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52 俺が寝た後で

 無事3人が回復できた。さすが母様の作った薬草と水精霊様達の水瓶の水だ。超高品質なんて、世間には出せないブツだ。


 そして今後のことを話をした。まずは領民の怪我の状況を把握し、どんなポーションが必要か人数をまとめると話し合っている。僕はねむい。朝からぶっ通しでと言ってもに兄様の前に乗っていただけだが、疲れていたのに加えポーションを作った。もうそれだけで今日はやりきった。


 みんなの話を聞きながら舟漕ぎしていたが、いつのまにか姉様の膝枕に変わっていた。膝枕なんて前世も経験したことがない。気持ちよくぐっすり眠ったよ。


 俺が寝ている間にお祖父様と兄様達は話をしていたらしい。


 >>>ケビンが寝た後の会話>>>


「本当にありがとう。まさか体が元に戻るなんて思いもよらなかった。死を覚悟していたので、はじめのポーションもすごいと思ったが、今回のは凄すぎる。欠損が治ってしまうなんて」


 先代辺境伯レオンがお礼を言った。


「これも契約魔法で絶対話さないとして欲しい」


「わかった、今ここでこの屋敷にいる者と契約魔法をしよう」

 スティングレイ辺境伯屋敷にいる全員が契約魔法をした。お祖父様が説明を始めた。薬草はメルシーが種を作り育てたもの。メルシーが王家の血筋なので、ケビンが魔力量が多いということ。そして錬金を始めたところ、高品質のポーションが出来上がったことを伝えた。


「ただ、レオン、なんと言えばいいのかのう。今後欠損のポーションは作れないと思う。なぜなら水精霊様の水瓶を使って今回ポーションを作っているからだ。水瓶はこれが終わったら返すので、欠損のポーションは今回だけだ。だから余計広めて欲しくなくて、契約魔法をお願いしたのだ」


「み、水精霊様?な、なんですか?精霊様がいらっしゃるのですか?」

 ゼーファンが興味深げに聞いた。


「まぁ、うちには土精霊様と水精霊様がいるんだよ。おお、このお酒も水精霊様の水を使っているから美味いぞ」


「どういうことだ?水精霊様の水でお酒?お酒の水と水瓶の水は違うのか?」


「ああ、水瓶は借り物だ。ここに水精霊様の水が引けないから、水瓶を貸していただいたのだ。お酒の水は水精霊様たちが引いてきた水なんだよ」


「水精霊様が引いた水」


「まぁ、何はともあれ、回復してよかった」


 お祖父様は豪快に笑っている。ゼーファン様は理解しようとしてもしきれないような顔をしている。スティングレイ辺境伯のみんなが理解していないようだった。


「ロイド、お前、マジックバッグを持っているのか?そういえば、お前のところの騎士達がマジックバッグで魔獣の死体を運んでくれて大助かりだと報告があった。先ほどから理解が追いつかないぞ」


「わははは、ワシだって追いついてないよ。うちのケビンが色々やらかしているから、みんなが巻き込まれているよ。イーサンは魔道具、ロナウドは商会、ルークは事務処理、メルシーは身重なんだ。今度は女の子かな。そしてワシは酒造り、妻は美容関連やドレスを手掛けているよ。領民みんなは農作業と、酒造りとものづくりに大忙しなんだ」


 イーサンはマジックバッグから自分が作った魔道具を、ロナウドは売り出す商品を紹介した。


「レオン様、お願いがあるのですが、森の腐葉土をいただきたいのです。それをこのマジックバッグいっぱいに詰めて持ち帰りたいです。そして、定期的に腐葉土をいただきたい。お願いします」


 ロナウドがケビンから頼まれていたことをお願いした。


「腐葉土?それはなんだな?」


「森に落ちている葉っぱなどです。それが欲しいとケビンが言っていたのです。すみません、用途はわからないのですが、ケビンが譲って欲しいと言っておりましたのでよろしくお願いします」


「ケビン君はおかしなものが欲しいのだね?まぁ、いくらでも落ちているので持っていっていいよ。それでなくても、我々受けた恩の対価としては全く合わないように思うよ。ケビン君が喜んでくれるならいくらでも協力しよう」


「ありがとうございます、レオン様」


「それにしてもこの酒は美味いよ。今まで味わったことがない酒だよ。すごいな」


「そうだろう、水精霊様の水を使ったら、余計美味いんだよ。売り出した場合は普通の湧き水を使ったお酒になると思う。水精霊様の水は我々と領民のためのお酒にすることが決まったのだ。普通の水でも美味いぞ」


「ロイド、なんとかこのお酒をうちに売ってくれないか。頼む」


「そこは相談だな。では明日以降ケビンにポーションを作ってもらうが特級ポーションの数量など考えていかないとな。明日はロナウドや騎士団達は魔獣処理、イーサンはゼーファンと共に状況把握とケビンのことを頼む。ワシはレオンとトーマスと共に契約魔法の準備をする。女性陣はケビンがたくさん食料を持っているので、そこでみんなに支給して欲しい」


 なぜかお祖父様が仕切っている状況だったとさ。


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