63 なんで来られるの?
大人たちは大人の会話をしているので、僕は姉様にルガリオ達の刺繍の額をどうしたのか聞いた?
「姉様、土精霊様達の刺繍の額はどうしたの?飾ってほしいなぁ。ルガリオ達はかわいいんだよ。食いしん坊だけど。水精霊のルッツたちもかわいい。今回のはまだ水精霊様達が来ていなかった時だからルガリオ達が、フォーゲリア領地を飛び回っている刺繍を作ったんだよ」
「えぇ、ケビン。懐かしいフォーゲリアの家があって、そこにたわわに実った黄金色の小麦や丘の上を土精霊様達が飛び回っている刺繍。本当に素晴らしかったわ。今、フォーゲリアの領地は黄金色に染まっているのね。まだどこの飾ろうか考え中だったの。みんなが集まる談話室に飾ろうかしら?それとも執務室。とりあえず持ってくるわ」
姉様はしばらくして箱ごと持ってきた。見ただけでまだ出してないんかーい。まぁ、それどころではなかったのだからしょうがない。
「これが土精霊様達なのね。本当に可愛いわ。そして刺繍が素晴らしいわ」
アマンダ様達が刺繍を褒めてくれた。嬉しいなぁ。絵画だ、と、そこまで自画自賛しないが良い出来だと思う。
あれ?額?刺繍?が光った。なぜ光る?
「「「「「わーい、やっと繋がった。いつ繋がるんだろうって待っていたんだ」」」」
ルガリオ達が刺繍から飛び出してきた。
「えーー、なんでルガリオ達、ここの来られるの?」
「だって、ケビンの魔力を通って来たんだよ。ここがケビンのねえさまの家なの?ねえさま、どこ?ねえさま、あー、いたぁ。魔力が似ている。かあさまの魔力、流れている」
姉様を肘でつついた。返事してよって。
「ケビンの姉のクラウディアよ。はじめまして、土精霊様」
「ケビンのねえさま。ねえさまってこれから呼ぶね。土精霊様なんて言わなくていいよ。名前で呼んで」
それぞが自己紹介している。父様は床とお友達になり撃沈している。
トーマス様やゼーファン様達辺境伯家はびっくりしている。兄様達は苦笑い。イーサン兄様の方にロッソ、ロナウド兄様にはトール、撃沈している父様にタール、タールは父様の頭をいい子いい子しているよ。
「あー、ルガリオ。こっちの来られたんだね、父様、びっくりしたよ」
「うん、とうさま、ケビンの魔力を通れば来られるよ。ねえさま、ねえさまの魔力を流せば少しはここの領地は良くなるよ。ケビンやかあさまほどの強い魔力ではないけど、流せばいいと思うの。そうすれば、僕たち、外に出られるよ。ねえさまの魔力はそんなに多くないから、そんなに加護は与えられないけど、少しだけ加護を与えられるよー」
またまた、辺境伯側は驚きと喜びに溢れていた。うちの家族は、普通だ。慣れは大事だ。
「クラウディア、やってみないか?流し方はケビンが教えてくれる。母様も領地の魔力を流したのだよ。やってみたらいい」
「そうですわね、お父様。私やってみようと思います。ここの領地が少しでも良く慣れば領民達の暮らしが良くなるわ。ケビン、どのように魔力を流すか教えてほしいの」
トーマス様達がルガリオ達に挨拶をしたいとおっしゃったので、一旦紹介の場を設けた。トーマス様達は片膝をついて、挨拶をした。デジャブ!これ父様達も最初に挨拶していた。
「土精霊様、お初にお目にかかります。私、この土地、スティングレイ辺境伯当主、トーマス ルデイン スティングレイと申します。どうぞお見知り置きを。こちらが我が家族です」
「そんなにかしこまらないで。僕はルガリオ。ここにいる土精霊たちは上位精霊なんだ。よろしくね」
ここでもみんなの自己紹介をした。
自己紹介も終わり、僕たちは外の出て、母様の作った種をまく予定の畑にやってきた。姉様の魔力をこの辺境伯の領地に流すのだ。
「姉様、土に手を当ててください。母様に教えたのは、地面に手を置いて魔力を流しただけです。イメージですよ。自分の魔力を春っぽく薄い黄色にイメージしてそれを地面に流す感じ?暖かく、花や木が喜び、地面にいる種や虫達が喜び、妖精達がふわふわと踊り舞うようなそんなイメージです。イメージして地面に流してみてください」
「イメージね。土にいる種や生き物たちが喜ぶように魔力を流す。手から魔力が出る感じのイメージね。手が温かくなったわ。広く流すように」
「姉様、もうやめた方がいいです。姉様の魔力が枯渇してしまいます。でも、広く流せましたね」
「ケビン、あなた、魔力が見えるの?」
「えっ、あー見えるかも」
姉様が小声で言ってくれたのでトーマス様達には聞こえていないようだ。よかった。
「わーい、ねえさまの魔力が流れたね。少し加護を蒔いてくるね」
ルガリオ達が飛び回っている。トーマス様達は、また膝をついて感謝している。
僕は眺めているだけしかできないが、辺境伯領が少しでも潤ってくれれば、姉様の心労も軽減できるだろう。
「なんというか、ありがとう。フォーゲリア伯爵領の恩恵をお裾分けしていただいたようだ。本当に精霊様がいたのだな。そして、ドワーフ族やエルフ族しか見えないと言われた精霊様達が見えるなんて、貴重な経験だ。あっ、うちにいるドワーフたちが騒がしくなりそうだな。向こうから走ってきている。さて、どう説明しようかな」
鍛冶をしているドワーフたちが走って来た。そして平伏している。精霊たちが本当に見えるんだ。
「ルガリオ達、帰っておいでー」
大声で戻ってくるよう伝えたら、すぐ目の前に来た。転移が出来るのか?
トーマス様がドワーフたちを呼んでいる。
「おーい、ギダン達、こちらに来なさい」
平伏していたドワーフさん達が走ってやってきた。
「領主様、これはどういうことじゃ。精霊様がいらっしゃるなんて。奇跡だ」
そしてまた平伏した。平伏やめよう。普通に話そう。ドワーフのギダンさん、ロゴさん、ビッツさん。うちの領にいるドルトンと同じ風貌。親近感がわくな。




