されるでしょうが、それに負けないお酒を作ればいいだけのことです」


「そうだな、色々な好みの味のお酒があっていいな。よし、ちょうどドワーフのギダン達がいる。蒸留する器材を組み立てられだろう。お酒のことだ、早く作るだろうなぁ」


「蒸留機の作り方を教えなければいいのです。これはうちの特許品。魔道具を解体すればお酒が作れなくなりますし、真似したければ、その領地にお任せということでいいのではないですか?魔道具の作り方は教えないですけどね、ふふっ」


「ケビン、悪どい顔をしているよ、気をつけて」


 ロナウド兄様に注意されてしまった。ニヒルと言ってくれ。僕は越後屋とお代官様ではない。


「できるかどうか、ここで試してうちで作ってもいいですね」


「ケビン、お前、本当に悪だな」


 えー、はじめうちで作ると帰ってからになるし時間がかかるから、辺境伯領でビールができるか確かめてもいいんじゃないのか?だめなのか?


「では辺境伯に言ってみよう。その時ドワーフ三兄弟にも器材を作ってもらうので一緒に聞いてもらおう」


 それから、新酒を作って欲しいことをお願いした。ギダンさん達には、蒸留する器材と木樽を作ってもらうようお願いした。もちろん契約魔法ら必須だ。


「酒のためならなんだってやるぞ!なんでも言ってくれ」


 ギダンさん達はノリノリだ。


「しかし、いいのですか?こんな大事なことを我々に任せていただけるなんて感謝しかありません」


「トーマス殿、まだ成功するとは限りません。提案はしますが、作るのは辺境伯の皆さんです。我々も軌道にのるまで協力は惜しみません。一緒に頑張りましょう」


「がははは、私も自領で酒造りの責任者だ。レオン、一度うちにあそびにこい。楽しいぞ」


「いいな、でもここで酒造りをするなら、私も参加しなければ。ロイド、お前は飲んでいるだけだろう」


「わははは、バレたか。みんなで試飲をしているんだよ」


「本当に試飲かよ。試飲にしては多く飲んでいるのだはないか、あははは」


 みんなが明るい気持ちになってよかった。未来を考える気持ちが大事だ。


「ケビン、本当にありがとう。あなた達が来てから笑顔が絶えないわ。領民達も希望を持っている。心が癒され、未来に気持ちが向いている、本当にあの時は絶望しかなかったけど、今は楽しいわ。未来に向けて頑張っていけるわ」


クラウディア姉様の笑顔が眩しい。本当うちの家族はみんな美男美女だ。


「ケビン、本当にありがとう。改まってお礼を言えなかったから本当にありがとう。あのポーションはすごいよな。そしてお酒か。みんな酒好きだからな。でも君が弟で良かった。クラウディアとこれからも愛し合っていける」


 2人で見つめあっているよ。リア充め!


「姉様達、私の前でイチャコラしないでください。2人の時にしてください。子供の私の前でやめてください」


 2人は真っ赤になっていた。


「すまんすまん。でも、ケビンは体は子供なのに、考えは大人のようだよ」


 どこかのアニメと一緒だけど、推理はできないし、ベルトからボールは出ないぞ。マジックバッグはあるけどな!


 大人達はお酒の話で盛り上がっている。ウィスキーを出して飲んでいるよ。父様とお祖父様、ダメダメ大人じゃないか!


 僕につまみを出せと強請る大人達って!





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