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28 お披露目

 また連行されるように父様の執務室にやってきた。どうしてこうなったかというと、遡ることマジックバッグを作成した後、ロナウド兄様に報告しなければいけなかったことに気づき、お披露目する前に報告に行った。


「ロナウド兄様、報告に来ました」


「??報告に来たって?何を?」


 なんだ、警戒するような言い方?


「マジックバッグが出来たので、父様に見せる前に兄様に報告しに来たのです。だって、兄様が何かする前に兄様に相談するようにと言っていたので来ました」


 僕は堂々と伝えた。兄様に相談しに来たのだからえらいと思っていた。


「ケビン、お前、何かする前に相談しろと言ったのに、した後に来たら事後報告だろう!で、何を作ったと言った?」


「やだな、ロナウド兄様、若いのに耳が悪くなったのですか」


「ちがーう!お前が変なことを言っていただろう!何を作ったって言ったのだ」


「やっぱり耳が悪くなったのか?補聴器を作ろうかなぁ。す、すみません、マジックバッグが出来ました」

 

 ロナウド兄様がボソリとマジックバッグ?ん?


「すまん、ケビン、マジックバッグを作ったと聞こえたのだが?」


「そうですよ、さっきからマジックバッグを作ったって言っていますよ。何回言わせるのですか!もう」


 兄様は徐に立ち上がり俺のこめかみをグーでグリグリした。


「ケ・ビ・ン、お前は、お前は何かする前に相談しろと言っただろう」


 頭を抱えて、床にうずくまってしまった。そしていきなり兄様の脇に抱え込まれ、まずイーサン兄様の部屋へ行き、説明しすぐさま父様の執務室へ向かった。降ろしてくれ。


「父様、失礼します。すみませんいきなり訪れてしまい申し訳ございません。またケビンのことで相談があります」


 えー、また僕のことって、その”また”という言葉がやだなあ。やらかしているみたいではないか。


「二人してどうしたのだ。母様達も呼んだ方がよさそうだな。トリニティー、呼んできてくれるか」


「かしこまりました」


「またケビン、お前、何やらかしたんだ」

 

 ここでもこめかみを抑える父様。


 僕は、さあ?というジェスチャーをしたら、兄様たちに頭をコツンとされた。痛いよ。


 母様やお祖父様、お祖母様が来てから兄達が話し始めた。


「ケビンがマジックバッグを作ったと報告に来ました」


「「「「「なにーーーーーー」」」」

  

 みんなが驚愕していた。そして一斉に俺を見た。


「ケビン、本当か?」


「父様、なんだかマジックバッグが出来ました。見てください。これが腐葉土を入れる袋で、領地全部が入りそうな大きさです。そしてこれが父様用のベルトとバッグ、これが兄様達、これがお祖父様、こっちが母様とお祖母様。そしてこれがお泊り用の収納袋。女性は持ち物が多いと聞きましたので作りました。これがトリニティーのね。全部時間停止付きで出来たのです。この形、いいと思いませんか。革を鞣して柔らかくして作ったのです。どうですか?」


「本当にマジックバッグを作ったのか?え?それに時間停止付き?」

  

 父様、腰を抜かしたようにへなへなと腰を下ろした。


「わははは、ケビンすごいなあ。これがじいのか?ベルト良いな。このベルトにポーチを通すのか。おおー、かっこいいではないか。邪魔にならないな。そして時間停止付きなのか。おードキドキするな。とりあえず、この大きな棚を入れられるか?」


「父上何やっているのですか!」

  

 大きな棚がバッグに収納された。あら、まあ不思議。


「おお、本当に収納されてしまった。これは本当のマジックバッグだな」

  

 そしてバッグから棚が出てきた。みんな自分用に作られたバッグを試してみたいらしい。


「時間停止付きでしたら、こちらの熱い紅茶などお入れするのはどうでしょうか?私は試してみたいです」

 

 トリニティ、やる気だ。


「トリニティ、私も時間停止を試してみたい」

 

 父様も試してみたいのだな。熱い紅茶を入れて、時間が経ってから取り出したが熱かった。よしよし、みんなのバッグが機能している。よかった。


「ケビン、はぁ、作ってしまったものは仕方がないが、これも限定だからな。この大きいほうが領地分が入るほどなあ大きさなのか。これで腐葉土を入れて貰えばいいのだな」


「はい、父様、姉上にお願いしてもらえませんか?風魔法が使える人にこの袋に腐葉土を浮かせて入れてもらってください」


 やはり残念な子を見るような目でケビンを見るみんな。風魔法をそのように使うのはケビンぐらいだろうと思ったみんなであった。


「俺が姉様のところに行ってくるよ。討伐の応援要請も来ている。その時にこれに腐葉土を入れてこよう」


「わーい、ロナウド兄様ありがとうございます。それではあとは姉様に何か作りますので、一緒に持っていってください」


「まぁ、これで領地の土壌改良に一歩前進したと思うことにしよう。ロナウド、クラウディアのところへ行ったらよろしく頼む。そのまえにクラウディアには手紙を出して説明しておく。ケビン、姉様にもマジックバッグを作ってあげたほうがいいぞ。そのほうが時々帰ってきやすくなる。荷物が少ないほうがいいと思うぞ」


「わかりました。姉様用にも作ります。ロナウド兄様一緒に持っていってください」


 あーよかった。とりあえず、腐葉土問題は後で考えよう。


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