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25 イーサン兄様、魔道具士になりたかったの?

 執務室にみんなでお茶をしながら僕の作った寝袋、簡易巾着を披露。


「父様、これが試作した父様の寝袋です。こちらがロナウド兄様の寝袋です。どうぞ」


 2人とも手のひらサイズの小さい袋に入った寝袋と言われたものをマジマジと見ていた。


「ケビン、これ寝袋?なのか?小さすぎるぞ!俺たち、こんな小さいところに寝られないぞ。ルガリオ達が寝ているじゃないか!ルガリオ達用か?」

 ルガリオ達が袋に入って寝ているよ。おい、違う。君達用ではない。袋は小さいけど、その中に寝袋が入っているんだよ。


「その袋の中に寝袋が入っているのです。取り出してください。ルガリオー、ちょっと袋から出てよ!もう」


「だって気持ちいいんだよこの布団」


「君たち用の小さい布団を作るから今は出てよ」


 自分達用の布団を作ってもらえると聞いて喜んで踊り舞っている。なんだか外の土地がキラキラが舞っている。きっとみんなにも見ているが敢えて言葉にしない。今は目の前の寝袋に注視しよう。


 袋から寝袋を出した。父様やロナウド兄様の身長の大きさに膨らんだ。


「この小さい袋にこんな大きな布団が入っていたのか?え!なぜ?」


 みんな僕を見ているが僕も分からないよ。


「小さくして袋に入れたら寝具自体が小さくなりました。よくわかりませんが」


 袋に大きな物を入れようとしても入らなかったのでマジックバックではない。この寝袋が小さく畳めるだけということに結論付いたが、コンパクトに収納でき、持ち運びも楽なので良しとした。多分もう考えるのを諦めたのだろう。


 そして、みんなが見ている前で父と兄は床で寝た。気持ちよさそうに寝ている。


 なかなか起きてこない2人に痺れを切らし、2人を叩き起こした。


「はぁ、よく寝た。爽快な気分だよ、ケビン」


「ケビン、これはいい。そんなに時間が経っていなかったのか。ぐっすり寝たような気分だ。すごいよこれ」


 父様、ロナウド兄様、大絶賛!


 それを見た母様は僕を見た。作れという眼差し。先程、巾着でも圧を感じましたが、こちらの方が力強い眼差し。


「母様、まだこれは野外用の試作品です。寝具としてまだ作っていません。これから改良しながら良い寝具を作っていこうと思っていたのですが、ダメですか?」


「そうね、すぐ作って欲しいわね」


 みんな寝具を作ってもらいたいみたいだ。善処します。


 そして巾着。これもさっきの寝袋の袋と同じだからいいだろう。巾着に刺繍したり、レースをつけたりすれば女性に人気となるだろうと商品化することになった。こちらは別に僕が作らなくても作れるだろう。


 ただ、僕が作ると付与作用が発動されるみたいだから、僕が作ったものは身内限定とすることになった。自分で鑑定して付与がついていたらロナウド兄様に言うようにと念を押された。


 ロナウド兄様がドルトンさんに糸紡ぎの機械を作るように指示している。僕の時は聞き流していたのに、兄様の時はきちんと話を聞いている。ムムッ!


「ケビン坊ちゃんに聞いていたあれですね。確か作って欲しいノートのこれですね」


「なんだ、そのノートは。見せてくれ!ケビン、これをなぜ兄様に見せなかった?ドルトン、これを貸してくれ。それから綿密に話をしよう」


「かしこまりました。ロナウド様」


 そして、僕はロナウド兄様に連行され、イーサン兄様のところに行った。


「兄様、これを見てくれ!ケビンが考えた魔道具。すごいぞ!兄様は魔道具士になりたかったじゃないか!これの良さがわかるのではないか?」


 えっ!イーサン兄様、文官ではないの?魔道具士になりたかったの?


「これは、髪の毛を乾かす道具なのか。これは風魔法を使えない人たちには重宝する魔道具だな。これは?」


 2人は僕を見て説明を求めた。


「これは、ハンドミキサー、これはアイロン、これは冷蔵庫です。ハンドミキサーは料理やお菓子作りで俺が欲しい物です。あのマヨネーズを混ぜるのが大変なのでミキサーで混ぜたいです。これは早く欲しい商品です。アイロンは洋服などの皺伸ばし、冷蔵庫は食材を冷やしておける箱です」


 じっくり話を聞き、考えていたイーサン兄様。


「面白いな。ドルトンと考えてみよう。このノートもらって良いか」


「いいですけど、まずは糸紡ぎ機を作ってください。あの綿を糸にしたいのです」


「このノートのこれだな。これならすぐ作れそうだ。分かったよ」


 イーサン兄様が慌ただしく行ってしまった。


「ロナウド兄様、イーサン兄様は魔道具士になりたかったのですか?知らなかったです」


「そうなんだよ。まぁ、うちの領地が芳しくないから、王都で文官として働いた方が金になるからな。魔道具士は開発費に金がかかる職業だ。まずは試作が大事だからなかなか魔道具士を希望していても、途中で給料が一定で入る文官になる人が多い。研究室に入るにもお金がかかるから魔道具士は大変なんだよ。だから、成績優秀な兄様は文官の方を選んだんだよ。でも、母様のスキルと精霊様の恩恵とお前の奇想天外な考えで、この領地が変わってきている。兄様も諦めきれない魔道具士としての想いを掴み取って欲しいと思っているんだ。ケビン、ありがとな」


 奇想天外と言われたところ、そこ褒められていないような気がするよ。褒めたのか?褒めてくれたのか?ロナウド兄様。


「まぁ、とりあえず、ケビン、考えたものをノートに書くのはいいが、まず初めに見せてくれ。そこ大事だからな。俺や兄様に相談してくれ」


 頭をくしゃくしゃにされながら、念を押された。やっぱり問題児扱いなのか、僕?



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