49 姉様のところへ1
ロナウド兄様から手紙が来た。
僕が作ったミサンガやポーションのおかげで無事だということだった。兄様が無事で良かった。
状況は、大規模なスタンピードが起こったということだ。間引きをしていたのになぜ?
それは新しいダンジョンが出来、そこから、魔物が溢れかえりスタンピードが起こってしまったということだった。
ポーションのおかげで死者はいないが、ポーションがまだ足りず負傷者が多数いるということだった。上級ポーションは姉様の義父、祖父、騎士団長に使ったらしい。しかし姉の旦那様のゼーファン様まで回らず、僕が作ったベットカバーをかけたところ、命はとりとめているが、依然酷い状態らしい。なんとか保っているのは、僕が作ったベッドカバーのおかげかもしれないが予断を許さない為、ポーションの量産のお願いと、できれば僕に辺境伯領まできて欲しいと書かれていた。
「イーサン、ケビン、クラウディアのところへ行けるか?イーサンはケビンのお守りも兼ねるが行ってもらえないだろうか?」
お守りとは?
「はい、父様、ケビンを連れて行けます。これは馬車ではなく早馬で行くしかないですね?」
「そうだな、馬車より早馬で行った方がいいな!」
僕が行くこと前提なんだ。ポーションをいっぱい作るから兄様行って欲しいなぁ。領地から出たくないなぁ。
「ケビン、お前、ポーション作るから領地に残りたいということ顔をしているぞ」
「えっ!なんでわかったの?」
みんな一斉にため息をついたよ。
「ケビン、お前の収納で大量の薬草と水精霊様の水を運んで、ポーションやお風呂ができるだろう。温泉とまではいかないが、水精霊様の水をなんとか持って行って欲しい」
うーん、持って行くにも量が必要だよなぁ。
「ルッツー、ルッツいる?」
「なぁに?」
「ルッツ達は辺境伯領に水を出せるかな?」
「うーん、ここはケビンや母様の魔力で気持ちいいけど、あそこは魔力が少ないからなあ」
「そうかぁ。やっぱり僕の収納に水を入れて行くしかないのか。大量に必要だよなぁ。どうしよう。そうだ!父様、水属性の魔石で水が出るのですよね。そこにルッツ達の魔力注入はできないのですか?」
「こればかりはなぁ。水精霊の長老様に相談してみよう。ルッツ達に長老様にお越しいただけるか聞いて欲しい。お酒や料理類を用意しておきますと行って欲しい」
「はーい、じいちゃんに伝えるねって、もう来るみたい。土精霊のじいちゃんも来る」
ルガリオ達がゲッって言っている。行動が早いな、長老様達は。
「やぁやぁ、お酒を飲みに、いや、相談に乗るために来たよ」
もう来たよ。早すぎる。そして何気にお酒を飲みにと言っているし、料理はとりあえずマジックバッグから取り出しておこう。お菓子とケーキも置いておこう。みんなが食べられるだろう。
父様は恐縮しまくり。
「わざわざお越しいただきありがとうございます。こちらのお酒は水精霊様達の水で作ったお酒です。とてもおいしく出来上がっております。どうぞ、遠慮なく飲んでください」
「ちと、早く来すぎたかのぉ、はははは。それでは飲む前に話を聞こうか。あの辺境伯のところは魔力が少ないから我々は行きたくないというのが現状だ。そうじゃのぉ、水瓶をもっていくかね。水瓶を注げば水が出る。ただし必ず水瓶を持ち帰って欲しい。あれは我が水精霊に代々受け継がれている物。それが条件だ」
そんな大事な物を貸し出してくれるのか?いいのだろうか?みんな一斉に俺を見る。えー、行くこと確定。
「長老様、僕が収納で管理します。使う時は僕が水を注ぎます。そして必ず持ち帰ってお返しいたします」
「ほっほっほっ、ケビンが全て管理してくれれば安心じゃ。それでは水瓶を貸し出そう。お酒のお土産をたくさん頼むな、父上殿」
えっ、もう?お酒をこれからたらふく飲むので、渡してしまった方が安心だと言って僕に渡してきた。母様が作った薬草で薬草風呂やポーションを僕の魔力で作れば効果覿面だということ。欠損も治るのではないか、わははは、なんて物騒なことを言っているよ。
えっ?欠損のポーション作るの?僕が作るの?ヤダよ、ドナドナされたらどうするんだい!
「ケビン、わかっているな!臨機応変に作るのだぞ」
「父様、わかってます、多分。でもどうしましょう。頑張って欠損の作った方がいいのですか?」
「うーん、時と場合だ。イーサン、ロナウドとも相談しろ。様子を見ながらだから気をつけろ。イーサン、頼んだぞ」
イーサン兄様も顔が引き攣っているよ。
「では、長老様、水瓶お借りいたします。米ができたら日本酒作りますので楽しみにしていてください。辛口がいいですか?それともサラッとした飲みやすいのがいいですか?」
全部飲み比べたいだとさ。米はもう少しかかるから、しばしお待ちを。
さて姉様達のところへ行く準備をしなければ。




