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30 僕はやらかしていない!

 クラウディア姉様に渡すものはとりあえず保留。父様達に相談してからと兄様にダメ出しをされてしまった。


「それでケビンは珍しく何を相談しに来たのだ」


「ひどい、兄様。行動する前に相談しに来たのです。僕、進歩しました」


「あははは、進歩したのかな、これって?」

 

 くそー、笑われている。兄様に丸投げするんだから。


「相談はこれから作る娯楽が合法かどうかです。リバーシという白と黒の駒を使って陣取り合戦みたいなものを作ろうかと思ったのです」


 兄様の周りにはハテナマークがいっぱい浮いているように思う。紙を適当にちぎって、裏面を黒くして、兄様とやってみた。ハサミをイーサン兄様に言ってみよう。欲しい。


「なるほど面白い。挟みこんで自分の色を増やしていく、確かに陣取りだな。これを木で作るのだな。よし、作ってみるか。面白いぞ、これは」


 よしよし、ロナウド兄様やる気になってくれた。これでこれは兄様に任せよう。トランプ、将棋、チェスもお願いしよう。娯楽担当だ、兄様よろしく。


 みんなに振り分ければ、自分の負担が少なく、兄様達が目立てば、自分は陰でのびのびと過ごせる。ムフフ、策士ケビン誕生。


「さあ、ケビン、父様達のところへ行くぞ」


 えっ?なぜ?


「何その顔は。お前は、まったく。ケビンが考えたものだから、念のため報告に行くんだよ。それに姉様に送るものの了解を父様達に貰わないとだめだ。領地外に出せるかどうか確認しないとだめだ。お前はやらかすから。加減を知らず暴走する傾向がある。もっと自覚しろ」


「兄様、僕そんなにやらかしてませんよ。常識人です」


「どこが常識人だ!」

  

 そして、また脇に抱えられ連行される。


「父様、失礼します。またケビン案件です」

 

 何、そのケビン案件って。あちゃぁ、また父様、頭を抱えている。


「今度は何をやらかしたんだ、ケビン」


 兄様の脇に抱えられながら強く抗議した。


「僕は何もやらかしていないよ。姉様にプレゼントを作っただけだよ。力作だと思う」


 力作がとんでもないのではないか?とみんなが言っている。酷い。


 兄様が床にやっと下ろしてくれて、机の上に作ったものを収納から出した。


「ケビン、これを全部作ったのか?」


「父様、そうです。スキルで作れば早いのです。これはベッドのかけ布団の上の敷けば部屋の雰囲気が変わるカバー。一応、疲れと癒しを願って作りました。これはかぎ編みで作ったカバー。これも回復の願いを込めて作ったの。これはクッション。これはハンカチ。そして、これルガリオ達。ちょっと?可愛いかんじのルガリオ達を刺繍にして額に納めれば絵画みたいでしょ。これを壁にかければ明るくなるかなって」


「僕たちだー、かわいい」

 喜んで舞っている。うんうん、可愛いね。

 母様とおばあ様はデザインをよく見ている。


「ねえ、ケビン。どうして、このクッションやベッドカバーをこの家に作らないのかしら。テーブルクロス、ハンカチ、チョーカー、クラバットは見たわ。これらは初めてよね。それにルガリオ達の刺繍をいれた額縁も初めてよね?」

 えー、いつでもできるからいいじゃないかと思ったがダメだったの?


「えーと、母様、おばあ様、二人はこの家にいるのでいつでも相談しながらデザインを構成できると思ったのでまずは腐葉土を絶対貰いたいので良い印象を与えようかと思ったのです。すみません」


「そうね、クラウディアの夫のゼーファン様は辺境の地で魔獣討伐で日夜頑張っているから、癒し、回復効果がある方がいいわね。これは渡した方がいいわね。この布と布を合わせて柄にしているのはいいわね。これは全部刺繍で柄を作ったの?すごいわね。私達のはゆっくりデザインを考えていきましょう。クラウディア、喜んでくれるわよ」


 そう、辺境伯領は魔獣が強い。討伐に命を懸けている。だから、僕はケガをしたときなど回復できるよう強めに祈りを込めてマルチカバーを刺繍した。姉様には冷えは体に悪いので体を壊さない様、縫った。


 あとは兄様達に頑張ってもらわないといけない。魔道具とゲーム。


「そういえば、父上、ケビンが娯楽の道具を作りたいそうなので許可をいただきたいです」

 ロナウド兄様、俺の名前を出さないでくれー、頼む。


「ケビンが考えた魔道具も形になってきたので、もっと改善して安全に使用できるようにしていきたいです」


 またみんなが俺を見る。兄様達、なぜ俺の名前を出すんだよ。ダメじゃないか。


「一体ケビンはお前たちに何を作らせようと、いや、丸投げしようとしているのだ?」

 ほらー、父様が丸投げって言っているよ。丸投げしようとしているけど、言葉にされると心外な気持ちだ。


 その後、ロナウド兄様はリバーシ、将棋、チェス、トランプを作ろうとしていることを伝えた。イーサン兄様はドライヤー、冷蔵庫、ミキサーなどを作成中であることを伝えた。イーサン兄様、天才じゃないか?あのノートの絵と少しの説明で作るなんて。


「あとは時計という時の鐘の携帯版の構造を考え中です。これは完成できれば、だれでも時間がわかる優れものです」


「時の鐘の携帯版?」


「これもケビンが考えたものですが、作れたら画期的です」

 兄様がやる気にみなぎっていてよかったけど、僕の名前はいいんだよ。


「イーサン、魔道具が作れて嬉しそうだな」


「は、はい。知識が多いドルトンさんが領地にいるので、色々相談ができ、実用性に向かっていけるのです、お祖父様。お祖父様がドルトンさんと知り合いでよかったです」


「あははは、そうかそうか。ドルトンもこの領地に来ていろんなものが作れて楽しいと言っていた。イーサン、お前と気が合って、魔道具が作れて楽しいと言っていたぞ。それに、ケビンの発想は面白いからいろんなものが作りたいと意欲的だったぞ。よかったな、イーサン」


「はい!お祖父様」

 イーサン兄様、よかったね。


「お祖父様、このリバーシやチェスなど木工を手掛けられる人を紹介いただけないでしょうか?」

 おー、今度はロナウド兄様。やる気だ。


「ロナウド、木工ならうちの領地に技工士がいる。腕はいいのだが、デザイン性に欠けるのだ。だから売れないという悪循環なのだよ」


「父様、さっそく紹介してください。ケビンも一緒に行くんだからね」


 やっぱり、僕も一緒に行くのかぁ。まぁ、説明すれば作ってくれるならいいか。色々作ってもらおう。


「はーい。一緒に行きます」


 娯楽製品を作るんだ。魔道具はイーサン兄様、娯楽製品はロナウド兄様。僕は助言だけすればいい。イッシッシッシ。


 ちなみにハサミは早く作ってくれた。簡単だったそうだ。これも特許を出し、ロナウド兄様が売る方向だそうだ。僕の手から離れれば人ごと。あとはロナウド兄様に任せた。これでよし!



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