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24 寝袋と巾着ポーチ

 酒造はもう勝手に大人達が話を進めていくから、僕は別にやることがなくなった。暇になった僕はせっかくだからあの綿を使って寝袋を作ろう。この綿にどれほどの効力があるのか実証しなければ、父様達に作ることができない。布は一般市場に出回っている布を今回は使おう。ゆくゆくは紡いだ糸で作った布で作りたいと思っている。普通の布でもいいならそれでもいいかな。追々そこは考えていこう。


 まずは寝袋作り、ロナウド兄様に収納しやすい寝袋を作ろう。オーソドックスな寝袋なら簡単にできるな。兄様の身長をまず測ってそれに合わせた寝袋を作ろう。


「ロナウド兄様、身長測らせてください。兄様が討伐や遠征や行商で野営する時の寝袋を作成したいと思います。柄とかはないので、シンプルな単色です。汚れが目立たないような色にしたいと思います」


「寝袋?なんだ、それは。寝る袋なんているのか?」


「野営の時とか布団で寝たいと思わないですか?布団の簡易版です。試作品を作るので感想や改良点を教えてください」


「ふーん、面白そうな商品だな。わかったよ、協力しよう」


 ロナウド兄様と父様の身長を測り、そうなんだ、父様も協力すると言ってきたので2人の寝袋を試作する。


 父様は藍色、兄様は深い緑にした。あの母様に作ってもらった綿を初めて使用。この寝袋でも疲れが取れますようにと願いを込めて縫っていった。まんま前世の時の寝袋。寝袋をコンパクトに収納する小さな袋も作った。驚いたことにあの綿は伸縮自在。寝袋に結構綿を使ったのに小さい袋に収納できるんだ。ふっしぎー。だから嵩張らないのだ。袋から出すと普通の寝袋。自分のも作って、まずは、夕食まで寝てみた。


 何も考えずすっと寝られた。寝つきは早くていい。単なる僕が疲れているだけか?でも布団の中の温度もちょうどいい。快眠だ。


 父様にはやはり家紋だな。外で野営していても、その家紋を見て、盗賊とかがそっと逃げていく構造。


 兄様には、家紋とあとはハンカチは白虎だったから、黄色と黒の縞模様のトラか。いや、かわいい猫にしよう。兄が可愛い猫に包まれているギャップ萌えだ。イーサン兄様にはタレ目アイマスク、ロナウド兄様には可愛い猫の寝袋。おちょくっているのかとおこられそうだなぁ。ユニークさを持たないと人生つまらないから愛嬌、愛嬌。


 よし、夕飯前にささっと刺繍をしてしまおう。


 集中していると母上がお怒りのご様子。


「ケビン、あなたは何度言ったらわかるのかしら?あなたは集中しすぎるとご飯も食べずにやる傾向があるわ!いい加減にしなさい」


「ごめんなさい、母様。刺繍が楽しくて時間を忘れていました」


「まぁ、これ家紋?こっちは?なに?可愛くした魔獣?」


 この世界に猫はいないのか?あれ?まずい、図鑑を見てからそれらしいのを作ればよかったのか!イーサン兄様に作った犬はあれはなんだ?白のもこもこフサフサ犬を作ったつもりだけど、なんの魔獣?と思われているのだ??お祖母様には白のもこもこ鳥。シマエナガをモチーフにしたぬいぐるみを作ったのだが、はて?この世界の何に当たるのだ。


「創作でこういう可愛い動物なら癒されるかなぁと思って刺繍してみました。この足跡の可愛いさなど癒されると思ったのです」


「そうね。可愛いわ。ケビンは可愛い絵を描くのが得意なのね。動物や魔獣を可愛いいイメージにしてしまうわね。今度ルガリオ達を可愛いモチーフにしてなにか作ってね」


「ルガリオ達、いいですね。可愛く描いてみます。何作ろうかなぁ。ポーチにしようかな」


「ポーチ?ポーチってなぁに?」


 まずい、またこの世界にない言葉を発してしまったか!


「ポーチですか?えーと、絵を描いてみますね。こういう形で小物などがバラバラになってしまうので一つにしまったバッグに入れれば散らばらないという収納袋です」


「そうなのよ、バッグの中はバラバラにものが散らかるのよ。いいわね、そういう小物入れ作ってちょうだい」


「は、はい、わかりました。試作してみます。いま、すぐ作ってみますね」


 ご飯もそっちのけでポーチを作った。巾着だ。簡易的に作ったので、可愛いさはないが可能性がわかればいいだろう。


「母様、こんな感じのポーチです。ここに小物を入れればバッグの中は散らからないと思います。そして、これに刺繍やレースなど可愛くすれば出した時にも見栄えはいいと思います」


「まぁ、そうね。いいわ。お義母様にも見せましょう」


 そこにトリニティーが呼びにきた。


「奥様、ケビン様、夕食のお時間が過ぎておりますが、皆さんお待ちかねです」


「まぁ、私、ケビンを呼びにきたのに、ケビンの罠にハマってしまったわ。今行きますわ」


 母様、僕の罠って何?


「トリニティー、これを旦那様の執務室に持っていってもらえるかしら。ケビンが作った物なの。食事後に皆に披露しようと思います」


 母様、勝手に披露場を作っている。


「さぁ、ケビン、夕食にしましょう」

 有無を言わせぬ圧によりトボトボと後ろについていった。


 夕食の時にルガリオ達に、ルガリオをモチーフにした絵を描いてみたいことを伝え大喜びされた。巾着やハンカチにルガリオ達の刺繍をしていいか尋ねたところ、いいよ、と軽い返事だった。分かっていないか。まぁ出来たら見せよう。


 夕食が終わり執務室へ連行された。


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