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44 ちびっ子達との遊び

 今日は久しぶりに弟ジュリと遊ぶのだ。最近父様の執務室に篭ってばかりで働きすぎだ。子供だぞ、俺。


 精霊達と鬼ごっこしたり、剣を交わしたり、竹馬をアーロンに作ってもらったので竹馬競争をした。運動神経がいいジュリはスタスタと走っていった。竹馬で走っていくんだよ。あれ?今日初めてなんだけど。僕はモタモタしているのに、なんだよ、竹馬で走れるって。騎士団員達も一緒に竹馬競走をした。


「にいしゃま、たのしいね」


「あぁ、楽しいな。ジュリはすごいよ」


 しばらくすると孤児院の子供達がやってきた。一緒に遊ぼうと思い呼んでいた。子供達ともかけっこをしたり、鬼ごっこをしたり一緒に遊んだ。


 そしてメインイベント、パン食い競走を決行。孤児院の子供達に年齢順に列を作って待ってもらった。


「ジュリ、今日のメインイベント。パン食い競走をしよう。孤児院の子供達も一緒にやるぞ」


「ぱんくいきょうそう?なぁにそれ?」


「従者にパンを吊るした紐を持ってもらい、よーいどんで走るんだ。そして美味しそうなパンを取るんだ。そこまで行く為には障害物を乗り越えて、美味しいパンを取るんだ。えっ?騎士団員達もするの?」


 みんな、うんうん頷いている。パンはいっぱいあるからいいか。


「メイド達は小さな子供達のサポートをしてほしい。従者は年齢が大きい列になったら、この網と平均台を置いてほしい。みんな聞いて。よーいどんと言ったら走ってね。そして小さい子達はこの網をこうやって潜ってからパンを取ってね。大きい子から大人達はは網の他に平均台、これを渡るんだ。落ちたら、平均台の初めに戻って一からやってね。そして、パンを口で咥えて持って行ってね。多分1人が取ると紐が揺れて取りにくくなるけど、必ず口で咥えてくださいね。やり方わかったかな?」


「「はーい」」


「「おー」」


「パンはクリームパン、ジャムパン、ピザパン、ソーセージパンとあります。大人には追加でカレーパンがあります。子供達、試食しようか?騎士団も?はぁ、集まってー。等分してね。これがクリームパン」


 僕はどんどん子供達と騎士団に試食させた。


「次、ベリージャムパン、次、ピザパン、ソーセージパン。ここまでが子供たち。次大人達、クリームパン、カレーパンどう?」


「「「「うまーい(おいちい)」」」」


「さて、お前達、やる気はあるかー!」

 俺はやる気を煽った。


「「「「おーーー」」」」


「最後まで走り切り、パンをゲットできるかー!」


「「「「おーーーー」」」」

 かわいいおー、とむさ苦しいおー、が聞こえた。


「よーし、ではちびっ子達、スタートラインに並んで。ちびっ子達は4人ずつな。網を潜るんだぞ」


「「「「はーい」」」」


 メイド達と従者をちびっ子達に1人ずつ付いた。


「それでは、ちびっ子達、好きなパンを手で取っていいから。君達は2つ取っていいよ。さっき食べたパンが吊り下がっているから頑張って取るんだよ。そして、あっちに用意したテーブルで先に食べていていいぞ。ジュースとか用意してあるから」


「「「「あい!」」」」


「よし、位置についてよーい、どん」

 4人のちびっ子達がてくてく走って行った。かわいいなぁ。あみに引っかかってなかなか出られないちびっ子もいたがなんとか抜け出して、パンを選んでいる。取りやすいように少し低くした紐。最後の子が取れたので、パンをセットして次。


 次の子達もワクワクしている。


「ジャック達もいいか?ジュリもいいか?」


「「はい、がんばりましゅ」」


「では、位置についてよーい、どん」


 ジュリも早いがジャックも早い。2人で競り合っている。あー、ジュリ、あみに引っかかってしまったよ。がんばれ。無事パンを取ったようだ。みんなニコニコして、テーブルについている。


 さて、今度は高学年だ。


「高学年チーム。平均台のはバランスが大事だから、頑張って渡り切るように。高学年は口で咥えて走るように」


「向こうに着いたら、箱の中にパンが入っているから足りなかったら食べていいよ。向こうのテーブルにはいろいろお菓子や料理、飲み物を用意しているからいっぱい食べていいよ。そして留守番の子達やシスターにお土産持って行って」


「はい、ありがとうございます」


「じゃー、始まるよ、位置についてよーい、どん」


 走る速さが違うなぁ。網を器用に潜り抜け、平均台。バランスが必要なんだよ。おー、2人が接戦だ。他の子達も平均台で逆転。最後はパンのところ。ちびっ子達もがんばれーって声援している。みんな笑い合いながら走っている。孤児であっても笑いがある生活をしてほしい。俺のエゴかもしれない、全員は助けてあげることができないけど、領地内の孤児院には力を入れていきたい。


 さて、騎士団員達だ。少し紐を持つ従者達の位置を遠くにずらし、ゴールもずらそう。網、平均台、そしてパンのところまで竹馬、そして走る。そうだ、土魔法師に頑丈な壁を作ってもらい、上りはクライミング、下りはロープで降りることを取り入れよう。はははっ。


「ケビン様、何考えているのですか?訓練ですか?」


「ふっふっふ、訓練しながらパン食い競争です。楽しいですね。さぁ、準備が整いました、始めましょう」


「位置について、よーい、どんだと言ったらスタートしてくださいね」


 あー、途中まで走って行っちゃった。


「戻ってください。やり直しでーす」


「ふざけるなー、坊ちゃん」

 大ブーイング。あははは。今度は真面目にやります。お約束ですよ。


「すみません、今度は本当に真面目にやります」


 ジト目で見られている。


「それでは気を取り直して、位置について、よーい、どん(となった花火が綺麗だな、なんて言ったら怒られるよなぁ)」


 大柄な騎士団員でも壊れない壁。すごい強度だ。

 みんな楽しそうに走るなぁ。大柄な騎士団では網はちょっと窮屈か。そこで逆転したり、竹馬で逆転したりと面白い。父様とお祖父様も参加していたよ。


 その後メイド、従者達もパン食い競走を行い、みんなで休憩と称してパンやお菓子などを食べた。ピクニック気分だ。楽しいひと時だった。たまには仕事をせずにこんな日もあっていいと思う。



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