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59 クラフトスキル発動

 復興は着々と進んでいる。


 城壁は土魔法士達、それも強固とした第1の壁、第2の壁のなかに生活居住空間と農耕地や家畜などが点在する。土魔法士達の有用性が分かって、今回土魔法士達は大活躍をした。


 衛生面のお風呂は水魔法士達、火魔法士達で行なっている。食事類は僕たちが持ってきた材料で賄っている。炊き出しだ。災害時には炊き出しが必須。それを僕達で作っている。もちろん女性陣が先頭を切って作っている。僕は味見担当と甘味担当。疲れた時には甘いものだよ。


 大人達はあれから話し合いと契約魔法追加を行っていた。靴下は僕が作ったので、特許は僕。そして作るのが辺境伯領民、窓口はロナウド兄様の商会となった。そして糸紡ぎの魔道具を格安で購入。そのうちイーサン兄様がもっといいものを作るだろう、辺境伯領民にデザインを俺が伝授することになった。鍵編み、棒編みを教えた。基本的なパターンを教え、あとは各自の創作次第だ。


 母様が作った種を植えた。小麦、大麦、ポテイモ、オニオだ。主食になる物を植えれば何とかなるだろう。じゃがいも、ここではポテイモは家畜の餌という認識なので抵抗があったが、試食をさせたら意識が変わったようだ。ダメなら家畜の餌でも良い。


 あとは住む家なんだ。城壁に近い家は壊滅、中央に行くほど家は無事である。今もまだ避難所で生活している人達が大勢いる。


 これの打開策はあるのか?家がないと通常の暮らしができない。食事は僕たちの炊き出し。寝るところは、他の人たちもいる雑魚寝状態。気が休まらないということだ。子供達は周りの目があるので、親達が静かにと静止し、大人も子供もストレスの中で暮らしている。家作りをするか、この世界では大工という仕事はないが、ドワーフや家作りに特化したスキルを持つものが作るのだが、ここには数人しかいない。そして、辺境だ。スタンピードが起こった領地だ。なかなか人が集まらないのが現状。これから辺境は寒くなっていく時期だった。


 壊れた家でもいいと言って壊れた家に戻っていく人達が出てきた。


「これからどんどん寒くなっていく。一つの家を建てるには時間がかかる。全く家を作る作業が進んでいない。壊れた家に住む者たちをまた避難所に集めなければならない。スタンピードでは死者が出なかったのに、寒さで亡くなってしまうこともある。対策を考えなくては」


 トーマス様やゼーファン義兄様達が嘆いていた。領民には聞かせられない領主の嘆きだった。そこでうちのお祖父様が一言、僕に向かって言ってきた。


「ケビン、お前が家を作ればいいのではないか?作れるだろう?」


 えー、無茶振りだよ。ポーションを作ってなかったことにしようと言ったのもお祖父様。そして今度は家かよ。ジジイ、いい加減にしろ、ボク、グレるよ。


「お祖父様、僕は家を作ったことは、あー、温泉施設を調子に乗って作りましたが、あの時は木工技師のアーロンがいたからできたわけで、僕1人ではできないです」


 期待の眼差しを向けるのはやめて欲しい。オレだって万能な人間ではない。人の居住空間なんて、うーん、イメージでできるのかな。温泉施設がまんま健康ランド、お風呂カフェをイメージして作ったから、やろうと思えばできる、いやいやいや、いいようにこき使われる未来しか見えない。お祖父様は僕をこき使っている。このままではお祖父様の言いなりになってし。意見はキチンと言わなければ!ノーと言えるケビン!


「お祖父様、やはり家というのは専門家に任せるべきです。僕では心配です」


「何を言っているのだ、ケビン。お前ならできる」


 精神論ではないんだよ、お祖父様。


「やっぱり、ケビンとお祖父様は似ているなぁ」


 イーサン兄様が呟いた。なんだって、どこが似ているんだよ!


「イーサン兄様もそう思いますか、私もこのところケビンはお祖父様に似ているなぁと感じていました。無茶振りなところや突拍子もない考え。周りを巻き添えにするところ、どれをとっても似てますよね」


 父様まで頷いている。


「僕はお祖父様ほど無茶振りはしませんよ。お祖父様は僕よりもっと斜め上をいく考えを持ってます。僕は常識的範囲で行動してます!」


「「「どこが常識的範囲なんだ?」」」


 失礼な!あれは常識の上で行動しているよ。


「まぁ、それは置いておいて、ケビンも振り回される側の立場がわかっただろう?お前もこれで落ち着くかな」


「「父様、その考えは甘いです。ケビンは多分、気にせず次の行動に移すと思います。制御しないとダメです。父様頑張ってください」」


 おいおい、兄様達や!父様に丸投げとはひどいと思いますよ。


「父様、いつも言ってますが、僕は常識の範囲で動いているので、大船に乗った気で心配しないでください。それでは、家を作りますか!」


 父様や兄様ががっくりと膝をついた。えっ、どうした?



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