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237 お披露目会

 貴族たちが集まった。今はザワザワしている。


「国王陛下からなにやら重要なお言葉があるようだ」


「一体何があったのだ?子供たちまで参加とはいったいどういうことなんだ」


 皆が不安な言葉を発している方が多かった。今ここで中心にいるのはボロレス公爵だった。皆ボロレス公爵の言葉を聞き入っていた。


「はははは、国王陛下は何をお考えなのか。私には見えないが精霊がいると言っているのだ。耄碌したのかもしれないぞ。そんな戯言」


「えぇぇぇ、精霊様ですか?まさか国王陛下は見えるとおっしゃられておられるのですか?ボロレス公爵殿は見えなかったのですよね」


「そうなのだ、私や側近の者、寄子の侯爵がいたのだがみんな見えないと言っていたのだから間違いない。見えない者に敬意を払えない。本当にいるかどうかもわからない。もしかしたら、精霊はいると嘘を、あっ、いやいやいや、まさか、そんな人気集めをするなんてことはないだろう。わははは。私も最近不信に思い、王宮に休暇願を出しているんだ。ふん、あの魔法が使えない王女に最近温情を与えて、あの貧乏フォーゲリア家が勢いづいたのはきっと王家が支援したのかもしれぬ」


 まさか王家がいち伯爵に支援するなんて。確かに今からフォーゲリア家は商会を立ち上げ勢いに乗っている。もしかして、ボロレス公爵の一言で不信感が増した。


「ボロレス公爵、貴殿のその言葉は王族に対し不謹慎ですよ。言葉を改めよ!」


「ふん、ボールドウエッジ公爵殿。貴殿もまた最近勢いづいたであろう。恩恵に預かっているのか?」


 ボロレス公爵とボールドウエッジ公爵、2人の公爵が睨み合っていた。周りの貴族達はあたふたしていた。


 そこに王族が続々入室した。フォーゲリア家が一緒に入ってくることにみんな驚きを隠せずにいた。やはり、支援をしているのか?また疑惑の目が入室した王族に降り注いだ。


 雰囲気悪いなぁ。


 そうね、あの南地域の奴らが黒い感情を持っているわよ!


 あー、あやつらか。昔から南地域の奴らは黒い感情を持っている奴らだったからな。


 ふん、踏み潰してやろうか!


 あいつら、きらーい!


 念話である。僕、クル、バルス、リル、ルガリオ達だ。全く見えないって吹聴しているよ。ププっ。


 お祖父様のお言葉が始まる。父様にギロリと睨まれてしまった。ごめんなさい静かにします。



「皆の者、よく集まってくれた。最近我が国で良い兆しが見られる様になった。古の文献に書かれている精霊様が現れる様になった。そして我が孫達に従魔がついたので皆に紹介しよう。ただし、精霊については見える者と見えない者がいる。見えない者については、精霊様がいらっしゃった頃に精霊様に悪事を働き、その影響で精霊様がお隠れになった原因の一族だ。精霊様達のお怒りをかい、見ることができないということだ。これは精霊様が仰っていることだ。肝に銘じることだ。それでは紹介しよう。まずは我が孫の1人、アルバート。アルバートは黒龍と従魔契約をした。まだ黒龍様はお産まれになられたばかりなので幼体であらせられる。それからレオンハルトはフェンリルと従魔契約している。今は擬態で子犬になっている。そして、我が娘、メルシーの子、ケビン。ケビンはカーバンクルと従魔契約している。今は擬態で子猫になっている。さぁ、前へ出なさい」


 頭の上に乗った従魔達。おいおい威厳がないぞ。


 ふふふ、それでは威厳を見せてやろう。


 んん?


 レオンの頭にいたリルと俺の頭にいたクルがスタッとおりたと同時にリルが咆哮した。皆、耳を押さえうずくまってしまった。リルさーん、抑えて。そして 擬態を解いた。大きいリルさん。そして浮いているピンクのクルさん。

 バルスも空を飛んでいる。


 カオス!


「我に悪事をするものは踏み殺してやる」


「うふふふ、私はどこかに転移して置いてきちゃうわよ」


「我は炭にしてやろう」


 こいつら怖い怖い、怖いわー。


「ケビン、レオン、お前達指示したのか?」

 

 アルお兄ちゃん、僕達はなにも指示していないよ。本当だよ。みんなから疑りの目を浴びせられている。


「「してないよ!」」


 濡れ衣だ!確かにコソコソとそんなことを2人で言っていたけど、まさか本人達がやるとは。でもしてやったりってドヤ顔してるんだよなぁ。まったく。


 貴族なのに下位貴族は平伏してしまったし。高位貴族は最高礼をしている。


「皆の者、悪事をしない様に気を付けてくれたまえ。バルス、リル、クル、ほどほどに頼む」


「「「はーい、おじいちゃま、大丈夫だ(よ)」


「では、精霊様をお呼びする」


「ふぉっふぉっふぉっ、皆出てくるのじゃ!」


「「「「「「はーい」」」」」」


 あれ、長老様達が中央にいるの?来ないのではなかったの?精霊達がぐるぐる舞っている。見えている人は目で追っている。


 カオスパート2!

 

「我が国に精霊様がお目見えできる様になった。ただし、皆にしかと心に留めてほしい。精霊様を蔑ろにし、悪事を働くものは精霊様が見えなくなる。それは見えなくなれば今後末代まで見えぬ。そなたらはこれから先の子孫に恥じぬ様行動してほしい」


「「「「はっ」」」」


 子供達の前に精霊達が遊びにきている。子供達は純粋だから精霊達も近づいて遊んでいる。キャッキャキャッキャと笑い声を上げ楽しんでいる。反対に大人達は平伏し続けている。


「皆の者、今は我々の姿を見ることができる様にしたが、古の頃の様に悪事をする者には我々の姿は見えなくなる。我らはそなた達を見捨てることもできるということをしかと覚えておくが良い」


 土精霊の長老ルービエンス様が威厳のある声で言葉を発し、言霊が響き渡る。


 南地域の貴族達は見えないことに戸惑っていた。しかし、国王陛下であるお祖父様はそちらを気にかける様子もなく追い打ちをかけている。


「見えない者達は古の時代、精霊様達に悪事を働いた子孫だ。精霊様のお怒りは消えぬ。そして見える者達に伝える。見えぬ者達に悪事を加担した者は見えなくなることを覚えておくが良い。今、自分たちが見えているからと安心せずに精進せよ。これは代々伝えていくが良い」


 お祖父様も威厳のある声で伝えた。


「国王陛下、我々は見えないのですが何かの間違えです。我々が見えないなんてことありえない。せ、精霊様にお伝えください。我々は悪事を働いてはおりません。お願いです、精霊様にお伝えください」


 ボロレスとその寄子達、一族はお祖父様に頼み込んでいるが精霊様が決めたことを覆すことはできない。


「ボロレス公爵よ。精霊様がお決めになられたことだ。そして精霊様達はこの部屋にいらっしゃり、そなたたちのことを見ておられる。先ほど言った言葉ももちろん聞いている。そのうえで見ることが出来ないのならお許しになっていないのであろう。こればかりはどうにもならぬ」


 がくんと(こうべ)を下げる南地域の人達。他の貴族から今まで一目置かれていた(悪意味で)がこのことがきっかけとなり、南地域の悪事が露呈することになった。


 またもやケンおじちゃんがボロレス率いる南地域の不正を言い渡し追い打ちをかけた。精霊様が見えなかったのは、代々不正体質、身から出た錆(この世界にそんなことわざはないがそんな感じ)なのだろう。追徴課税を申し伝えることとなった。信用は戻らないだろう。


 こうしてお披露目会は無事?終わった。


 さあ、領地に帰えろう。みんな帰るよ。



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