表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/238

33 父様の執務室再び

 最近、いつもこの光景だなあ。デジャブなのか。


「ロナウド、今度はケビンは何をした?」

 執務室に入る早々父様のお決まりの言葉。俺に直接聞かないのか?なぜロナウド兄様なのか?


「ケビンが姉上のところに自分が作ったポーションを持っていってほしいと部屋に来たのです」

 すごくもったいぶった言い回しだな。単なるポーションを持っていただけなのに。


「ロナウド兄様、恥ずかしながら、初めて自分で作ったポーションを持っていってもらうだけですよ」


「はぁ、ケビン、お前は。父様、ケビンが作ったポーションはこれです。中級と上級のラベルしかないのです」

 テーブルにポーションを並べるロナウド兄様。みんなが口をぽかんとしている。なんかまずいのか?ロナウド兄様に首をかしげてなぜ?とジェスチャーした。


「ケビン、お前は全くわかってないから説明するが、今、上級ポーションを作れる人は上級薬師か上級錬金術師なんだ。それもほんの数人。ケビン、上級ポーションの効果は鑑定したのか?」


「そういえばしていないです。ラベルに上級とあったので高品質だけは見ました。効能を鑑定してみますね」


 鑑定すると、傷回復と魔力量全回復プラス魔力量増量だけど、いいのかな?普通?どうしよう。言った方がいいのか?

「ケービーン、なんと出た?」


 みんなが注目しているよ。やばいよ、やばいよ。

「えーと、傷が回復です」


「それと?」


「え?ロナウド兄様、鑑定できるのですか?」


「ちがーう、お前の顔がヤバいぞという顔をしていたからだ、全員分かっているよ」

 家族を見回せば頷いている。顔に出ていたか。


「えーとですね、魔力量全回復プラス魔力量マシマシですね、増量するみたいです」

 全員が頭を抱えている。いち早く回復したのが母様だ。さすがだ。


「ロナウド、中級をクラウディアのところに持っていきなさい。上級も少し持って行ってもらいましょうね、あなた」


「そうだな、辺境の地は危険だ。内密で上級を3本渡しておこうか。やはり何かあると悲しむのはクラウディアだ。あの子も事の重大さは分かるはずだ。もしもの時に使うよう手紙を書こう。皆もいいな。イーサン、ロナウド、お前たちも、もしもの時に備え常備しておくように。ロナウドは多めにだ」


「「はい、父様」」


「で、ケビン、もっと初級など作れないか?上級はもう少し常備したいが頼めるか?」


「分かりました、父様。頑張って初級が出来るように頑張ります。でも母様が作った種からできた薬草自体高品質みたいですから、どういうのが出来るか楽しみです」


「そうだな、楽しみでもあるが、怖いなあ」


 おれもそう思うが楽しみだ。


「ロナウド、貴方も辺境伯様のところから討伐応援要請が来ているのでしょ。腐葉土をもらうのはそのついでにもらえればということですが、もうそろそろ行かなければいけないのよね。気を付けるのよ。そしてクラウディアに落ち着いたら里帰りするように伝えてちょうだい。ゼーファン様にもお願いしてね」


 もう兄様達、戻らないといけないのかぁ。寂しいなぁ。ロナウド兄様は腐葉土の交渉は討伐応援要請のついでにしてくれることになる。


「分かりました。母様。クラウディア姉様にケビンが作ったものを選んでもらい、ポーションも渡します。姉様びっくりするでしょうね。絶対ケビンに会いたがると思いますよ。一緒にケビンを連れていきましょうか?」


「ロナウド兄様、僕が辺境に行ったら、すぐ魔獣にパクって食べられてしまうからダメです。役に立ちません。無理です。でも、ロナウド兄様は魔法属性が水、土、風、雷なんてなんてチートだ。魔獣の上に雨を降らせて、雷で感電させれば早いですよね。土系の魔獣には効き目はないですが、それとも土槍でドーンするのですか?」


「ケビン、俺の理解力がなくてごめん。かんでん?ってなんだ。土槍ってなんだ?」

 ロナウド兄様が眉間に皺を寄せている。また俺、変なことを言っているのか。異世界ものの読み過ぎか?ゲームのやりすぎか?ってそんなにやってない。


「えーと、水に雷を打つとビリビリするのでそれを魔獣に打てば足止めになったり、一撃できるかなあと思ったのです。味方が近くにいるとできないですがね。味方までビリビリさせてしまう。土槍は土から槍が出る土魔法はないのですか?」


「ケビンは畑づくりに土魔法で耕すことをさせたが、今度は土から槍を出すにか?」


 今度は父様が魔法のことを聞いてきた。断然やばいな。本当にこの世界の魔法ってどういうの?俺は魔法を使えないから全く気にしていなかったけど、この世界の魔法ってたいしたことないのか?


「父様そうです。もしくは土から壁を作れば城壁が出来ると思うのですが、そういうことを土魔法ではやらないのですか?すみません、僕は魔法属性がないのでそういうことができると妄想してました」


「そうか、そうか、ケビンはかわいい妄想をしていたのだな。でも、そういうことができたらすごいな、ロナウド、試してみないか?面白そうな提案だな」


「そうですね、父上。やってみる価値がありますね」

 父様、お祖父様、ロナウド兄様がやる気だ。イーサン兄様は魔道具の方で忙しいから行かないのか。


「ではロナウド、試しに狩りに行ってみるか。お前達が戻る前に試そうではないか。ケビンも行くのだよ」


 父様何言ってんだよ!狩りなんて無理だ!そうだ、アーロンとドルトンにクロスボウを作ってもらおうかな。でも狩りやだなぁ。


「えっ?狩り?」


「そうだよ、我々にどういうことをすればいいか教えてくれるか?できなくてもいいんだよ。ケビンの妄想を教えてくれ」


 なんだか決定事項だな、これは。トホホ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ