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50 姉様のところへ2

 それからあっという間に準備ができ、早々に出発となった。


 僕のお守りはイーサン兄様、そしてお祖父様も行くことになった。お祖父様と先代の辺境伯様は友人同士だったので心配とそして復興に協力するために一緒に行くことが決まった。腕も治ったので思う存分やるぞ、なんて言っている。今まで以上に元気になった?お祖父様。


「それでは父様行って参ります。ケビンがやらかさないように気をつけますが、ダメでしたらすみません」


「兄様、僕は大人しくしているよ。大丈夫だよ、安心して!」


「それが1番怖いんだけど。本当に大人しくして欲しい」


 信用がない僕。やらかしてはいないんだよ。みんなが大事にするんだよ。別に大したことはしていないのに。


「ケビンは大丈夫だ!ワシも見ているからな!」


 父様と兄様、そして他の面々が首を振っている。やらかし部隊か?僕とお祖父様は同じ枠か?まさか?


 そしてスティングレイ辺境伯へ向け、馬に乗り早駆けをする。物資はみんなにマジックバッグを支給した。それぞれの荷物、そして辺境伯領への支援物資を入れた。まだ新しいダンジョンの間引きが終わっていないことを考え騎士達も大勢派遣する。馬用のポーションも作った。ずっと走りっぱなしは疲れるからね。


 僕はというとみんなの前に座る。1人では馬に乗れない。乗れたとしても多分付いていけず、ひとりぼっちの旅になったであろう。


 はじめはお祖父様。豪快に馬を走らせる。しがみついているのが精一杯。お祖父様早すぎる。みんなも付いてきている。


 途中野営をして馬やみんなを休ませる。


 ここで便利な寝袋。みんなのマジックバッグにある。それぞれの身長に合わせて作ったよ。


「お祖父様、イーサン兄様、僕は領地を出るのは初めてです。魔獣はどこでもいるのですか?」


「ああ、いるよ。群れを作る魔獣や単体の魔獣もいる。ただスティングレイ辺境伯のはダンジョンから湧き出た魔獣達だ。この辺にいる魔獣より強いぞ。死者がいなかっただけ行幸だったのか。今どのような状況なのか心配だな」


 上級ポーションを使ったということは相当なことだと思う。領主自ら先頭に立って討伐をしていたのがわかる。すごい領主だ。


 姉様が心配だ。ゼーファン義兄様の状態と領地内の状況がどうなっているのだろうか。


 また早駆けで強行突破し。2日間でスティングレイ辺境伯領地に着いたが、最後の砦となっている壁が辛うじてあるという惨状だった。ここで食いとめだのだろう。あちこちに魔獣を焼いて埋めた跡がある。それでもまだ魔獣の死体がある。


「これは復興は大変だな。時間がかかるぞ。土魔法で城壁を先に作らないといけないな」


「お祖父様、魔の森に大きな穴を作り、そこに魔獣をを入れて焼けばいいのですよね。それでしたら、マジックバッグで運んだ方が楽ですよね。そうすれば簡単に移動ができますよね。僕のマジックバッグを使ってください」  


 僕自身は収納があるからマジックバッグはあまり必要としない。形だけのものだから。


「ケビン、そうだな、マジックバッグで魔獣を移動させればいいのだよ」


「大旦那様、ケビン様、私が持っているマジックバッグをそれ専用にします。ですが、後でまた私用に作ってください。お願いします」


 ちゃっかりとしているけど、僕は魔法属性なしだから生活魔法の収納と言えないので、バレないためのマジックバッグだから貸し出すわけにはいかない。申し出はありがたい。


「ありがとう、そうだね、今、材料がないから領地に戻ったら作るよ」


 それでしたらと数人、自分が持っているマジックバッグを魔獣用にした。これから狩りの時もそれを使えばいいか。


 先ぶれを出していたので姉様や辺境伯夫人様達が玄関前で待っていた。


「ようこそ、おいで下さりました。ロイド様。お久しぶりでございます。レオンはまだベッドに臥せっておりますので出迎えず申し訳ございません」


「何を言っているのじゃ!まだ怪我が治っていないのだろう?無理はいけない」


「お祖父様、イーサン、ケビン、来てくれてありがとう」


 姉様、だいぶ心労で痩せてしまっている。早めにゼーファン義兄様達を回復させないといけない。


「クラウディア、大丈夫か?寝てないのではないか?自分が倒れてしまうようではダメじゃないか」


「すみません、お祖父様。でも、ゼーファン様が心配で眠れないのです。そばにいたいのです」


「ロイド様、クラウディアはゼーファンが心配で片時も離れないのよ。これではクラウディアの方が倒れてしまうのが心配だったのです」


 辺境伯夫人もだいぶお疲れのようだ。復興もさせなければいけないが、辺境伯様達がどの程度あのポーションで回復したのか?まだベッドにいるということはかなりの怪我なのか?


 それから先代辺境伯様のレオン様と辺境伯様を見舞った。ポーションで命は取り留めたが手や足が欠損していた。それほど今回の討伐は大変だったということだ。女性方は涙を堪えて気丈に接しているのが痛々しい。俺たちも気丈に対応しないといけないな。


「ロイド、来たのか!まぁ、こんな始末だ。今回のスタンピードは酷かった。まさかダンジョンができていたとは思いもしなかった。魔の森の奥地だったために見逃してしまった。それが今回の惨事を招いてしまった。くそっ。死者が出なかったとはいえ、かなりの怪我だ。それに死者が出なかったのはロナウド君が持ってきたポーションのおかげだ。本当にありがとう」


 僕がポーションを作っていることはクラウディア姉様しか知らない。でも、ベッドカバーを作ったのは俺だと言っているから大丈夫なのかなぁ。なんで子供の俺が来ているのかと周りは不審がられるよなぁ。一応、姉様の癒し要員として来ているが、こんな惨状でそんな悠長な考えはここには不要だよなぁ。


 お祖父様が何が考え込んでいる。どうしたのだろう?



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