26 まさかのブラック領地になっていないか?
次の日の朝、前方に広がる広大な領地。おー、よく育っているなぁ。昨日のキラキラ作用だよなぁ。遠い目をしながら、前方に広がる領地を見回した。
また、領民達が豊作に喜んでいる。喜んでいいのか?働き過ぎていないのか?
領民達がんばれ!収穫が君たちを待っている。
糸紡ぎ機が出来たら、領民にも掛け布団を支給しよう。でも、それって馬車馬のように働けと思われないか?布団で疲れをとって、仕事してくれなんてブラック企業じゃないか?休暇を与えるよう父に言っておこう。あぶないあぶない、ブラック領地になるところだよ。
ルガリオ達がフヨフヨ飛んできた。
「おはよう、ルガリオ。いっぱい働いているね。休憩とか取っている?大丈夫?」
「大丈夫だよー。ここは魔力が美味しいし、ご飯もお菓子も美味しい。昼寝もできるし、あとは早くお布団作ってー」
「朝食食べ終わったらまずはルガリオ達をスケッチさせて。刺繍にするから。そのあと布団を作るね。ねぇ、ルガリオ、ホップという植物知っている?母様に種を作って貰えばいいのだけど、どう言うところで生息しているか知りたいんだ。そういう植物があったら見つけて欲しい」
「ホップ?知らないなぁ。鑑定してホップと出たら教えるね」
「ありがとう、布団は刺繍後に作るね」
「「「はーい」」」
朝食が終わって、ルガリオたちをスケッチする。母様とお祖母様も一緒にいる。
兄達は魔道具と商売について、お祖父様はお酒造りへ、父様はいきなり成長した農作物の方は慌ただしく行った。父様がんばれ。ジュリは相変わらず剣術の練習をしている。僕より素早い剣捌き。さすが剣聖。ひ弱な僕には出来ない所業だ。
僕はルガリオたちをゆるキャラ風に顔を大きく丸く、そして色とりどりの洋服にした。イメージカラーだ。ルガリオは戦隊モノで言うと赤、ロッソは青、ベルリは黄色、ターナは緑、ルンはピンク、アメジは薄紫、ラッテはクリーム色、そしてタールは水色、ティールはオレンジ、トールはエメラルドグリーン。
「どう?一応特徴を捉えた絵にしたけど」
「「「かわいい、こういう洋服作ってー」」」
色があるかな?なければ刺繍で我慢してもらおう。
「まずは布団だよー、それからね」
「「「はーい」」」
小さい布団だからサクサク作れる。10対の布団が出来上がった。刺繍で誰の布団かわかるようにした。
「この布団、どこに置く?僕の部屋でいいの?」
女の子チーム、ルン、ラッテ
「私たち、母様と赤ちゃんと一緒の部屋がいい。赤ちゃんとお話しするのー」
僕イーサン、僕、ロナウド、僕、ジュリのところと言って布団を持って行ってしまった。
ターナはお祖母様の手のひらにちょこんと座っている。
ルガリオ、タール、ベルリ、アメジが残った。
「まぁ、俺たちがケビンのところで寝てもいいよ」
なんだ、その上から目線的な言い方は。ひどい。
「父様が可哀想だから、僕が父様のところに行くよ」
タールが言った。
「それじゃー、じいじが可哀想だから俺が行くよ」
アメジ。
「なんだよ、僕とベルリがケビンのところかぁ」
その言い方、嫌なのか?嫌なのかーい。
「あらあら、ケビン、人気ないわねぇ。ふふふっ、この子達は母様とお腹の赤ちゃんのところで寝るのね。父様も一緒だからタールも一緒ね」
「「「はーい、母様よろしくね」」」
おい、タール、君は父様の所じゃないのかい?
「そうだ、母様、今度、薬草やハーブを育てましょう。ポーション作りや化粧品なども力を入れていきましょう。ハーブは料理にも使えるのでいいと思います。どうでしょうか」
「そうね、まだまだ領地は広いから作れると思うわ。お父様に言ってみましょうね。そういえばクラウディアのところの森の腐葉土を譲ってもらおうとしているわよね。そのことも考えていかないといけないわ。どのように腐葉土の運搬をするかよ」
「母様、マジックバッグは家にあるのですよね。マジックバッグでやり取りはダメなのですか?」
「うーん、うちのマジックバッグは小さいのよ。この広大な領地全てというわけにはいかないのよ」
マジックバッグかぁ。僕のスキル、収納がありクラフトがある。試してみよう。みんなに内緒で。
どんな素材がいいのだろう。マジックバッグを見せてもらう。
「母様、うちにあるマジックバッグを見せてください。お願いします。鑑定で、どのくらいの容量か知りたいです」
いい口実だな。
「そうねぇ、確かに容量がどのくらいあるか知りたいわね。お父様に聞いてみましょう」
「はい、お願いします」
顔は真面目に、心はウキウキ。でも、頬が緩んでいないか心配だ。我慢しろ、僕の頬。
げっ、父様が来た。いや、後からゾロゾロとみんなが来たぞ。
「ケビン、マジックバッグが見たいのか?」
「そうです。今度、姉様に森の腐葉土を頼もうと思っているのですが、どのぐらい入るのか検証したいと思ったのです。見せてもらえるのですか?」
「そうだな、腐葉土という肥料を撒けばもう少し土地自体が良くなるならいいな。精霊様達だってずっとここにいるわけにいかないからなぁ。帰る時があるだろう。もしくはもっとここの土地よりいい場所を見つければいなくなってしまうかもしれないから、自分たちでも土自体をよくしていこうではないか。ケビン、このマジックバッグを鑑定してくれ」
「はい、ありがとうございます」
そして俺はマジックバッグを手にした。これがマジックバッグかぁ。普通の袋だなぁ。
魔獣の皮で作られていて、容量は6畳ほどか。でも、この中に入っている物を取り出さないと空きは2畳ほどか。少ない。
「父様、この皮はワニュラスという素材でできているのですが、ワニュラスって強いのですか?」
ワニュラス、ワニ皮のことか?
「いや、それほど強くはない。隣の領地でよく討伐するので、布物々交換をしたのだ。欲しいのか?」
「余っているのなら欲しいです。なんだか、おしゃれなバッグができないかなぁと思ったのです。僕のスキル、クラフトでバッグを作ろうと考えたのです」
「お前は、さっきは寝袋、巾着?そして精霊様達の布団を作ったが、今度はバッグか。まぁ、お前は作るのが好きだし、生産のスキル持ちだから、まぁいいだろう。このワニュラスの皮をやろう。あとはフロッグスという皮と魔牛の皮がある。物々交換しても、我々では使い道がなかったので大量にある。その皮で作りたかったら大量に渡すぞ」
「父様、お願いします」
ワニ皮、カエルの皮?魔牛?牛の皮ゲットだぜー。




