39 水精霊様達がいます
朝、いつもより早く目が覚め、テーブルを見ると何かが寝ている。ルガリオ達は布団で寝ているが、そのほかの知らない精霊達は雑魚寝している。これはどういうことだ?ルガリオ達の掛け布団を取って寝ている見知らぬ精霊もいる。これが水精霊様か?
じっと見つめていると、目が合う。あちらも目線を逸らさず、ずっと見つめてくる。これは目を逸らしてはいけないやつか。どちらが先に目を逸らすか我慢比べだな。でも、面倒だ。
「君、誰?」
僕は目線を逸らさず聞いた。
「ぼくルッツ。水精霊さ。お菓子とご飯ありがとう、美味しいね。長老様達はお酒が美味しいって言っていたよ。お土産もありがとう。僕たちもここに住むことにする。だからこの布団作ってー」
「ルッツというんだね、僕、ケビン。ここにいるみんながこの領地に住むの?」
まさか、こんなに?
「うん、みんなここが気に入って、ここにいようって。あと長老様が美味しいお酒をもってこいって言うんだよ。美味しいお酒のために働けっていうんだよ、ひどいよね。でも、ケビン、僕達、さっきあったお菓子と料理を食べられるんだよね。長老様が、今日のお肉が美味しかったって。僕たちも美味しくっていっぱい食べたよ。ケビン、ありがとう」
「あれは料理長達が頑張ってくれたんだ。美味しいよね」
2人でニコニコしながら話していると、他の精霊達が起き出して部屋中を舞っている。ルガリオ達も一緒に舞っているね。キラキラも舞っている。
「みんなを家族に紹介するよ。一緒に食事室に行こう」
僕の前をルガリオ達が水精霊様達を連れて食事室に案内している。ルガリオ達はすっかりこの家の家族だなあ。
父様とお祖父様にいつも付いているタールとアメジは先に父様達に報告に行ったようだ。ご飯が足りないと困る、僕たちのご飯が少なくなってしまう、と言って先に行っていた。食いしん坊軍団め。
食事室から父様が慌てて出てきた。
「ケビン、水精霊様が・・」
水精霊様達とルガリオ達土精霊達がウジャウジャいるのでびっくりしただろう。
「父様、朝ご飯足りますかね」
「ケビン、そうじゃない、そうじゃないんだよ」
みんなで食事室に入ると精霊様達のご飯は整っていた。テーブルの中央にてんこ盛りの朝食。
ご飯を食べてから挨拶しようとなり、水、土精霊様達がいただきますをしてから食べ始めた。
ルガリオ達が水精霊様達にはじめはみんなでいただきますの挨拶をしてから食べ始めるんだ、礼儀は大事だと作法を教えていた。成長したなぁ。君たちも自由気ままに食べていたじゃないか。
家族みんなは目の前の精霊様達の多さに気をとられつつも、朝食をなんとか食べた。
「水精霊様、この地の領主をしておりますルーク フォーゲリアと申します」
「そんなに畏まらないで。とうさま!ルガリオ達がとうさまと言っているので僕達も同じように呼ぶね。僕はルッツ。お祖父様が長老をしているんだけど、うるさいからこっちに来たんだ。こっちの方が楽しいし、美味しいお菓子が食べられる。ルガリオ達土精霊はみんな上位精霊だけど、俺達の水精霊はあと3人が上位精霊、あとは下位精霊なんだ。下位精霊達は名前がない。ここで修行を積むことにしたからよろしくね」
水精霊はルッツ、トロン、ランバ、アンが上位精霊、あとは名前のない下位精霊ということだ。下位精霊達は交代制らしい。
「長老の爺ちゃんがお酒をもっとうまくするには水が大事だと言っていたので、協力するよ。まったく爺ちゃんや土精霊のじっちゃんは酒好きなんだよ。そのために働けって言うんだよ。他にも何かあったら言ってね。それに僕達もお布団が欲しい。昨日ルガリオのお布団を取って寝たけど気持ちがいいんだ。魔力が落ち着くというか、心地いいというかすごく良かったんだ。僕達も欲しいなぁ」
「そうだろ!あの布団は気持ちがいいんだ。この土地もケビンとかあさまの魔力が流れていて気持ちが良く過ごしやすいんだ」
この前母様の魔力を土地に流したから、精霊達にとって過ごしやすい、心地よい土地になったのか。
「お布団作るよ。下位精霊達の分も作ってあげるよ。交代制でくるのなら、共通の布団でいいの?」
「うーん、自分たちの布団がいいのだけどダメ?」
みんなで首をコテンてシンクロしているよ。かわいいな。
「いいよ、みんなの分作るから、そうだなぁ、美味しい水がいつも出る井戸を作ろう。あと、地下に温かいお湯がある場所がここにあるかわかる?」
「美味しい水が出るように出来るよ。あと、熱い水があるところは分かるよ。この裏にもあるよ」
やっぱり、温泉あるんだ。この土地は土地自体がなんとなく温かいと感じていた。気候は普通。四季はないけど、比較的温暖な土地。
「やったー、父様、温泉です。どんな効能があるのだろう。美肌かな、何かな。あっ、あと美味しい水を出す場所を考えないと、父様。お酒を美味しくするための水です。どこに水を出しましょうか?やっぱりお酒を作るところの近くがいいですよね」
「そうだな、どうするか、考えてみるよ。ところでおんせん?とはなんだ?また、大変な事態になるのではないのか!」
ひどいなぁ、大変な事態って僕が何したと言うのだよ!




