32 ドルトンさんの奥様、錬金術師ペリーヌさん
伯爵家フォーゲリア領地の広大な土地に広がる穀物類、野菜類、果実類。そこに薬草類も追加されている。自家製ポーションを作り自給自足計画。自家製ポーションならお金もかからない、売るのは面倒だから自領で使えばいい。健康第一。
ドルトンさんの奥様ペリーヌさんは錬金術師だ。俺はペリーヌさんに錬金を学ぶことになった。魔力量の多い俺はこのままでは宝の持ち腐れになるだろう。魔石に魔力補填しているがそれだけだ。考えて考えて、自分でポーション作りをすれば金がかからないではないか、これはいい考えだ。
ペリーヌさんに頼み込み錬金を教わることになったが、素質がなければ即終わり。厳しい。錬金術を甘く見るなと厳しいお言葉。すみません、邪な考えでお願いしました。
「では、ケビン様、こちらの錬金釜に材料をを入れ、魔力を流し入れながらポーション生成と唱えればポーションが出来ますがケビン様は、まず材料をすりつぶしてからがいいかと思います」
そして、蒸留器があるので蒸留水と材料を入れればいいのだ。生活魔法や水属性がある人は自分で水を作れるが俺はそういったものがないので、蒸留水を使う。なんだ、蒸留装置あるじゃないか。それなのに今までお酒を作る概念がなかったのか。残念だったな。まぁ、これからここの領地で作っていくからいいのだが。
「そうですか、では、面倒なのですりつぶさないでやってみます。できなかったら、すりつぶします」
「ケ、ケビン様?面倒って。もうやってみるのですか?」
「はい、錬金釜があればポーションが出来るのですね。欲しいなあ。自分で錬金釜作れるかな?とりあえず回復薬になる薬草を入れて、魔力を流してポーション生成!」
抑えめに魔力を流した。うわぁ、きらきら光っている。
「はぁぁぁぁぁぁぁ?ケビン様。これは!!」
ポーション瓶が出てきた。鑑定してみると中級ポーション。上出来。まあ出来たから良しとしよう。なんだか、ペリーヌさんが床にしゃがみこんでいる。
「ケビン様、素晴らしい才能です。初級の薬草なのにいきなり中級の高品質って。中級素材で作ったら一体何になるのでしょうか?」
「さあ?どうなるのでしょうかね。ペリーヌさん、一緒に錬金して、何か作っていきましょう」
「ケビン様、何かって何を作るのですか?」
「うーん、基本ポーションを作るけど、そうだな、ショウユ作りたいなあ」
「しょうゆ?とは何ですか?」
「調味料だよ」
「ちょうみりょう?」
あー、そうだよ、この世界は薄味素材を活かした料理が多く、最近俺がトメートソースやマヨネーズ、ブイオンなど作ったんだよ。調味料と言ってもわからないよな。
「出来そうじゃない?」
「ケビン様、まったく何を言っているわかりません」
「この錬金釜を使わせてもらっていいだろうか?本当に自分で作ろうかな」
鑑定してみて、材料があれば作れそうだ。自分用の錬金釜があればなんでも作りたい放題。今度は錬金釜に挑戦だ。とりあえずポーションだ。
「ペリーヌさん、まだポーション作っていいですか?」
「それはもちろんです、ケビン様。こちらが初級、こちらが中級の薬草です。こちらが毒消し、麻痺用です。自由にお使いください。もう少しで、前に植えた薬草ができるそうです。品質がとてもいい薬草ができるそうです。素晴らしいですね。早くその薬草で作ってみたいです」
ペリーヌさんは母様が作った種から出来た薬草、それもルガリオ達が育ててくれているから高品質になってしまったのか。どんなポーションができるのか楽しみでもあり、不安もある。今でさえやりすぎている。俺だって自覚はある。父様が禿げないことを祈る。
その後、中級の薬草は上級ポーションに、毒消しの薬草を使ったポーションは高品質のポーションになっていた。魔力を抑えれば普通のポーションになるのかな。試してみたら、初級は出来なかったが、やはり中級ポーション高品質ができた。とりあえず中級、毒消し、魔力回復ポーションをたくさん作った。姉様のところにも持っていってもらおう。
「ロナウド兄様、姉様のところに行く時にこのポーションも持っていってください。今日、僕が作りました。よろしくお願いします」
「ケビンが作ったのか?」
「うん!まずは自分で作れないから蒸留水を作って、薬草入れて錬金したんだ。これがポーション」
「嫌な予感しかないが、このポーションのラベルって中級しかないじゃないか!え?上級?これをケビンが作ったのか?」
「うん、よくできたと思うよ。鑑定しても高品質と出るからおすすめです」
「こ、高品質?はい、父様のところに行こう」
えー、またー。抱え込まれた状態でロナウド兄様を見上げて、またですか?と聞くとお前がやらかすことばかりするからだよと怒られた。解せぬ。




