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55 5本足靴下

 その後も、編み方次第で色々なものを作れることを教えた。棒編みだってあるがそれはまだやめておこう。やりすぎている感がある。


「ねぇ、ケビン」


「は、はい!どうしました?姉様」

 今度は何を言われるのか警戒してしまった。


「ふふっ、あなたやりすぎたなぁと思っているのでしょう。お父様に怒られるのかしらねぇ」


「そうなんです、常々、報連相大事。報告してから行動しろと言われているのですが、あははは。で、なんでしょうか」


「ケビン、そうね、これらを教えてもらって、私はこの領地のヒツジーゼの毛糸で特産品にできるのではないかと思っているのよ。ヒツジーゼの毛が有り余っているのよ。そうね、お父様に相談しないとダメね。あなたが考えた図案ですものね」


 そしてカーラ様やアグネス様がこの土地に引き継がれている草木染めみたいなものを教えてくれた。


「草木染め!色々な色が作れるではないですか!なるほど、ヒツジーゼの毛が余っているのですか。うちが買い取りますがどうでしょうか?」


「ケビン、ちょっと待って!さっき言ったばかりじゃないの。あなたが先に話を進めるのは危険よ!イーサンやロナウドにも来てもらいましょう」


 姉上様、ひどい言い方ですね。程なくして兄様達、お祖父様達辺境伯組もやってきた。


「ケビン、また何かやったのか?」


「ひどいです、イーサン兄様。まだやってません」


「ケビン、まだやってませんって、これからすることは俺も絡む案件か?」


「さすがです、ロナウド兄様。商売の匂いがしているのですかねぇ」


 2人の兄様方に呆れられてしまった。


「で、何するのだ、ケビン」


 早速、本当に商売の匂いがするのかわからないが、先を促された。


「ロナウド兄様、これを見てください。草木染めをした糸と毛糸。色は少ないですが、探せば他の色もできるでしょう。で、この毛糸と糸、これにあの綿を一緒に織り込めば量産できると思うのです。領民達に割安で卸すには織り込んだ方がいいかと思ったのです。それに糸を紡ぐ魔道具がここにあるようなので、魔道具を提供して欲しいのと、草木染めで染めてもらいたいなぁと考えたのです」


 ヒート◯ッ◯とエアリ◯ムの融合でインナーとして作ってもいいかも!


 洋服やインナーなどを作れば快適に過ごせるかもしれない。


 契約魔法に追加し、母様のスキルは言わず快適綿を作ったことを説明した。


「ヒツジーゼの毛は余っているの。買い取ってくれるなら大助かりだ。この周辺は同じようにヒツジーゼを飼育している。だから毛の需要がないんだよ。自領でしか使わないが、そんなに必要ではない。本当に契約してくれた方がありがたい。今は農作業の方は壊滅的だ。少しでも路銀を増やせればと考えている。いつまでも助けてはくれないだろうから、自分たちでやりくりをしなければいけなくなる、はぁ」


 トーマス様はこの先の展望が暗いことを示唆している。


「そうだ、姉様、今まで作った糸でまず騎士達に靴下などどうですか?水虫防止に役立てられるかも?」


 水虫対策と聞いて男性陣が目を輝かせた。


「ケビン君、詳しく教えてくれ!これであの水の虫が改善されるのか?それなら早く作って欲しい」


 レオン様、ルーカス様、ゼーファン様の圧が強い。


「あのまだ作れるかわからないですが、このあとでやってみましょうか?」


 僕は、細いかぎ編みで五本指靴下を編んだ。僕のスキルは優秀だよ。考えている構造が楽々できる。


「なぜ5本の指がわかれている靴下なんだ?変ではないか!」


 5本指ソックスは足を温めるだけではなく、汗のベタつきや不快感も解消してくれる優れたアイテム。 指一本一本が独立しているので、冷え防止効果、血行改善、ムレの軽減などがあることを伝えた。


「これで対策ができるのか!試してみようではないか。そうすればヒツジーゼの毛を糸にして靴下が作れるぞ」


「全く、ケビン、次から次へとよく考えるものだな。でも水の虫対策はいいかもしれない。うちの騎士団とこちらの騎士団で試してみてから売り出す方がいいな。父様に報告せねば。魔鳥で手紙を出そう。ケビン、お前も書くんだよ。報告を父様にするように」


「えー、ロナウド兄様が伝えてください」


「俺も報告するが、ケビン、お前がこの話の立役者、いや言い出しっぺという言葉がいいな。だから父様に報告するように」


「はぃ、わかりました。色々書いておきます」


「頼むからこれ以上は仕事を増やさないで欲しいが無理だよな」


 ロナウド兄様とイーサン兄様が2人して頭をワシャワシャされた。髪の毛がぐちゃぐちゃだよ。今、王子様風装いなんだから。


 うーん、テーブルクロス、ベッドカバーから始まり、ミサンガ、ショール、ストール、ブランケット、そして靴下。編み物関連だから楽しいけど、やりすぎたかな?


 兄様達にここで話したことを順を追って説明したら、頭を抱えてしまった。


 そこへカーラ様とアマンダ様が助け舟を出したくれた。


「ケビンちゃんは、ここの領地のことを考えてくれたのよね!ここには今まで魔の森や辺境伯という負のイメージしかなかったものを明るくしようと考えているのよ。クラウディアのために。なんて姉思いのケビンちゃんなんでしょう」


 絶対兄様達もわかっているはず。僕は良くなればいいなぁとは思っていたがそこまでは、そこまでは考えていなかった。結構、また大事になるのか?


 兄様達に助けを求める、キラキラしたかわいい眼差しを送ったが目を逸らされた。あきらめろと口パクされた。


 僕はどうすればいいんだぁ。


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