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56 なかったことに!2

 辺境伯の特産品を考えるのは後になった。まだ復興が始まったばかりなので、通常の生活ができるようになってからということになった。僕が来た時より領地の雰囲気は明るくなったと思う。


 俺はポーションを作った。作りまくった。欠損の人はいないので、普通に怪我が治るぐらいのポーションを作ったはず!


 ポーションを飲んでみんなはすぐ元気になったよねぇ。うん、これでいいんだ、誰も何も言わないからいいんだろう。無かったことになったよね。


 さすが水精霊様の水瓶と母様の薬草だ。僕は魔力を流しただけだから大したことはない。そう大したことはないんだよ。大袈裟にしないで欲しいなぁ。


 みんな慣れたのか淡々とこなしていく。そう普通のことなんだ。うん、うん、腕を組んで頷いてみていた。


「ケビン、1人、なぜだか納得しているようだけど、大変なことなんだからな。こんなに早く回復してしまうこと自体がおかしいと思うだろうが、みんな敢えて何も言わないのだからな。これ以上は事を起こさなくて良いからな」


「えー、イーサン兄様、お風呂をみんなに作ってあげようと思ったのですがダメですか?大衆風呂、簡易風呂。領民が順番に入れば気持ちいいと思うのです。気分転換も兼ねてどうでしょうか?」


「そうだな。俺たちがいる間、それができるからいいなぁ。俺たちも入りたいし。土魔法が使えるもの達に城壁の作り方を伝授したから、風呂も作れるだろう」


 確かに城壁が遠くに見える。すでに外の城壁は作ったのだろう。早いなぁ。魔獣の処理もだいぶ進んでいる。


「イーサン兄様。だいぶ魔獣の処理も終わっているのですね。僕が屋敷内で刺繍などをしている間に綺麗になってますね」


「ああ、マジックバッグに入れる方が断然早かった。解体していらないものは魔の森で焼いて土に埋めたよ。本当にあっという間に処理できたんだよ。ゼーファン様がマジックバッグに興味深々だったよ。作ってやれば?もう、辺境泊領の人たちは契約魔法を交わしているし、ここでは大っぴらにできるよ」


「兄様、母様に作ってもらった作物の種を植えてもらえませんか?そうすれば領民達の食べ物にも困らないと思うのです」


「そうだな、今のこの領地は壊滅状態だ。建物などは建てられるが、自分たちの食べる作物がほとんどない。これからうちも支援するが一時的ではダメなんだ。周辺の領地に頼むと言っても、継続的にとはいかない。結局、買うことになるとお金がかかり、赤字が増えていく、負の連鎖だ。それをトーマス様達が懸念しているのだ」


「そうですよね、一時の支援は今だけですから、先を考えないといけないですよね。母様の種を植えましょう。説明はイーサン兄様よろしくお願いします。僕はこれからは静かにしています」


 呆れたような目で見るイーサン兄様。もう遅いと思うと言われてしまったよ。


「父様から連絡があったよ。すでに早馬でこちらに向かっている。父様、行動が早いよね」


「げっ!父様来るの?」


「お前が色々、靴下を作ることは案外いい事業になると思うんだ。事業のことを言わなければ、復興支援だけで終わったのに、事業の話になるとまだ父様の承諾が必要だ。勝手に話を進められないよ、ケビン。だから母様の種のことは父様が来てから父様に任せよう。今は今できることをしよう。風呂は作ろう。父様が来た時あれば疲れが取れて、事業の話を快くしてくれるだろう。そうだな、そうしよう」


「はい、兄様。さっそくお風呂作りをしましょう。魔法で土属性の人はお風呂、水属性がお風呂の水、火属性の人がお湯加減の調整でいいと思うのです。そうすれば僕のやることはない。薬草を入れて薬草風呂かハーブを入れてアロマ風呂でもいいですね。どこに作りましょうか?」


「待て待て待て、まずは辺境伯側の意向を聞かないとダメだろう?俺たちが先走ってもダメだよ」


「すみません、心が逸り、先走りました。父様早く来ないかなぁ」


 イーサン兄様もお風呂に入りたいがために気が早い。


「お風呂に早く入りたいから、それは作ってしまおう。早速、トーマス様のところへ行こう」


 ちょうどロナウド兄様がやってきた。


「兄様、ケビン、何やっているのだ?みんな待っているよ。ケビンが作ったポーションでみんな回復したからお礼がしたいみたいだよ」


「そんな大袈裟にしなくていいのに。水精霊様の水と母様の薬草のおかげだよ」


「でも、ケビン、その両方とも言えないやつだよ。いくら契約魔法をしたからと言って、領民にはこれ以上は言えないよ」


「そうですね、やっぱり魔法士に頑張ってもらいましょう。ねっ、兄様方、よろしくお願いします。僕は入るだけです。あっでも、タオルが必要ですね。普通の綿花があるので僕のスキルでできるかな?やってみよう」


 兄達2人がギョッとした。


「「また、何かするのか?ケビン」」


 2人の声が揃った!


「いえ、母様が作った普通の綿花がたくさんあるのでタオルを作ろうかなぁと思っただけです。タオルが必要ですよね?だから作ってみますね」


 2人してがっくりと項垂れていた。タオルごとき、そんなに心配しなくても、なんでもないと思うけどなぁ。


 まっいいか!



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